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【UFC】平良が一本勝ちでオクタゴン3連勝! 木下憂朔デビュー戦は1R TKO負け、「RTU決勝」バンタム級で中村倫也が風間敏臣にKO勝ちでUFC入り決める、スピヴァクがルイスに一本勝ち

2023/02/05 11:02
 2023年2月4日(日本時間5日)、米国ネヴァダ州ラスベガスUFC APEXにて『UFC Fight Night: Lewis vs. Spivac』が行われた。『ROAD TO UFC』の決勝戦も行われる同大会には4人の日本人選手が出場した。  UFC2連勝中、3度目の出場となるフライ級の新星・平良達郎(日本・12勝0敗)は、前日計量で125.5ポンド(56.93kg)でパス。SNSに「計量無事パスしました! いよいよ明日。 2月5日日曜日。お昼12時開始、第1試合目。ぶち上げます」と意気込みを記した。対するUFCデビュー戦のヘスス・アギラー(メキシコ・8勝1敗)は、+1ポンド規定(※王座戦以外は許容)を使わない125ポンド(56.70kg)のジャストでパス。  キャップをかぶってフェイスオフに臨んだ平良は、アギラーが差し出した右手に応えて握手。笑顔を見せたアギラーに対し、表情を崩さず視線を合わせてからお辞儀した。  コンテンダーシリーズでのKO勝ちでUFC入りを決め、今大会でいきなりメインカード入りしたウェルター級の木下憂朔(日本・6勝1敗)は、UFCデビュー戦の計量を170.5ポンド(77.34kg)でパス。LFAから先にUFC入りし、1敗のアダム・フューギット(米国・8勝3敗)も同じ170.5ポンドでパスした。  フェイスオフでは、お互いに右手を差し出して握手。金髪の単髪の木下は強い視線でフューギットを見つめると、フューギットもうなずいて応答。最後にもう一度右手を差し出した。計量後、木下は「The day the world will know me.(世界が俺を知る日)」とツイートしている。  日本人対決となった「RTU決勝」バンタム級では、風間敏臣(日本・10勝2敗)と、中村倫也(日本・6勝0敗)ともに綺麗にカットが出る仕上がりぶり。風間は+1ポンド規定の136ポンド(61.69kg)でパス。中村はバンタム級王座戦リミットの135ポンド(61.24kg)で計量をパス。見据える風間に対し、後ろ手に両手を組んで視線を合わせた。 [nextpage] UFC Fight Night: Lewis vs. Spivac 速報 現地時間2023年2月4日(日本時間5日)米国ネバダ州ラスベガス /UFC APEX 【メインイベント】 ▼ヘビー級 5分5R〇セルゲイ・スピヴァク(モルドバ)16勝3敗(UFC7勝3敗)255.5lbs/115.89kg[1R 3分05秒 肩固め]×デリック・ルイス(米国)26勝11敗(UFC17勝9敗)265lbs/120.20k  1R、ともにオーソドックス構え。ルイスは先にサイドキックを見せる。その入りに組んで首投げテイクダウン、袈裟固めのスピヴァク。  亀になり立ち上がろうとするルイスを崩してマウントを奪うスピヴァク。ハーフに戻して強引に立ち上がるルイスをボディロックから斜め前方に崩してコントロール。  その都度立ち上がるルイスだが、崩されて亀に。右脇を差しながら仰向けにさせるスピヴァクは、右脇を開けたままのルイスにそのまま頭を突っ込み肩固めを極めた。  試合後、「デリック・ルイスは素晴らしいレジェンドだし尊敬している。今日は自分の時間だ。ボーナスはどこだ? トップ5と戦いたい。(誰と?)ジョン・ジョーンズと戦いたい。シロクマはここにいる。毎日トレーニングして、試合に勝てて、とてもハッピーだ!」と語った。 [nextpage] 【コ・メインイベント】 ▼ライトヘビー級 5分3R〇デビン・クラーク(米国)14勝7敗(UFC9勝6敗)204.5lbs/92.76kg[判定3-0] ※30-27×3×チョン・ダウン(韓国)15勝6敗(UFC4勝3敗)205lbs/92.99kg  1R、右を振りながら右で差して先に組んだのはクラーク。金網背に左で小手に巻くダウンにクラークは肩パンチ。ダウンは左のヒジ打ちで体を入れ替え、スタンドバックに。  前方に崩すが、クラークは正対。そこに右ヒジを打ち込むダウン。クラークは近距離で左ハイ。ダブルレッグから小外掛けでテイクダウンを奪うも、すぐに立つダウン。  ダウンの入りにタイミングよく組んだクラークはダウンの投げを潰して崩してテイクダウン。ダウンはハーフで凌ぎブザーも、起き上がりに少し時間を要した。  2R、サウスポー構えから入るクラークはオーソに戻して中に踏み込み。そこに跳びヒザを狙うダウン。クラークはダブルレッグで尻を着かせるが、ダウンは股間に手を差し込みスイッチから体を入れ替えスタンドバックに。  そこに背負投げを狙うクラークに、投げを潰したダウンは右で圧力をかける。ジャブの打ち終わりに組み付くクラーク。左で差して押し込むダウンに肩パンチはクラーク。ダウンは押し込んだままブザーを聞く。  3R、ダウンの左ジャブの引きに合わせて組むクラーク。ダブルレッグに入るが、ここは切るダウン。クラークは右ミドルを当てる。ダウンは四つから小外がげでテイクダウン! 亀になるクラークにダウンはバックに回るが、すぐに落としたクラークが上に。  立ち上がるダウンは左で差して起し込み。しかし首相撲ヒザを狙うダウンに押し込みはクラーク。右ヒジを叩き込み、近距離で左ハイ。残り10秒の拍子木を聞いて、ダブルレッグでテイクダウン! ブザー。  判定は3-0で要所でテイクダウンを奪ったクラークが勝利した。 [nextpage] 【メインカード】 ▼ヘビー級 5分3R〇マルチン・ティブラ(ポーランド)24勝7敗(UFC11勝6敗)253.5lbs/114.99kg[判定3-0] ※30-27, 29-28×2×ブラゴイ・イワノフ(ブルガリア)19勝5敗(UFC3勝4敗)256.5lbs/116.35kg [nextpage] ▼フェザー級 5分3R△チェ・ドゥホ(韓国)14勝4敗1分(UFC3勝3敗1分)145.5lbs/66.00kg[判定1-0] ※29-27, 28-28×2△カイル・ネルソン(カナダ)13勝5敗1分(UFC1勝4敗1分)145.5lbs/66.00kg  1R、ともにオーソドックス構え。ドゥホは右カーフキックを2発。ネルソンはその蹴り足を掴んでボディロックから持ち上げてテイクダウン。  ドゥホは金網で上体を立てるとネルソンは左足をかけてバックを狙うが、それを前方に落としたドゥホが上に。左で差してパス狙い。下のネルソンは足をからめてハーフ、腰を切りフルガードに戻してヒップスローを狙ったところでブザー。  2R、オーソから左ミドルを当てるネルソン。ドゥホは右カーフを返すが、ネルソンの右ストレートを被弾し、後退。しかし立て直すドゥホは右カーフをコツコツと当てる。互いに右ストレートで、当てるのはネルソン! ドゥホは右カーフを当てる。右から左の返しはネルソン。しかしドゥホはなおも右カーフを当てる。  3R、ドゥホのボディ打ちに崩れながらも足を手繰りテイクダウンするネルソン。しかし、ドゥホは金網使い立ち上がり。そこを尻下でクラッチするネルソンは再び持ち上げテイクダウンで尻を着かせる。  しかしスクランブルから上を取るのはドゥホ。ガードの中から頭を引き寄せたところで頭を突っ込んだことでヘッドバッドとなり、ドゥホに痛恨の「減点1」。再開後、低いシングルレッグのネルソンは押し込み。それをがぶり、ボディにパンチを打ち込むドゥホにネルソンの動きが止まる。