キックボクシング
レポート

【XSTREAM1】吉成名高が大会オリジナル競技「1分間高速ミドルキック連打」で驚異の記録を樹立

2023/06/12 20:06
第2回XSTREAM1アマチュア大会2023年6月11日(日)東京・ゴールドジムサウス東京アネックス  今大会のXSTREAM1完全オリジナル競技「1分間高速ミドルキック連打チャレンジ」にスペシャルゲストとして吉成名高(エイワスポーツジム)が参戦した。  今回からルールを改良。年齢別から階級別に変更、再度ランキングが設けられた。有効打はミットの持ち手の骨盤より上の打点のミドルキックを1回とカウント。一方で打点が低いキック1回につき、マイナス1回として集計し合計回数を競い合う。  名高はチャレンジ前「1分間キックの連打をしたことがないので不安ですが」と控えめなコメントをしていたが、世界トップの意地を見せつける結果を残した。観客の期待で会場が静まる中、名高がリングイン。スタートと同時に体幹に一切のブレがない美しいフォームで蹴り込んでいく。大抵は30秒を過ぎるとスピードが一気に落ちるものだが、名高はスピードが落ちるどころか「残り10秒」の声がかかると、さらに加速。会場は一気に盛り上がった。  結果は参加者最高数の110回。回数が読み上げられると観客からはどよめきと拍手が起こった。前田憲作XSTREAM1代表も「スピードも重さもあって理想的なフォーム」と大絶賛。名高は「もっと出来ると思ったのですが、最後強く打とうと思ったら結構疲れてしまって。もっと練習して頑張ります」とコメントした。  前大会で元WKBA世界スーパーウェルター王者・緑川創との熱戦を制した元ラジャダムナンスタジアム王者のT-98も連続参戦。「回数もですが、自分は力強さで魅せる」の宣言通り、最初は力強さとリズムよいテンポで順調に回数を重ねていたが、「残り10秒」でミットの持ち手が後退りするほど一発一発威力あるミドルキックを披露。回数は74回だった。  そしてチームドラゴンの北井智大も登場。ド根性のミドルキックを放ったが、この競技の鬼門である後半に時折苦悶の表情を浮かべる。それでも粘り強く最後まで蹴り続け、85回を記録した。  アマチュア参加選手も6歳から大人まで、日頃のキック練習の成果を思う存分発揮。意気込みを尋ねると「目標100回越え」と口にする選手も多くいた。最高記録は30kg(幼年・キッズ・ジュニアクラス)石井映介(小比類巻道場)の98回、続いて65kgジェントルマンクラス・松尾ファイト(LARF)の97回となった。全員、終わってからのコメントでは「楽しかった」と口にするなど、笑顔にあふれるチャレンジの場となった。 【ゲスト選手のコメント】 ●吉成名高「このようなリングでキックの連打を見せることが出来て、最後まで気持ちを強く持っている姿を見せられてよかった。試合は痛みがあるけれど、このチャレンジは自分との闘いなのでとても良いチャレンジだと思います」 ●T-98「試合よりも緊張しました。こういう企画があるとジムで頑張っている会員さんとかでスパーリングとか痛みを伴うのはちょっとと控える人もいますが、でもキックボクシングが好きな人が普段の練習の成果を出せるすごい良い機会だと思いました。今回から体重別になったので、私の回数を超えることを目標にしてチャレンジしてみてほしいです」 ●北井智大「疲れました。アマチュアの試合は痛い思いもするし、減量もあるのでなかなかハードルが高い。こういう企画だと単発でも参加できるのですごくいいと思います」 [nextpage] 団体の垣根を越えた、アマチュア異種格闘技戦  ルール・団体の枠を越えて、格闘競技の裾野を広げ各競技の魅力を見せることを目的とした「マーシャルアーツルール」では、他の大会では見られないような異種交流戦ならではの試合模様が展開された。  キックボクシング、空手、伝統派空手、テコンドーに加えて、今回はレスリング、相撲と、異種格闘技戦が組まれた。マーシャルアーツルールはオープンスコア、下段蹴りは禁止。ヘッドギアと武術面とクンフー用オープンフィンガーグローブを使用。ブルースリーが着用していたことで有名な5本指のグローブを採用することでパフォーマンスの幅は広がった。他に変更点として、今回から攻撃に対して腕でブロッキングをしても、その攻撃は加点対象になった。「マーシャルアーツルール」は、あくまでも安全面を考慮したポイントの加点を競うポイント制競技。 【写真】「マーシャルアーツルール」 相撲vs.キックボクシング そして組まれたカードの相撲vs.キックボクシングは異種ならではの様相に。相撲の鈴木海希は持ち前の突進力と張り手の連打技で相手を押し込み、一切の反撃を許さない。キックボクシングにはない圧力と張り手の強打で、相手のあごを何度もかちあげて圧倒し、勝利を収めた。  そして、テコンドーの技量を発揮して勝利した三留空也(岡澤道場)は、今大会MVPに輝いた。 【写真】「マーシャルアーツルール」キックボクシング vs.