【RIZIN】サトシと対戦するスパイク・カーライル「この競技は柔術じゃない。『MMAとしての総合的な完成度』で俺が上回っている」

（C）RIZIN FF/Bellator/ゴング格闘技

　2023年5月6日（土）東京・有明アリーナ『RIZIN.42』に出場する全選手の個別インタビューが4日、都内にて行われた。

　第11試合のライト級（5分3R）で現RIZINライト級王者のホベルト・サトシ・ソウザ（ボンサイ柔術）とノンタイトルで対戦するスパイク・カーライル（米国）が個別インタビューに応じた。

　元UFCファイターでBellatorにも参戦するカーライルは、2022年4月の「RIZIN.35」で一本勝ちした武田光司と、今回のサトシ戦に向けてタイ合宿で合流。さらにグラップラーとの練習を重ねてきたことを明かした。

　前戦は、サトシ同様にAJ・マッキーに判定負け。自身も対戦したAJとサトシの試合をチェックし「双方が強さを見せる瞬間もあれば、弱さを見せる瞬間もあるという試合だった。自分はあの試合でサトシについて多くのことを学べたというのは間違いない」と自信を見せた。

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──試合を2日後に控えた心境を教えてください。

「アメイジングな気分です。計量前夜から体重を落とす準備に入りますが、それが言わば一つ目の戦いですね。そこをうまく乗り越えられれば、あとはスムーズに試合に臨むことができます」

──今回に向けて新たに取り組んだことなどありますか。

「ええ。ここ6カ月、ジャングルに閉じ込められて、灼熱のタイで一生懸命身を身を窶して取り組んできました。素晴らしいキャンプでした。言わずもがな、サトシ選手というのは柔術のスペシャリストであるということは分かっていたので、カウンターの動きにたくさん取り組んできました」

──対戦相手のホベルト・サトシ・ソウザ選手の印象を教えてください。

「試合に関しての側面で言うならば、彼はグラウンド・ラブという感じで、寝技を好む選手。彼はフルガードに入れるためにタックルから引き込むこともあって──これはMMAにおいては、極めて珍しいのことですが──これがしっかり彼のために機能していますね。彼がフィニッシュ率100パーセントに近い戦績であることからしても、何かしらうまくやれていることがあるのだと思うし、彼がスタンドでも努力してきているのが見てとれます」

──大晦日のAJマッキー選手とサトシ選手の試合をどう見ましたか。

「前回のAJ戦ではサトシに改善点が見られたと思う。だから彼が常に取り組んでいること、つまりストライカーとしてもよりうまい選手になろうとしていることや、彼が得意とする柔術の技をセットアップするために、打撃を使うという部分を強化しているのだと思います」

──予想する試合展開は？

「自分にとっては“マスタークラスのパフォーマンス”になると思う。とても自信があります。この試合に向けてのファイトキャンプは過去一番長いものになりました。さっきも言ったけど身を粉にしてきた。もともと4月1日の試合でオファーがきていたのですが、5月6日になって。文字通りのジャングルで半年間この試合に向けて準備して、対戦相手が決まったところで、その対戦相手に特化したゲームプランを立て始めました。というわけで、終始マスタークラスのつもり。この戦いで彼に優位性やアドバンテージをもたさせるわけにはいかない」

──タイで一番辛かったのは？

「難しかったこととして、アメリカからコーチを1人連れてくることになったんだけど（なかなか合宿先で適切なパートナーを見つけ辛いから）、それが功を奏した。タイには何度か行ったことがあって、今回はタイガー・ムエタイと、プーケット・グラップリング・アカデミーで練習して、今まで行ったことがあるところとは違う拠点を置いたんだけれども、ありがたいことに自分は恵まれていて、非常に適した人たちに会うことができたし、とくにサトシスタイルを模倣できる練習相手というのも見つけられた。難しかったこととして言うなら、ホームカントリーのアメリカと同じような良いトレーニングに取り組めるようにすることだったし、それができた」

──カーライル選手の方がサトシ選手より上回っていると思うことは？

「試合がどうなるにしても、自分の『MMAとしての総合的な完成度』が上回っているのではないかと。彼は柔術のスペシャリスト、とりわけ“ギ”（柔術衣）に優先的に注力してきた時間が長い選手だと思います。自分は15歳の時から、MMAファイターになることを夢に見ていた人間で、そのために心の火を燃やしていたわけです。それで、実は試合当日に自分は30歳の誕生日を迎えます。だから、これは誕生日に勝利することができるってことだから、こういう偶然の機会をありがたく思っています。というわけで、上回っている部分というのは、先ほども言ったように、MMAの総合力ですね。この競技においては、柔術ではないわけですから」