ネルソンが押し込んだままブザー。  判定は1者が29-27でドゥホを支持も、2者が28-28でドローとなった。 [nextpage] ▼ウェルター級 5分3R〇アダム・フューギット(米国)9勝3敗(UFC1勝1敗)170.5lbs/77.34kg[1R 4分36秒 TKO] ※左ストレート→パウンド×木下憂朔(日本)6勝2敗(UFC0勝1敗)170.5lbs/77.34kg メインカードには、2022年8月の「ダナ・ホワイト・コンテンダーシリーズ(DWCS)」ウェルター級 で、ジョゼ・エンヒッキを3R、左ストレートでダウンを奪ってのパウンドでTKOに下して、UFCとの契約を勝ち取った木下憂朔(パンクラス大阪稲垣組/ KILL CLIFF FC・MMA6勝1敗)が登場。MMA8勝3敗のアダム・フューギット(米国)と対戦する。  身長182.9cm、リーチ181.6cmの木下に対し、フューギットは身長185.4cm、リーチ195.6cmと木下のリーチを14cm上回るが、前戦で身長195cm、リーチ199cmのエンヒッキをスイッチも駆使して下した木下にとっては苦にしないか。  フューギットは、2022年5月のLFAでサウスポー構えからオーソのソロモン・レンフローの左フックに、内側からシャープな前手の右ジャブをカウンターで当てて1R TKO勝ち。  UFCデビュー戦となった2022年7月の前戦「UFC277」では13勝無敗(UFC1勝)だったマイケル・モラレスに3R TKO負けを喫している。  ベースは高校時代のレスリングで、柔術茶帯、ムエタイを学びMMAへ。モラレス戦で見せた左の蹴りとやはり右前手と長い左ストレートは注意が必要で、また、四つ組みからの大内刈でテイクダウンを奪うなど組みにも積極的だ。  頭を下げての打撃で相手に金網を背負わせてシングルレッグからのバックテイクも成功させており、2つのリアネイキドチョーク、1つのキムラでの一本勝ちが、グラップリングベースを物語っている。  誰が相手でも怪物ぞろいのウェルター級で、木下はいかにUFCデビュー戦を戦うか。前戦で試合中に負傷のなかでTKO勝ちを決めた、若干小さ目のケージのUFC APEXでの戦いは、木下にとってゲンのいい会場に出来るか。  試合前の会見では、「いよいよ来たなという感じ。ワクワクしているのと、ようやくファイターとして、やっと始まるなという気がします。KOオンリーで勝ちます。いまの僕らが凄いということを見せたい。日本人が誰も成し遂げてないような記録や、インパクトのある試合を残していきたいと思います」と語っている。  なお、木下が米国修行でともに練習したUFCファイターの佐藤天が現地に帯同し、セコンドを務める。  1R、サウスポー構えの両者。木下は左ロー。詰めて組むが、フューギットは突き放す。さらに木下が蹴り足を取って詰めるが、足を抜いたフューギット。  左ジャブを当てるフューギットは、蹴り足を取ってテイククダウン。シングルレッグ、さらに小外がけでテイクダウン。  立つ木下は左ローも、そこで片足になったところにフューギットは左ストレート! 後方にダウンした木下は亀に。ハーフから亀に戻した木下は下からシングルレッグも切られ、正対したものの、ヒジの連打を浴びるとレフェリーが間に入った。  UFC初勝利を挙げたフューギットは「とても嬉しい。いいパフォーマンスが出来たと思う」と笑顔。木下はオクタゴンデビュー戦で苦い敗北となった。 [nextpage] 【プレリム】 ▼RTU決勝:ライト級 5分3R〇アンシュル・ジュブリ(インド)7勝0敗(UFC1勝0敗)155.5lbs/70.53kg[2R 3分44秒 TKO] ※パウンド×ジェカ・サラギ(インドネシア)13勝3敗(UFC0勝1敗)155lbs/70.31k※ジュブリが優勝、UFCと契約  インドネシアのサラギは13勝のうち7KO、4一本と高い決定率を誇る。