いろんなスタイルの選手と、いろんな状況で試合してきている。やられて感じてきたことも多い
──さきほど「弥益選手は気の毒だった」と感じて見ていたと。同じフェザー級の金原選手は直前の体重変更を含めて「平本の試合だった」と評しています。やはり直前で4キロが変わるのは、フェザー級の試合とは異なるものだと?
「そうですね……あまり角が立つこと言うと、あれなんで(笑)、平本選手のファンも怖いですからね(笑)。まあ、でも直前に4キロは1階級違いますよね。(その変更が)1カ月前の変更とかならまだよかったですけど、1週間とか10日切って、まったく減量していなかった選手と、結構落としていた選手と、それがフェアかどうか──という話ですよね。やっている選手は一番、分かるとは思うんですけど、なかなか世間ではそんなに分からないことなのかなと、試合後の反応を見て思いました」
──本来のフェザー級では1勝の平本選手は、前回の試合で、相手のテイクダウンに対してはディフェンスに特化して、打撃を打ちこみました。自身は基本的にテイクダウンには行かないというスタイルが、MMAにおいて斎藤選手の戦いにどう影響しますか。
「テイクダウンしてこないって事前に分かっていれば、動きやすいですよね。最初の段階で手札が見えている状況なので、間違いなく動きやすいですよね」
──とはいえ、テイクダウンディフェンスと打撃が強ければ、それでいいと考え、ケージが立ち上がるのにも有利に動くこともあります。
「試合をやっていくと分かってくるんですが、打撃がある、組み技がある、寝技があるなかで、自分から組みついてテイクダウンしていくのは思ったより大変なんですよね。練習ではみんなそうしてやっていきますが、実際に試合で相手に対峙してできるのは、やっぱり時間がかかると思います。それを僕はさんざんアマチュアからやってきたから分かる。
自分のやりたいことを──やりたいときに打ち合って、テイクダウンに行きたいときにテイクダウンするというのは、難しい。だから自分のスタイルがあると思うんですけど、そこまでの完成度の選手だったら──なかなか試合中に考えちゃいますよね」
──それは、29戦やってきて難しさを知っていると。
「そうですね。いろんなスタイルの選手とやってきているので、いろんな状況でも試合してきているから、経験だったり、やられて感じることもすごい多いんですよね、試合って」
──さきほど「格闘技って素晴らしいな、と思ってもらえる試合を」という言葉がありました。それは斎藤選手にとって、5分3R=15分のなかでどんな試合をさしますか。
「個人的な希望で言えば“1R1分で終わりたいな”という気持ちはあります(笑)。でも試合なんで相手がどうなるか分かりませんし、僕は“5分3R”やる覚悟は持っているんですけど、そのなかで“ほんとうに負けるわけない”と思っている二人が試合するので、攻防だったり、特に試合が長くなるにつれ、精神的なものが見えてくるんですよね。そうなったときに細かい攻防、二人の精神戦が見られたら、見ている人が沸き上がるような試合になるんじゃないかと。終わってみて、“ああ、いい試合だったな、素晴らしかったな”と思ってもらえればいいかなと。自分が勝って」
──ところで、朝倉未来選手とも練習しているんですか?
「いやあ、それは、ちょっと……ね。3回目やるかもしれないんで、流石にちょっと。そういう声多いんですけど、どうなんですかね」
──最後にファンにメッセージを。
「勝つために最善を尽くすつもりでいるので、本当に怪我しても何しても勝てればいいように僕は頑張ります。会場はもちろん、ぜひPPVでも当日、観ていただければと思います」