──ともに直近でAJマッキー選手に敗れた者同士の対戦となりますが、思うところはありますか？

「いや、特に。ただ、めっちゃ面白えなと思ったのが、もし両方の試合を見比べると、自分はAJ戦の立ち上がりですごく善戦したし、サトシは、試合の終盤で善戦していた。だから攻防という点でも試合を半分でまっぷたつにして、真ん中にできたら面白い試合として見られるんだけどねえ。

　とにかくそのことに感情として沸くものはなくて、未来がどうなるのかは分からないし、誰も明日何が起きるかなんてことは知らない。だけど、とにかく自分としては、いつか、AJとはリマッチしたいと思ってる。しかも単なる再戦じゃなくて、RIZINルールのもとで、つまり踏み付けやサッカーキックができたりとか、グラウンド上での頭部への打撃だとか、そういうことができる場合だと色々変わってくるだろうね」

──プロキャリア18戦でフィニッシュされたことはないと思いますが、アマチュア戦績含めてフィニッシュされたことはないのでしょうか？

「イエス。アマチュア戦績は14試合ですが、それを含めてフィニッシュされたことは一度もありません」

──タイでは黒帯柔術家はパートナーにせず、相手の弱点の打撃をつくような作戦だったのですか？

「いや、自分はプーケット・グラップリング・アカデミーでもトレーニングをしてきて、ベン・ロイヤルっていうヘッドコーチがいるんだけど、彼があの国で最も優れたノーギの柔術家だと思う。ベンの柔術は素晴らしいよ。それにたくさんのハイレベルな柔術家たちも彼の元にいる。だから自分はもう何度タップしたか分からないくらいだった。それで一生懸命やって、この試合に向けてどんどん良くなっていって、準備を整えることができた」

──AJ戦ではパワフルな試合運びでしたが、後半で動きが落ちました。どう課題を克服しましたか。

「ええ、もちろん自分としては前の試合で起きたようなことがあっては、それ以降の試合では絶対あってはいけないと思っていて。自分の（理性の）コントロールを失ってしまうと、全てが崩れ落ちてしまいます。コントロールをできないということは呼吸も乱れてしまいますし、それで戦略を守れなくなったりして、自分が暴走してしまうだけのようになってしまいます。ですから、虎のようなハートを持って、でも虎のマインドではいられないので、賢い脳みそをつかって、戦わなくてはいけない。そういう意味で成長をしています、同じことを繰り返さないために」

──サトシとAJの試合を見て、作戦を立てる上で参考になったことや弱点を見つけたりしましたか？

「ああ、あの試合は、双方が強さを見せる瞬間もあれば、弱さを見せる瞬間もあるというものだったと思う。自分はあの試合でサトシについて多くのことを学べたというのは間違いないですね。

　間違っていたら直してほしいけど、自分の認識では、彼がMMAで判定まで行った最初の試合ですよね。その点で、あの試合を見られて良かった。というのも彼の試合はほとんどが1ラウンドで終わってしまっていて、それしかない状態でファイターの良し悪しの判断というのが難しいから。だから彼が全力を尽くして、成功する時もあれば、そうでないという瞬間があるのは間違いなく、見てとることができました。彼が、どういう風に作戦を練って戦うかを見られた」

──カーライル選手の戦績を見ると、フィニッシュした場合、リアネイキドチョークが多いですよね。サトシ選手のバックをとるということも作戦に？

「そうですね、自分が極めるときに仕留め損ねはしないです。7つの一本勝ち、6つのKO勝利をしていて、1つの判定は、自分的にはTKOだったと思ってる。っていうのはまた別のお話だとして、試合がどのようになるかによっては立った状態でもフィニッシュするし、グラウンドの展開になるならば、自分が首をとったり、腕をとったり、足をとったりという機会があるし、それがなんであれ狙いにいく」

ーー武田光司選手ともタイで一緒にトレーニングしたのですよね？

「そうそう、コウジがタイにきたから合流した。3、4週一緒練習して、お互いすごいい時間を過ごせたんじゃないかな。その間にファイターとしてだけではなく人となりを知ることができ、本当に素晴らしい若者で、彼に対する愛情とリスペクトがたくさん募ってます。非常にお互いに賢く練習をして、ご存じの通り、彼は自分の1週間前に試合があるという状況だったのでファイトキャンプが一致していたというのもあって、お互いを押し上げあって、MMAからボクシング、レスリング、柔術などなど全部を一緒にやってきて、お互い向上させあっていたよ。なにより、共に試合に向けたトレーニングのきつくてしんどい気持ちを誰かと共に分かち合えるというのは、とっても良いことだったと思う」