準決勝では、韓国のキ・ウォンビンを1R 右ストレートで失神KOに下すアップセットを遂げた。ジュブリはインド出身、元数学教師という経歴を持ちデビューから6戦全勝。準決勝では、キム・ギョンピュにスプリット判定勝ちしている。  1R、ジュブリがテイクダウン。下のサラギにインサイドガードからヒジ、パウンドを打ち込むとパスガード。マウントから肩固めへ。内側を向いて外したサラギはスタンド勝負でバックフィストを狙う。  2R、左右の4連打で前に出るサラギだが、組んだジュブリはシングルレッグテイクダウン。サラギの立ち上がり際にバックに回ると、右腕を対角の手で縛ってパウンド。手首を抜いたサラギだが、バックマウントを奪うと、身体を伸ばして、再び右腕を縛ってパウンド。動けないサラギを見て、レフェリーが試合を止めた。  試合後、ジュブリは「ナマステ、UFC、やっとここに来れた! キャプテン・インディアはここにいる! 頂点まで行くんだ。史上初のROAD TO UFC王者だ! 試合は支配できた。これからも努力を重ねて世界一になりたい」と語った。 [nextpage] ▼RTU決勝:フェザー級 5分3R〇リー・ジョンヨン(韓国)10勝1敗(UFC1勝0敗)145lbs/65.77kg[判定2-1] ※29-28×2, 27-30×イー・ジャー(中国)21勝4敗(UFC0勝1敗)145.5lbs/66.00kg※ジョンヨンが優勝、UFCと契約  27歳でMMA9勝3敗、現在6連勝中かつ3連続1ラウンドフィニッシュのジョンヨン。前戦の準決勝では、中国のルーカイを右のショートで1R 42秒でKOに下している。  26歳のイー・ジャーは1回戦でSASUKE=佐須啓祐(MASTER JAPAN)に1R リアネイキドチョークで一本勝ち。ジャーのボディロックテイクダウンに右手をマットに着いたSASUKEが負傷後に極めた形だが、20勝3敗のレコードが示す身体の強さは折り紙付きで、ここ4年間は風間に敗れたマイマイチツォヘチに2R TKO負け以外、黒星はない。準決勝では、松嶋こよみとの接戦を制している。  1R、ジョンヨンの詰めての右に、ジャーは右で差して組みに。金網に押し込みダブルレッグに切り替えると、ジョンヨンはアームロック狙い。それを両足をクラッチして持ち上げテイクダウンはジャー。  立ち上がるジョンヨンのスタンドバックにつき、右足をかけると正対したジョンヨンにシングルレッグへ。足を抜き体を入れ替えるジョンヨンをなおも回して金網に押し返すジャー。いったん背負い投げを狙うが、残されると、なおも押し込みヒジを突き、ジョンヨンの押し返しにダブルレッグ。しかしこれを切るジョンヨンの詰めに右アッパーはジャー。  2R、詰めてダブルレッグテイクダウンはジャー。立ち上がり際にバックを狙うが、離れ際に右を当てるのはジョンヨン! しかし、ジャーは1R同様に力を使いシングルレッグへ。これをヒザ蹴りを入れて突き放したジョンヨン。  ジャーはスーパーマンパンチもかわしたジョンヨンは、ジャーの入りに右アッパー。テイクダウン狙いをがぶり切る。しかし詰めたところでジャーはダブルレッグテイクダウン! ジョンヨンは下から腕十字狙い。これをかわしたジャーに軽く蹴り上げを当ててしまい、注意。スタンド再開。ジョンヨンはジャブでジャーの入りを止める。  3R、打撃で圧力をかけるジョンヨン。ジャーは右ストレートを伸ばして右アッパー、さらにダブルレッグへ。突き放すジョンヨン。なおも左で差して金網に押し込むジャー。これを突き放すジョンヨンは右アッパーから左ストレート! 組みに来たジャーはスクランブルからバックを狙いに行くが、前に落としたジョンヨンが上に。腕十字に入るが、腕を抜いたジャーが上を取って腰を抱いて押し込み。