MMA
インタビュー

【RIZIN】武田光司を失神一本に極めたカーライル「71kgのキングに俺はなる!」「朝倉未来とはキャッチウェイトなら面白い試合になる」

2022/04/20 14:04
 2022年4月17日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで『RIZIN TRIGGER 3rd』に続き、連続開催された『RIZIN.35』第5試合のライト級で、元UFC・現Bellatorのスパイク・カーライル(米国)が、元DEEP同級王者の武田光司(BRAVE)と対戦。2R1分35秒、ギロチンチョークで武田を失神させ、一本勝ち。UFC後の戦績を5連勝とした。  日本のPRIDEに憧れたカーライルは、8勝1敗の好戦績で2020年にUFCデビュー。フェザー級でアーロン・クルーズに1R TKO勝利を飾ったが、その後自身初の連敗を喫しリリース。2021年からはLFA、Ballys FightNight、CageWarriorsで、全てKO/一本勝ちで3連勝、Bellatorとの契約をつかんだ。  2021年12月の前戦では同じく元UFCのダン・モレットにリアネイキドチョークを極めて一本勝ち。4連勝中だった。  今回のフィニッシュを、右フックを当てたところに、武田が四つ組みではなく、ダブルレッグで頭を出したタックルにカウンターでハイエルボーのノーアームギロチンチョークを極めたことを語ったカーライルに対し、武田は「注意していたのにパンチを当てられ危険な側に入ってしまった」と、ミスが命取りとなってしまったことを明かしている。また、今回の試合を経て、カーライルが本拠地とするカリフォルニアへの出稽古を望んだ。  一方のカーライルは、今後もRIZINに継続参戦し、ライト級のダブルチャンピオンを目指すことを語ると、本誌に向け、「自分はUFCと契約する前からミクル・アサクラ(朝倉未来)を見ていた。もし自分と戦えば非常に面白いマッチアップになる。ただ、自分も最後にUFCでフェザー級で戦ったときに調子が良くなくて健康にも良くないと感じたから、筋肉もつけてこの階級にした。対抗戦でやるならキャッチウェイトかライト級で戦いたい。アサクラのファイトスタイルは自分と合うから、面白い試合になるよ」と、UFCとBellatorの2大メジャーを経験した自身と朝倉との試合にも興味を示している。 カーライル「『71kgのキング』に俺はなる!」 ──武田光司選手との試合を終えた、率直な感想をお聞かせください。 「まだ自分自身で試合が見れてないので、うまくプロセスを説明できないけど、1R目は自分のやりたいことができなかった。コウジは自分の作戦をうまく遂行したと思う、いかにもレスラー然としたグラップリングをやってくる感じ。彼が上に乗っている時に、彼の息が上がっていったから、自分はこのまま落ち着いて、我慢していれば、最終的に自分の時間はやってくると考えていて、実際そうなったね」 ──試合開始のゴングと同時に一気に武田選手に走り寄ったのは? 「ほとんどの選手が下がりながら戦うことに慣れていないので、とにかく最初にプレッシャーを与えて、たじろぐようなことをさせたかったんだ」 ──戦ってみて、武田選手の印象は試合前と違うところはありましたか。 「彼のカーフキックが非常に強くて……、自分はそのカーフキックのチェックの仕方がすごく悪かった。何でだか分からないんだけど(苦笑)。恥ずかしいことだ。『How to check kicks』っていう入門編でも出そうかなと。ただレッグキックがすごく良かった一方で、レスリングは自分がこれまでに直面したようなもの以上っていうスキルではなかったから、彼がホールドしていてもパニックに陥ることもなかったよ」 ──「日本で試合をするのが夢だった」と仰っていましたが、初めての日本、また初めてのRIZINの舞台はいかがでしたか? 「信じられない。アメイジングだ! 夢が叶ったよ。“awesome”は日本語で“スゴイ”だよね? スゴイ、スゴイ! とてもアメイジングな経験をしているよ。ただ、誰も教えてくれなかったんだけど、あれ、ロープじゃなくてケーブルだよね? これはもう、全然違った。俺がトレーニングしてきたロープとは。ちょっと慣れるのに時間を要したね。あのケーブルでいかに上手く組み技をやれるか、いい道具を見つけないと。あれは“ロープ“じゃないよ!」 ──「RIZINのロープに対応したい」ということは、今後もRIZINで戦うことになりそうでしょうか。 「110%、いや120%、間違いなく戻ってきたいと思っている。ここが大好きだ。自分の人生の中でも最高だと言える経験のひとつをいまここでして、皆さんとここにいる瞬間にもすごく感謝しています」──ところで『BLEACH』の黒崎一護のコスプレで入場しましたが、斬魄刀などはどこで用意したのですか? 「ここにいる優秀なシンゴ(柏木信吾)が助けてくれました。