【写真】宮田充KNOCK OUTプロデューサー、山口元気クロスポイント代表から送り出された鈴木千裕はこの表情。(C)ゴング格闘技
2023年7月30日(日)『超RIZIN.2』(さいたまスーパーアリーナ)が昼の「Bellatorパート」に続き、「RIZIN」パートが開催される。第5試合のライト級(※70kg・5分3R)で現Bellatorフェザー級王者パトリシオ・ピットブル・フレイレ(ブラジル/ピットブル・ブラザーズ)と対戦する鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)が、本誌直前インタビューに応じた。
鈴木「先に当たった方が勝つ!」
──AJ・マッキーの欠場を受けて、現王者のパトリシオ・ピットブルとの緊急試合に即答だったと。周囲に相談はしなかったんですか。
「はい。結局、やるのは僕じゃないですか。自分がやると決めたら、周囲から『やめろ』と言われても、僕はやめないんで。勝手にエンジンがかかりましたね。常に戦えるのがファイターだと思いますが、このオファーが来る前は、前回の試合を引きずっていて、正直、モチベーションや練習の意欲が下がっていたので、このオファーが来たときに身体が熱くなりました。今後どうするかと考えていた中でオファーをもらって、その瞬間にエンジンがかかって。“本当は戦いたったんだろ”と気付きました。2人とも、純粋に戦いが好きなんだと思います」
──それでいきなり8Rのスパーリングをやってしまった?
「えっ、なんで知ってるんですか(苦笑)」
──お隣りのお二人(山口元気クロスポイント代表、宮田充KNOCK OUTプロデューサー)から聞きました。
「ああっ!」
山口 若手もみんな「身体が痛い」って言ってました。いきなり8人組手だからなあ(笑)。
「マジ、ヤバかったですよー」
宮田 ヤバいのはそれをいきなりやる千裕くんの方だよ(苦笑)。
──クレベル選手との試合で敗れた。あの試合で想定外だったのは?
「パッと見るだけでは分からない、細かい技術がありましたね。その駆け引きはすごかったです。特に体重のかけ方が。右に振っておいて、急にシフトチェンジしたり、見えにくいけど細かい動きがありました」
――しかし、そのクレベル戦をあの状況で受けたことで、今回の試合に繋がったともいえます。昨年大晦日に勝っているパトリシオ選手に挑むのはどんな感慨でしょうか。
「運命的な感じがするんですよね。1カ月前に試合が終わってまさかの……心の中で決めていて、仲間に話していたんですよ。『ピットブルとやりたい』と。そうしたら急ピッチで決まったので、何かあるなって、そんな感じがしますよね」
――クレベル選手に勝ったらパトリシオとやりたいと思っていたと?
「想像することはありました。いろいろあって、試合を見ていたので“俺だったらこういうふうに戦ってみたいな”って想像したり、そういうことを仲間と話しました」
──試合が決まってからパトリシオ選手の動画などもあらためて見たかと思いますが、率直にどう感じていますか。
「いやあ、すごいですね。世界のトップですからね。一流です。打ち分けもタイミングも。一流ですけど、僕もKNOCK OUTのチャンピオンでいろんな人と戦ってきたので、打撃では、そのとき持っているものを当てるしかない。お互いに先に当たった方が勝つと思うので、打ち合いでは負けちゃいけないと思っています」
――パトリシオ選手の伝統派空手のようなあの動きにも対応できる?
「自分なりにですけれど、合ってるか合っていないかはやってみないと分からないけれど試せる機会がきたのでやるしかない。決まったからにはやろうかと思っています」
──それを試す機会が巡ってきた、と。いまの時点で、パトリシオ選手に勝負できると感じている部分は?
「若さ特有の馬力と回転力じゃないですか。パンチの回転はパトリシオも速いですけど、リーチが僕の方があるので(※パトリシオは身長168cm、リーチ166cm。鈴木は身長173cm、リーチ177cm)、距離感の設定を間違えなければ当てやすい」
──打ち合ってくれなかったから?
「ガンガンの打ち合いをやりたいところですが、相手は王者なので自分が楽に勝てる道を選ぶのかな。僕が彼ならテイクダウンしていくので、なかなか打ち合ってはくれないのかなと思います」
――そこで打ち合いに仕向ける作戦は?
「リングに上がらないと分からないけれど。向かい合った時にその気にさせようと思っています」
──そして、この試合はリング、RIZINルールです。どちらにとって吉と出るかは分かりませんが、鈴木選手の方が慣れているともいえます。
「サッカーキックはユニファイドルールにはないですからね。向こうも使えるとは思いますが、その際は逃さず。リングもKNOCK OUTで慣れてますから」
──勝てば、Bellatorとの契約もありうるような相手です。
「そのときに見えてくる景色はあると思うので、いまは黙って勝つことに集中したいと思います」
──どんな試合を見せたいでしょうか。
「やっぱり覚悟というか、ほんとうに僕がやりたい戦いをやろうと。何を言っても言い訳になってしまいますが、前回、作戦を考えて行くところ、行かないところを見極めて行けなかったですが、今回は、僕が戦いたいように思い切り戦おうと思います。全力で戦う、僕の戦う姿を見て、応援してください!」