テクニックとしてのパワーを使う──思いっ切り当てて、思いっきり剥がせばいい
強く打てば、倒すチャンスが生まれる。一方で組まれる可能性も高まるが、組み技対策については「特に考えてない」という。
「来たら思いっ切り当てて、来たら思いっきり剥がせばいいので。それ以外ないんじゃないですか。試合なんでお互いさま。来たら倒せばいい。そんなに難しくないですよ、格闘技って」
さまざまな出稽古先、パラエストラ八王子や沖縄での組み技の練習も経た上で、鈴木は寝技についてシンプルにとらえている。
「ぶっちゃけ力ですね、寝技は。フィジカルだと思いますね。どんなに腕十字とか三角(絞め)とか来ても、思いっきり持ち上げてバーンってやったら外れるじゃないですか。ボブ・サップも言ってたんですよ。『パワーの前には技術は無意味だ』と。その要素はすごくあると思って。
みんな硬く考えすぎなんですよ。『テイクダウンされたらどうする?』とか。倒されなければいい話だし、倒されても立ち上がればいいし。テクニックで対応してやろうとか、そういう余計なことを考えるからやられちゃう」
ボブ・サップがアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラをスラムしたように、鈴木がクレベルをスラムすることも可能なのか。日系ブラジル人のクレベルに対し、ペルー人の父と日本人の母を持つハーフの鈴木も、そのフィジカルには自信を持っている。
「踏ん張るしかないんですよ、結局、寝技とか関節技とか極められたときに、そこでただで負けるのは一番、嫌じゃないですか。がむしゃらに踏ん張るしかなくて、そこで踏ん張るためには力が必要」と力説するが、それは鈴木にとって「テクニック」のひとつだともいう。
「その外す技術を使うにも、動く・外す・持ち上げるっていうのもパワーとテクニックが必要なわけで。そのテクニックを活かすためにもパワーが必要で、結構、誤解されるんですけど、“フィジカル練習もテクニックのひとつ”だと自分は思っていて、そういうアドバンテージが自分に効いていると思う。ある意味、矛盾はしているんです。テクニックのパワーを使って勝負しようかなと思っています」