元々は違う入場プランがあって、ここでは明かさないけど、ちょっとやろうと思っていたことが、コロナ対策の規制で実現できなかったんだ。もし近い将来、規制緩和となってできるようだったら、ド派手な入場をお見せしたい」 ──何度か、グレコローマン出身の武田選手から頭から落とされましたが、それはPRIDEのヒョードルの試合が参考になったのでしょうか。 「ははは、その通り。間違いなくヒョードルvs.ランデルマンの試合を参考にして、高いところから落とされる練習を何度もやってきたので、そのおかげで、今日は対応することができたよ」 ──フィニッシュですが、それまでは武田選手はボディロックからのテイクダウン、スープレックスでした。最後はダブルレッグで武田選手が入って頭が脇から出たところを、その脇の下に挟んでのギロチンでした。チャンスであると狙っていましたか? 「そうだね、あれはもう自然と極めて。もう一回見直さなくてはいけないけど、たしか、自分の打撃(右フック)がヒットして、その流れでタケダが足を取りに来たと思うけど、チャンスがあったので、取りに行ったよ。もうひとつ。僕はストライキングでもグラップリングでも試合をフィニッシュできる。今回が14勝中13フィニッシュ目で、7サブミッション、6ノックアウトだから、次はノックアウトして、イーブンにしたいかな」 ──日本のチャンピオンをことごとく破った武田選手に一本勝ちしました。RIZINでの次のターゲットは誰になりますか。 「それは僕が決めることではなく、より力のある存在がその相手を導いてくれると思うので、その決められたことに従い、同じように結果を出すだけさ」 ──待望の日本での試合、ルールの違いややりにくさはありましたか。 「このルールはMMAにおける最高のルールだと感じているよ。これまでグラウンドの状態で頭部にヒザをもらったことはなかったけど、今回、何発かもらってしまって、あれは(打つ方は)気分のいいものだよね。幸い食らったものは特に強くなかったけど。とにかくこのルールは好きさ。リングで、ロープでなくケーブルだったから、ここにもしっかり対応しなくてはいけないと思ったけど、とにかくルールは最高だし好きだ。  あと、自分としては、最初にRIZINルールを読んでいた時、RIZINの採点はダメージに重点を置くということだったので、1R目、彼がテイクダウンしてきて、たしかに自分は劣勢だったけど、彼に有効打があったわけではなく、ダメージももらっていないから、辛抱すれば必ず自分がダメージを与える状況になる、と思いながら試合をしていたよ」 ──ホベルト・サトシ・ソウザ選手とジョニー・ケース選手が、ライト級のタイトルマッチを行いますが、どちらかのチャンピオンと戦いたいと思いますか? あるいはもう少し自分の名前を上げるために何人かと戦いたい? 「今回、ジョニー・ケースとは友達になってしまったから、少なくとも今夜はジョニーに勝ってもらいたい。彼はスゴイやつだよ。結果は神のみぞ知るということになるけど、友達と対戦するのはできれば避けたい。とはいえ目の前に与えられた対戦相手とは誰とでも戦うけどね。  ソウザが勝てば、素晴らしいタフなチャンピオンなのでやりたいと思う。自分はこれから全盛期に入っていく。もうすぐ29歳になって、これからもっともっと強くなっていくと思うので、とにかく試合をして、その中で目の前の相手を殴って蹴ってチョークアウトして、勝つためには何でもやりたいと思う。それから仲間内でもたくさんの人が言っているけど、RIZINとBellatorのコネクションがあることで、選手が両団体を行き来できるのは素晴らしいことだ。両方で戦うことが目標だね。そして両団体のチャンピオンになる。そして、155ポンド、いや、日本では71kgという言い方だったね。『71kgのキングに俺はなる!』フフフッ」 ──ところで、試合に勝利して、これから日本でしたいことや食べたいものなどもありますか。 「金曜日まで延泊したので、何をやるかはまだ分かっていないけど、滞在中に富士山の山頂から日の出を見てみたいんだ。ただ、あまり試合ではダメージ受けてないけど、カーフキックは随分もらっちゃったから、そのダメージ如何によってどれだけ今週ハイキングできるか分からないけど。ここで新しい友達もできたので、違う形で日本をみるかも。今晩はチームメイトと勝利の喜びを分かちあいたい」 [nextpage] 武田光司「あっち側にタックルに入らないと決めていたのに──」 ──カーライル選手との試合を終えた、率直な感想をお聞かせください。 「負けました。以上です」 ──試合前のインタビューでは、「覚悟は決まっている」と仰っていました。今それについてどのように感じていますか? 「まあ覚悟は決まってたんですけど、ひとつのミスで、しっかり仕留め切るっていうのが……相手が上手かったし、僕のミスです。