WBCムエタイ ダイヤモンド ベルトを持つ伊藤(右)と、日本でRENAやKANAと対戦したタウンセンド(C)RiSE_championship
2023年5月6日(土・現地時間)オーストラリア・ブリスベン『RiSE_championship』にて、伊藤紗弥(尚武会)がWBCムエタイ世界ライトフライ王座の“ダイアモンドベルト”を懸けてキム・タウンセンド(オーストラリア)と対戦した。
過去にはブアカーオ、センチャイを始め、世界トップ選手が手にした『WBCムエタイ ダイヤモンド ベルト』は、ムエタイというスポーツにおける最高レベルの成果を象徴するもの。ムエタイのスキル、強さ、精神を戦いで発揮した最高の選手に与えられる名誉あるチャンピオンベルトだ。
伊藤はジュニアキックで数々のタイトルを獲得。2012年12月には中学2年生にしてタイでWPMF女子世界ピン級暫定王座に就いた。2014年4月に国内で正式にプロデビューを果たすと、国内外の強敵を相手に快進撃を続けWPMF・WMC・WBCムエタイと女子世界王座の三冠を制覇。2020年2月の『RISE』初参戦ではAyakaに生涯初のダウン&KO負けを喫してしまったが、2021年4月の『ムエローク』ではムエタイルールでAyakaにリベンジ成功。BOM女子ピン級(-45.53kg)初代王座も獲得した。
【写真】WBCムエタイのインスペクターの前でグローブを着ける伊藤(C)伊藤紗弥
7月には『BOM』で初のオープンフィンガーグローブマッチに挑み、女子二冠王MIREYに勝利するも、9月に2度目のRISE参戦でRISE QUEENアトム級王者・宮崎小雪(-46.5kg契約)に延長戦の末に判定2-0で惜敗した。11月のBOMで初めて48kgに挑戦し、RINAを破ってBOM女子ライトフライ級(-48.98kg)王者になると、2022年5月にはナムワンを破りIPCC世界女子アトム級王者となって世界四冠王に。2022年10月にはさらに上の階級である-50kgで『MUAYTHAI SUPER CHAMP』のトーナメントに参戦すると、1回戦・準決勝を勝ち抜くも決勝で涙を飲んだ。今年3月にはタイ・パタヤで勝利し、IMSAという団体のベルトを新たに獲得している。
対するタウンセンドはWKN 50.5kgオーストラリア王座、IKBF 50kgオーストラリア王座、WMC 50.8kg 53kgオーストラリア王座、WMC 52kgオセアニア王座などを獲得し、2012年8月に初来日。シュートボクシングの『Girls S-cup世界トーナメント』1回戦でRENAと対戦し、判定で敗れた。2018年5月にはKrushに再来日し、当時KANAが保持していたKrush女子フライ級(-52kg)王座に挑んだが、延長戦の末に判定で惜敗している。KANAに敗れた後は11連勝で、ISKAムエタイ世界フライ級王座、WBCムエタイ世界ライトフライ級王座、WBCムエタイ世界フライ級王座、WMC世界ライトフライ級を次々と獲得している。
【写真】伊藤が自身のInstagramで公開した、両足首に包帯を巻いた痛々しい姿(C)伊藤紗弥
伊藤が勝てば日本人初のWBCダイヤモンドベルト保持者となったのだが、フルラウンドとられての判定負け。伊藤は自身のInstagramにて「完敗でした。世界は本当に強い。やりたいことをなにもやらせてもらえなかった。2Rに足を痛めとにかく最後まで立ってることで精一杯。結果は出せませんでしたが、諦めず戦いました」と、2Rに足を痛めながらも5R戦い抜いたことを告白。Instagramには両足首に包帯を巻いた痛々しい姿も。
体格的なハンディがあったことが大きいが、女子タイ人選手とは違うフィジカルの強さがあったことも敗因のひとつだろう。ここから伊藤がどう攻略していくかに注目が集まる。