キルクリフFCからともにラスベガス入りした木下と。佐藤は試合3日前でもリラックスした表情を見せてくれた。
2023年5月20日(日本時間21日・日曜朝5時~U-NEXT/UFC Fight Pass配信)、米国ネバダ州ラスベガスのUFC APEXにて『UFC Fight Night: Dern vs. Hill』が開催される。
その第1試合に、米国フロリダのキルクリフFCでトレーニングを積む、佐藤天が出場。ウェルター級で元EFC Worldwideウェルター級王者のテンバ・ゴリンボ(ジンバブエ)と対戦する。
佐藤は、UFCデビューから精緻な打撃と強い組みを武器に、北米修行も経て2勝1敗と好スタートを切っていたが、無敗だったミゲール・バエザ、強豪グンナー・ネルソンとの緊急対戦で敗れ、2022年8月の前戦ではTUF優勝のブライアン・バトルにもKO負けで3連敗中。今回、背水の陣でオクタゴンに向かう。
キルクリフFCで、同じUFCファイターの木下憂朔や、Combate Global出場のエフェヴィガ雄志らと共同生活を送るなか佐藤は、いかに自身のMMAを作り上げてきたのか。ラスベガスでホテル入りした佐藤に聞いた。
ゴリンボ戦でも、常に自分から試合を作ること
──2022年8月のブライアン・バトル戦から約7カ月ぶりの試合となります。どのように作ってきましたか。
「前回あんな負け方をしたので、コーチたちと話して、ちょっとスパーリングとかは2カ月から3カ月くらいやらずに空けて、そこからまた作り直してきました。特にこの部分に取り組む、というより全体的なレベルアップと、もう1回ケージに上がるためには、必ず勝てるように準備しないといけないということで、そういう準備は気持ちと身体もどちらもやってきました」
──ブライアン・バトルのその後の試合を見ても、ミドル級から落としてきた大きさと、下がりながらも打てる懐の深さを感じました。強い選手だなと。
「そうですね。大きいですよね。先週の試合でも14秒でKO勝ちして。いい選手だなと思います」
──そして、今回の対戦相手は、元EFC Worldwideウェルター級王者のテンバ・ゴリンボとなりました。ゴリンボになると聞いたのは?
「試合の6、7週前に対戦相手を聞いて、ゴリンボの試合を見て、どういう風に練習するかを決めてここまでやってきました」
──ゴリンボはMMA10勝4敗で6つの一本勝ちということですが、その組みにもここでバックから落とされるかという粗さも感じました。
「組みで勝っているんですけど、全体のレベルはそんなに高くないかなと。手足が長い(身長185cm、リーチ194cm)ので打撃も長いんですけど、倒すような打撃ではないかなと見てては思いますね」
──その相手にどんな戦いで臨みたいと考えていますか。
「常に自分から試合を作ることをメインに──それを今回、自分の大きなテーマでやってきたので、常にプレッシャーをかけて、打撃の面でも組みの面でも自分がアドバンテージを取れるように、トータルMMAで勝てれば。最終的にはフィニッシュできればいいかなと思います」
──「自分から作ること」は前回の試合でも?
「前回の試合も自分から作りにいってもらって負けてるんですけど(苦笑)、でもそこを変えるわけじゃなくてやってきたことは間違っていないと思っているので、ああいう風なアクシデントが無いように意識しながらも変わらずプレスをかけて自分で試合を作るのを見せていきたいです」
──あのとき……バトルが左ジャブから右ストレートを少し佐藤選手の顔の右側に伸ばして、佐藤選手が左に避けるところに右ハイキックを狙った。スローで見返すと、右ストレートを伸ばした時点でバトルは同側の右ハイを打ちに行ってました。練習でもあの動きはあるようなものだったのでしょうか。
「あんまりもらうことは無かったですけど……日本にいるときとかも、反応で左に避ける癖があって。ガードを抜けてああいうアクシデントが起きることもあるので、ああいう動きも気を付けながら、反応で受けてその場にいたからもらってしまうと思うので、見えてるならしっかり外すなり、正しい対処をしないといけないなと。(カマル)ウスマンもそうでしたよね。誰にでも起こるようなことなので、その確率を無くすように──そのあたりの動きも徹底して正しい動きができるようにやってきました」