ジョンヨンが上半身を金網に立てると、立ち際にジャーが回してブザー。  判定は2-1(29-28×2, 27-30)と割れ、ジョンヨンがフェザー級優勝でUFC入りを決め、「プランは、韓国人コナー・マクレガーになることだ! キャンプ中にACLを断裂していたので、それが心配だった」と語った。 [nextpage] ▼RTU決勝:バンタム級 5分3R〇中村倫也(日本)7勝0敗(UFC1勝0敗)135lbs/61.24kg[1R 0分33秒 TKO] ※左フック→パウンド×風間敏臣(日本)10勝3敗(UFC0勝1敗)136lbs/61.69kg※中村が優勝、UFCと契約 『ROAD TO UFC(RTU)』の決勝戦では、2022年6月から行われているフライ級、バンタム級、フェザー級、ライト級の各階級のトーナメント戦を勝ち上がったファイナリストたちによるUFC契約をかけた試合が行われる。  注目は、日本人選手同士の対決となったバンタム級決勝戦。  一人は、柔術からMMAに転向し、PANCRASEを主戦場に第27回ネオブラッド・トーナメント優勝およびMVPを獲得した“殺しのプリンス”こと風間敏臣(和術慧舟會HEARTS)。RTUでは1回戦で中国のマイマイチツォヘチに判定勝ちし、準決勝ではキム・ミンウの体重超過により不戦勝で決勝に進出した。  もう一人は、レスリングU-23世界選手権フリースタイル61kg級優勝から、MMA転向後はプロ5戦中4試合を2Rまでにフィニッシュしている中村倫也(フリー)。1回戦でインドネシアのググン・グスマンにアメリカーナで一本勝ちし、準決勝では野瀬翔平にTKO勝ちを収めて決勝戦に勝ち上がっている。  もともと両者は準決勝で対戦予定だったが、なぜか組み合わせがシャッフル。それそぞれが準決勝を勝ち上がり、ソウルからラスベガスに変更された今大会で決勝での対戦となった。  HEARTSでの練習、さらに柔術家・北出拓也の指導を受けて、「俺の人生をかけて彼の人生を奪う覚悟ができた。2月風間敏臣がフィニッシュしてUFCというスタートラインに立つ、必ず」「圧倒・仕留める」とフィニッシュを狙う風間。  フリーとなり、埼玉での練習に加え、東京に通いイエローマンズCUTEやKRAZYBEEでスパーリング。さらに今成柔術で風間対策も練り、「あんな格闘家になりたい。と思い描いていた姿に心身共に大きく近づく一年になりました。去年を超えて、今の自分は1年前と比べものにならないぐらい視野が広く、思考は深く、直感は鋭いです。いつも支えてくださる皆様ありがとうございます。今年から来る大波を乗りこなす準備がじっくりできたので、皆さん楽しみにしててください」と自信を見せる中村。 “修羅の国”UFCの狭き門をくぐるのは、風間か中村か。  1R、勢いよく中央に飛び出た風間は間合いを詰めて左フックをヒット! しかし、中村はサウスポー構えから左ハイを連打し押し返すと、打ち合いを望む風間に右フックをヒット!   ダウンした風間はすぐに立ち上がるが、詰める中村は風間の左右をかわして左ストレートを当て、さらに左フック! 大の字にダウンした風間に、左の鉄槌1発を落として、試合を決めた。  試合後、手を合わせていた中村は、UFC入りを決めたインタビューで、「(英語で)最初に家族、コーナーマン、コーチにありがとうと言いたいです。応援してくれたみんなにも。トーナメントを通じてLDHマーシャルアーツ、イリディウムスポーツエージェンシー、みんなに感謝しています。 (フィニッシュについて)自分に深く入り込んでいたので覚えていないです。このケージで戦うことを長い間、15年間夢見てきました。凄く重要なことです。日本を代表し、日本がどれだけ素晴らしいか。僕のチームがどれだけ素晴らしいのか。