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【UFC】まさかのハイキックKO決着から7カ月、再起のウスマンが“ロッキー”エドワーズと再戦!「エドワーズの四つ組みの強さが、最終回のKOに繋がった。今回は“穴”のない者同士、裏のかき合いになる」(高阪剛)

2023/03/16 12:03
【UFC】まさかのハイキックKO決着から7カ月、再起のウスマンが“ロッキー”エドワーズと再戦!「エドワーズの四つ組みの強さが、最終回のKOに繋がった。今回は“穴”のない者同士、裏のかき合いになる」(高阪剛)

2022年8月の前戦でウスマンを左ハイキックでKOしたエドワーズ/Getty Images/Zuffa LLC/UFC

 2023年3月18日(日本時間3月19日)英国・ロンドンのO2アリーナにて『UFC 286: Edwards vs.Usman 3』が行われる。

 メインイベントは、ウェルター級新王者レオン・エドワーズ(英国)が地元ロンドンで、前王者カマル・ウスマン(ナイジェリア)を迎えうつ因縁のダイレクトリマッチ。19連勝中だった“絶対王者”ウスマンを、最終5Rに左ハイキックでKOに下し、新王者となったエドワーズ。この両者による再戦の見どころをWOWOW「UFC-究極格闘技-」解説者としても知られる“世界のTK”髙阪剛に語ってもらった。

1Rの攻防で「エドワーズの四つ組みはちょっと面倒だぞ」と分かって、その後、ウスマンの戦い方が少し変わった

――『UFC286』のメインはエドワーズvs.ウスマンのウェルター級王座を賭けたダイレクトリマッチ。前回は2022年8月、絶対王者だったウスマンが最終5ラウンド残り時間1分を切ったところで、エドワーズの左ハイキックを食らって、キャリア初のKO負けという大番狂わせでしたね。

「そうでしたね。なので今回、自分も“なぜ、ああいう結果になったのか”という要因を見つけるために、前回の試合をあらためてじっくり見直してみたんですよ。そうしたら、いろいろと自分の中で見つかったことがあって、これを頭に入れてもう一度前回の試合を見直すと、相当面白いと思います」

――どんなことが見つかったんですか?

「ウスマンっていうのは、大学時代にNCAAディヴィジョン2のオールアメリカンに3度選ばれて全米優勝もしているので、レスリングの攻防にめっぽう強いことはみんな分かってると思うんです。けれど、こと四つ組みに関しては、エドワーズがウスマンの上を行ってたなと思ったんです」

――そうなんですか!?

「1ラウンド目にウスマンがテイクダウンされたじゃないですか。自分はあれがすごく気になってたんですよ。“なんであんなに簡単に倒されたのかな?”って。ウスマンがテイクダウンされたのは、あれが初めてだったんですよね」

――それまでウスマンは、UFCで負けたことがないだけじゃなく、寝かされたこともない。テイクダウンディフェンス率100%だったんですよね。

「しかも粘って粘って寝かされたわけじゃなくて、小外刈りでスコーンと倒されて一気にマウントまで奪われたので。“これはタイミングが良かったのか、ウスマンが気を抜いてたのかな?”って思ってたんです。でもあらためて見返したら、あれはエドワーズの四つ組みが相当強いからこそ起こったことだったんです。自分もWOWOWの生放送中に気づけばよかったんですけど、テイクダウンの印象が強烈すぎて、その前の攻防が頭から飛んじゃってたんですよね」

――テイクダウンがうまくいったのは、単に小外掛けが決まっただけじゃなくて、その前に伏線があったと。

「初っ端の1ラウンド1分20秒すぎに、ウスマンがジャブからタックルにつないでケージに押し込むことに成功したんですけど、その後、エドワーズは差し合いで四つに戻して、オクタゴンの中央まで逆にウスマンを押し戻してるんですよ。そこでウスマンが“あれっ!? やべえな”って感じになったところで、外掛けで倒してたんです」

──本来、ケージレスリングや組んでからの攻防はウスマンが得意としているだけに、差し返されたことで逆に倒される要因になったしまった、と。

「ケージにしっかり押し込んでからはウスマンのほうが圧倒的に上なんですけど、四つに戻す動きや四つ組みの展開はエドワーズが上回っていた。おそらくウスマンサイドも、1ラウンドの攻防で“エドワーズの四つ組みはちょっと面倒だぞ”ということがたぶん分かって、その後、少し戦い方が変わったんですよ。

 例えばスタンドの打撃の攻防で距離が近くなって、エドワーズが組みにいこうとすると、ウスマンはそれをすごく嫌がって離れたりするシーンが何回かあったんです。エドワーズは組み際、離れ際のヒジ打ちが得意なので、ウスマンはそれを嫌がってるのかなと思ったんですけど、映像を見返すと“おそらく四つ組みになると倒される危険性があって嫌なんだろうな”ということに気づいたんです。結局、1ラウンド以降、エドワーズはテイクダウンを奪えてないので、ちょっと見た目では分かりづらいんですけど。それはウスマンが組まれることを相当警戒していたからだと思うんですよね」

──観てる方には“組んでの攻防になればウスマンが圧倒的に有利”という先入観があったから、なかなかそこに気づきにくかったわけですね。

「今までの強い状態のウスマンっていうのは、ジャブで距離を制して、近づいたらケージレスリングで削っていって、相手が“こいつ相手にどうすりゃいいんだ?”っていう感じでなす術なしという状態にして、完勝するパターンが多かったと思うんです。けれどエドワーズに対しては、ウスマンのほうが四つ組みの展開を嫌がっていたから、そこまで盤石の展開にできなかったんじゃないかと思いますね」

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