ミスとしか言いようがないです」 ──最後のフィニッシュシーン、相手の決まり手であるギロチンチョークに入ってしまったところで、そこでもう少しできた、という思いもありましたか。 「あそこでたぶん、(右)フック貰ってると思うんですよ、僕が。そこで、自分の作戦を話すと、タックルに入る時、あっち(カーライルの利き腕の右脇)に行かないつもりだったんですよ。“絶対ギロチンを狙っている”っていう。映像見ていてもギロチンに入っている形が多々あったし、あそこに入ったら絶対、(自分のように)サウスポーってこっち(左側を指して)に入るんですけど、やられるから、あっちに入らないと自分の中で決めていたし、逆のタックルを練習していて。  で、まあ各ラウンドごとの作戦を話すと、1R目は打撃は出さずに、組めたら組んで漬けて。で、狙えるところは狙って。で、カーフキックをメインに、相手が(最初は)サウスポーで、スイッチヒッターなので、カーフキックで(削って)。で、オーソドックスで来たら、絶対ぶんぶん振ってくるのが分かっていたので、ジャブからのハイキックと。後はぶんぶん振り回してくるのをどんどん捌いて、捌いて、捌いていって、各ラウンドごと、スタミナを削って行こうという作戦だったんです。1R目は僕の中で、打撃をもっと出した方が良かったんじゃないかと思っている人はいるかもしれませんが、僕の中では“見る”っていうチョイスだったので。形通り遂行できたのかなと思ってますけど、2R目のあそこですね、ギロチン。あそこでギロチンを極められたのは僕のミスですね」 ──それでも作戦のなかにカーフキックがあり、効果的なように感じました。 「たぶん僕が蹴るっていうチョイスが相手にはなかったと思うんですよ。絶対、打撃からぶんぶん振り回して組んでくるだろうと考えていたと思うので、前足をスイッチしたときに右足が外側に向いてる傾向だったので、カーフだなと思っていたので、そこは自分で考えて、カーフ出しました」 ──途中でローブローをもらって、インターバルでの時間が短かったように思いますが、そのことは回復面で影響はなかったですか。 「今更グダグダ言ってもダメなんですけど、もうちょっと休めば良かったです。ヒザが入って死ぬほど痛かったので。そこも僕の考えが……何とも言えない選択だったんですよ。相手も結構肩で息しているっていうのが見えたし、そこで自分が休んだら相手も回復しちゃうので……もうちょっと回復のために休憩しても良かったかなと自分の中で感じました。次に活かしたいですね」 ──対戦を終えてスパイク・カーライル選手の印象は、試合前と後で違うところはありましたか。 「フィジカルで負けるかなと正直思ったんですけど、組みにおいても、四つだったりの展開から漬けるっていうテーマだったんですけど、そこでフィジカルで負けているとは思わなかったし、終わった後に少し(スパイク選手と)話したんですけど、『組みがすごく強い』って言ってくれたので、組みに関しては自信を持っていいかなと思いました。でも、組みだけじゃないところももっと出したいし、見せたい。見せたいというより、もっと見せなければいけないと試合で思いました。  あとはまだ宮田(和幸)先生には言ってないんですけど、試合終わったあとに、カーライル選手と話して、『カリフォルニアで練習しているから来い』と言われたんで、BRAVE GYMっていうのは僕の中では、話をまとめると“めちゃくちゃ居心地がいいんです”よね。ずっとやっていたのもあるし、僕は子どもの指導をしていたりというのもあるんですけど。それは、悪く言えば誰かのためにやっているわけであって、自分のために自己中(心的)で行くためにどうすればいいかと言ったら、やっぱそのBRAVE GYMを出て海外に挑戦したいというのがあるので。  現状で海外選手に挑戦した結果がこれだったので、宮田先生に話して、せっかく対戦相手のカーライル選手が『来い』と言ってくれているので、来月にも行きたいと思っていますね。宮田先生は怒るかもしれないけど。『何勝手に決めてるの』って言われたらどうしよう、とは思っているのですが、結果が出た以上、負けは負けだし、この結果に満足していないし、挑戦するというテーマを持っているので『海外に行ってやらしてくれ』と、この後で宮田先生に話そうかなと思っていますね。別に負けたから行くとかじゃなくて、改めて再認識したという感じですね」 ──今後の展望は海外修行も含めた練習環境や、対は海外勢を意識した試合をしたいということでしょうか。 「もちろんそうですね。“海外に行きました” で、海外に行ったからといって強くなるかと言えば分からないです。やってみなきゃ分からないし、だめだったらだめで帰ってくればいいとか、そういうわけじゃないんですけど、合わなかったら合わなかったで、また戻ってくればいいし。でもやらないことには始まりはないと思うので。是が非で行かせてもらえたらと思いますね」
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