どれだけ僕が優れているのか、イリー・プロハースカや日本の他の選手とともに実力を示していきたいです」と語った。 [nextpage] ▼RTU決勝:フライ級 5分3R〇パク・ヒョンソン(韓国)8勝0敗(UFC0勝0敗)124.5lbs/56.47kg[3R 3分11秒 リアネイキドチョーク]×チェ・ソングク(韓国)6勝2敗(UFC0勝0敗)125.5lbs/56.93kg※ヒョンソンが優勝、UFCと契約  ヒョンソンはデビュー以来無敗の7連勝。うち6戦でフィニッシュ勝利している。前戦の準決勝では、トップノーイを1R リアネイキドチョークで極めている。  対するソングクもキャリアは7戦と浅いが、現在5連勝中。準決勝では、コンテンダーズ・シリーズにも出場(エリソン・フェレイラに判定負け)したチウ・ランに判定勝ちで決勝進出を決めている。  ソングクのセコンドには“コリアンゾンビ”ジョン・チャンソン  1R、ともにオーソドックス構え。ソングクの右ハイは遠い。ヒョンソンの右ローも空振りの遠い間合い。ヒョンソンは左インロー。続く蹴り足を掴んでソングクは右を振ってヒョンソンを押し倒す。中腰のソングクに、下から足を蹴り上げるヒョンソン。  ブレーク。左ローを打つヒョンソンに、右ミドルはソングク。ヒョンソンも右ローを返すが、ソングクは右カーフを踏み込んで当てる。ヒョンソンの右ハーフにソングクは右ストレートを合わせに行く。  2R、中央を取り圧力をかけて左ストレートを打ち込むソングク。ヒョンソンの左ローを掴んで右ストレートを打ち込み、ダウンを奪うと上に。インサイドガードからパウンドもヒョンソンはケースを背に立ち上がり。  スタンド。逆に圧力をかけるヒョンソンは右を振ると、ソングクが手数で左右。右で差して押し込むが、突き放すヒョンソンは左右で前に。ワンツーの右を打ち込むが、それを掻い潜り組むのはソングク。離れ際に右を振る。かわしたヒョンソンが詰めてブザー。  3R、接戦の最終回。ヒョンソンのわんつーを回ってかわすソングクは右カーフ。さらにシングルレッグも切るヒョンソン。左ジャブの打ち終わりに組むソングクに差し返したヒョンソンがヒザを突き、スタンドバックから持ち上げてソングクにマットに手を着かすと、スタンドバックに。4の字ロックからリアネイキドチョークを狙うと、ヒザを着いたソングクの身体を伸ばし、左右の手を入れ替えてリアネイキドチョークを極めてタップを奪った。  RTUフライ級で優勝し、8戦全勝でUFC入りを決めたヒョンソンは、オクタゴンのなかで「フィニッシュを狙っていた。オールラウンダーの相手に対応できるようにゲームプランを立ててきた」「睡眠時間が4時間だったので、時間に合わせなければならなかったけど、何とかなった。フィニッシュを狙ったけど、相手もよく準備していた。彼が疲れていることに気づいたので、そのチャンスを活かした」と語った。 [nextpage] ▼ミドル級 5分3R〇パク・ジョンヨン(韓国)16勝5敗(UFC6勝2敗)185.5lbs/84.14kg[1R 4分05秒 リアネイキドチョーク]×デニス・トゥルーリン(ロシア)10勝7敗(UFC1勝2敗)186lbs/84.37kg  韓国のジョンヨンはUFC5勝2敗。オクタゴンデビュー戦こそ一本負けも、その後3連勝。2021年10月にグレゴリー・ホドリゲスにTKO負け後も2連勝中。前戦はジョセフ・ホームズをリアネイキドチョークで極めている。  ロシアのトゥルーリンはUFC1勝1敗。オクタゴンデビュー戦でアリアスカフ・キズリエフに2R リアネイキドチョークで一本負け。しかし2戦目はジェイミー・ピケットにTKO勝ちしている。  1R、ともにオーソドックス構え。。左ジャブの刺し合いから、ジョンヨンがボディを効かせて四つ組みへ。小外がけを合わせてトゥルーリンをテイクダウン。マウントに。