テコンドー 他にも伝統派空手の攻め込むスピード感、攻撃をかわしパンチを撃ち抜くボクシングの技術など、各競技の持ち味を見せつけた試合が目立ち、マーシャルアーツルールの可能性をさらに感じさせた。  アクション俳優としても活躍している水野大絆も初参戦。水野は詠春拳(ブルース・リーの考案したジークンドーの元となった中国武術)の使い手だという。パンチを主体とする武術・詠春拳らしく、威力あるパンチで1ラウンドにダウンを奪取。パンチのコンビネーション、ボディへの打ち分けで確実に相手の体力を削り、水野が判定勝ちを収めた。 【写真】アクション俳優・水野大絆も出場 水野は「スタミナがなくなってしまい詠春拳の動きにならなかった、理想の動きは全く出来なかった。セコンドと『始めは相手の動きを見て』と話をしていたので、相手もガンガン前に来たので自分も前にいきました。ダウンをとったけれども、相手に体力があったので全然余裕は生まれなかったです。(今日の戦い方に)反省しかない。格闘技でも人を殴るのは好きじゃありません。でもボクシングもキックボクシングもしているし、今日の経験をまた現場(演技の場)に持って帰れたらいいなと。人の前でリングに立つことはとても勇気がいること。勝ち負けにこだわらず、試合出場を迷っている人は挑戦することで次の道につながり、弱い自分を乗り越えるきっかけになります。大会に挑戦することはお勧めします」とコメントした。 [nextpage] キック・ムエタイ・空手はレベルの高い好試合が続出  今回はキック・ムエタイ・空手のワンマッチ、キックボクシングは一般男子Bクラストーナメントが-55kg、-60kg、-65kgで行われた。未来のプロの世界を担うであろう才能を感じさせる選手をはじめ、最後まであきらめずに果敢に挑んでいく挑戦者の姿があった。試合に結果はつきものだが、第2回目の開催にして勝敗に関わらず選手たちの技術向上の場として『XSTREAM 1』が根づいている手応えを感じさせる試合が続出した。  また夜の部で行われたジェントルマンファイトも両者一歩も譲らない打ち合い、蹴り合いの熱戦に。エネルギッシュな37歳以上のミドル世代を対象としたジェントルマンファイトならではの光景として、セコンドに娘さんがつき必死に祈るように応援している姿も見られた。 【写真】キックボクシング一般男子Bクラストーナメント入賞者▼キックボクシング一般男子Bクラストーナメント入賞者【-55kg】優勝:岩本元太郎(IDEAL GYM)準優勝:関凪(チームドラゴン)【-60kg】優勝:佐々木倫太郎(ReBORN橿経堂)準優勝:櫻井主帝(チームドラゴン)【-65kg】優勝:山崎滉太(誠真会館所沢道場)準優勝:岡野生輝(國学院大學空手道部) [nextpage] 「XSTREAM 1」総合プロデューサー前田憲作代表の大会総評 「1分間高速ミドルキック連打」に吉成名高選手が出てきてくれて、参加者として夢のような経験だったのではと思っています。参加してくれた全員が「楽しかった」と笑顔になってくれました。次も皆さんが驚くようなゲストを呼びたいと思います。  キッズ・ジュニア選手は本当にレベルが高かった。これはトーナメントをやらなくてはダメだと思いました。キッズ選手に将来どんどんベルトを巻くチャンピオンを作っていきます。マーシャルアーツも、そしてジェントルマンファイトもチャンピオンを生み出していきたいです。そして、いつか「XSTREAM 1」がプロ化になった時、プロ選手として活躍する選手を育成することも大事だと思っています。  マーシャルアーツはとても良い試合が多かった。ただ課題もあり、ジャッジの明確さとポイントの取り合いとしての競技性を高めていけばもっと面白くなるという可能性を感じました。特に相撲や詠春拳など、それぞれの特徴と良さを出して闘ってくれ、マーシャルアーツならではの“異種格闘技感”を作ってくれました。蹴りで見せてくれた選手がいる一方で、パンチで魅せてくれた選手もいました。今後さらにレベルが上がっていけば、蹴りvs.パンチのせめぎ合いになっていくでしょう。今後は他にも日本拳法や空道も加わっていく予定です。  いずれは武術、武道、格闘技の垣根を超えた世界大会をやっていくのが夢です。もっとルールを研究していけば、現段階では未完成ですが、さらに面白い競技にしていきたいです。試合なので勝敗はありますが、私が選手を育成してきた経験の中で、負けから学ぶことが多くありました。自分の弱いところ足りないところ、課題を謙虚に認めて克服していく重要性。同じ失敗を繰り返さない人、強くなることをあきらめない人、ジムの先生、会長の教えを素直に聞ける人は皆強くなっているので、そのことを忘れずに思いっきり試合をしてください。負けることは失敗じゃない。負けて反省せず学ばないことが失敗なので、皆さんにはどんどんチャレンジしてほしい。 「XSTREAM 1」はそんなチャレンジする人たちの場所としてますます進化していきます。次回大会は10月1日サウス東京アネックスにて開催。多くの参加をお待ちしてます!
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