金網に上体を立てようとするトゥルーリンを横に寝かせて強烈なヒジ打ち! 出血するトゥルーリンは思わず背中を向けるが、その際で腕を喉下に巻いたジョンヨンはリアネイキドチョークで絞め、トゥルーリンを失神させた。ジョンヨンは2試合連続一本勝ち。 [nextpage] ▼フライ級 5分3R〇平良達郎(日本)13勝0敗(UFC3勝0敗)125.5lbs/56.93kg[1R 4分20秒 腕ひしぎ三角固め]×ヘスス・アギラー(メキシコ)8勝2敗(UFC0勝1敗)125lbs/56.70kg 本戦のプレリミナリーでは、今回で3度目のUFC出場となる平良がヘスス・アギラー(メキシコ・8勝1敗)と対戦する。  23歳でプロMMA12勝無敗を誇る平良は、2022年2月にUFCとの契約を結ぶと、5月にカルロス・カンデラリオに判定勝ち。10月にCJ・ヴェルガラに腕十字で一本勝ちとオクタゴンで2連勝中。  UFC3戦目に向けて、プロ選手が増えて充実した沖縄で調整し、試合1週間前にラスベガス入り。「試合まであと3日。体も少しづつ馴染んできました。そして自分は第1試合、当日はやったります!!」と意気込みを記している。  平良が戦うアギラーは、コンテンダーシリーズ上がりでUFCデビュー戦。8勝中6つの一本勝ちを誇り、うち5勝をギロチンチョークで極めるという“ギロチン王”だが、平良は、「対戦相手はUFCのデビュー戦なので、甘い世界じゃないっていうのを逆に僕が教える立場だと思ってます。今年はベルトに絡めるような選手に成長します。日本を背負って、思いっきり戦ってきます」と、完勝してフライ級で上位に立つとコメントしている。  1R、ともにオーソドックス構え。アギラーはいきなり右カーフキック! バランスを崩した平良に左ミドルも。それをブロックした平良はシングルレッグテイクダウンへ。そのテイクダウンに得意のギロチンチョークを仕掛けたアギラー!  クローズドに入らず、左足は対角に抜けている平良だが、首は抜けず。右手を外したアギラー。平良は左で枕に巻き、左肩で圧力をかけて首を抜き、パスガード!  マウントを取る平良はハイマウントから三角絞めへ! 左手を三角の中に入れているアギラーに対し、足を三角に組んだまま右腕を腕十字に極めてタップを奪った。  勝利の瞬間に平良に笑顔は無し。戦績を13勝無敗とした平良は、松根代表とハグをかわすとようやく安堵の表情。岡田遼と「苦しいときもありました。抱える力が強かったです」と言葉をかわした。  試合後のケージの中でのマイケル・ビスピンのインタビューに平良は、「ギロチンで抱えられてびっくりしちゃいまいした。僕が上を取って極められない選手はいません。もっと上に行きます! 押忍。アイラブユー、サンキュー! ありがとうございます。日本の皆さん、勝てました」と上位陣に宣戦布告。  放送席に戻ったビスピンは「技術的に完璧な選手。相手のギロチンにまったく慌てていなかった。彼にセットされたら、もうタップするしかない」と絶賛した。  バックステージで平良は「ギロチン(チョーク)が得意と聞いていたので警戒していました。最初に体勢を取られて面食らったんですが、冷静に対応できました。試合を重ねるごとに自分とも会話でき、セコンドの声も明確に聞こえていました。ランキング入りには興味がないですが、早くランカーと試合をしたいです。目指しているのはベルトの獲得。年内に3戦3勝し、来年にはタイトル戦を目指したいと思っています」と語っている。 【中止】 ▼女子フライ級 5分3Rキム・ジヨン(韓国)9勝6敗(UFC3勝6敗)125.5lbs/56.93kgマンディ・ブーム(ドイツ)7勝2敗(UFC0勝2敗)125.5lbs/56.93kg※ブームの体調不良により、直前で試合中止に。
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