キックボクシング
インタビュー

【イノベーション】与座優貴「自分に茶番劇は必要ありません。KO劇こそが自分の味」

2019/07/12 17:07
【イノベーション】与座優貴「自分に茶番劇は必要ありません。KO劇こそが自分の味」

「INNOVATION×シュートボクシング3対3対抗戦」の大将戦で対戦する与座(左)とイモト

2019年7月15日(月・祝)東京・新宿FACEで開催されるJAPAN KICKBOXING INNOVATION主催『Join Forces-14』。

 立ち技格闘技界の交流が活発化して各大会で団体対抗戦が行われているが、今大会でも「INNOVATION×シュートボクシング3対3対抗戦」が行われる。その大将戦で対戦するのは、極真会館2017全世界ウェイト制軽量級優勝・与座優貴(橋本道場)とSB日本スーパーライト級7位イモト・ボルケーノ(グラップリングシュートボクサーズ/シュートボクシング協会)。

 与座は2016年極真会館第33回全日本ウェイト制空手道選手権大会軽量級を18歳で制し、2017年には軽量級世界王者に。2018年4月の第35回全日本ウェイト制選手権では中量級に階級を上げて準優勝するなどトップ選手として活躍していたが、今年3月にキックボクシングに転向。イノベーションで2連続KO勝利を飾り、REBELSでの3戦目も勝利して3戦全勝2KOの快進撃。また、8月18日(日)東京・大田区総合体育館で開催されるKNOCK OUT『K.O CLIMAX 2019 SUMMER KICK FEVER』にも参戦が決まっており、月イチのハイペースで試合経験を積んでいる。

 対するイモトはSB愛知の新鋭で戦績は4勝(1KO)6敗。激しい試合を持ち味としている。対決を前に両者がインタビューに答えた。

取材・文:JAPAN KICKBOXING INNOVATION広報部

与座優貴「空手で出していない技はまだたくさんあるのでお楽しみに」

――「極真世界王者のキックボクシング転向」は、どうしても注目されるところですが、目下3戦3勝と順調に全勝街道を進んでいます。

「相手選手を全員格上と思ってリングに上がらせていただいておりますが、『もう3戦』より『まだ3戦』の感じが強いです」

――キックボクサーとして馴染みはいかがでしょう?

「1戦1戦大幅に成長で来ている感触があります」

――プロデビューが今年3月31日、5月19日、6月9日と相当なハイペースで試合をされています(平均的なキックボクサーの年間試合数は3~4試合)。

「空手時代は、4か月から半年に1度、1日に5試合以上戦うトーナメントがありましたから、自分的に急ペースではないです。毎月試合くらいが練習のモチベーションや緊張感も維持できるので良い具合です」

――極真世界王者の肩書は、キックボクシングと別競技にしても強大なわけですが、その自意識は?

「そんなプライドは全然ないです。橋本道場に入門して約半年、今も知らないことだらけで新鮮な学びの毎日ですから。キックで活かせる空手があるにせよ、首相撲の基本的な掴み方ひとつまだできていないくらいです」

――先ほどから話しぶりが非常に丁寧で言葉が謙虚なことに感心します。

「謙虚ですか? そんな意識もありません。思えば、極真時代、全日本王者の安島喬平先輩などの背中を見て育ったので、自然と倣ったところはあるかもしれません」

――そう言えば、Twitterで試合前のディスりあいというかトラッシュトークのパフォーマンスを否定されていました。

「そういうのは自分の場合、まったく要りません。試合内容で魅せていきたいです」


――3戦目の耀識(ヨシキ)戦では、相手からかなり挑発されました。

「プロとしてそこで演じなければならないこともあるのかもしれませんが、自分は本気でイライラしてしまうので、苦手というか無理です。おでこを突き合わせての睨みとかされそうになったら本気で手が出てしまいそうで。人それぞれだとは思いますが自分に茶番劇は必要ありません。見ている人がスッキリするようなKO劇こそが自分の味だと注目してください」

――なるほど、アウトオブリングで様々なパフォーマンスが花盛りの昨今、気持ちよいほどの王道です。

「けど、ひとつ言わせてください。耀識選手は、プロとして挑発パフォーマンスをしかけられましたが、試合後、泣きじゃくっている自分に『勝ったのだから胸を張って』と言葉をかけてくれた素晴らしい選手でした。プロの在り方は違っても試合後のノーサイドはしっかりとあったことは知っておいていただきたいです。

――試合直後に泣きじゃくられていた?

「試合前に『倒す!』と断言しておいて判定決着で嘘をついてしまい、試合内容も全然納得いかないし、それでいながらなんとか勝つことができて『生き残れた』という安堵もありと色々な感情が渦巻いたら涙が止まりませんでした」

――そんな与座選手は、90年代のK-1で極真世界王者のフランシスコ・フィリオ(※1)がそうであったように空手道の実績ですぐにトップステージに立つのではなく、こつこつと通常の階段を上られているところが、80年代、極真出身の名選手、竹山晴友(※2)に重なる部分があります。

「恐縮ではありますが、先輩方はともかく、自分はとにかくゼロからスタートしたかったので、橋本師範(橋本道場、橋本敏彦会長)に希望通りの道を拓いていただいて感謝しております」

――フィリオや竹山のような大選手になるといった目標は?

「誰に憧れてそうなりたいというのはありません。ただ、常に挑戦し続けて、その時々についてくる結果で評価していただければ。何かのチャンピオンになることがゴールではなく、懸命に努力した結果、どこまでいけるかの勝負です」

――現在、所属する橋本道場との相性が抜群に伺えます。

「技術的には、空手の蹴り方を否定してキックボクシング的に矯正するといったことはなく、そこからプラスアルファを指導していただけるので、自分にとって最適です。そして、かけがえのないジムメイト。今現在、毎日、親兄弟や友人よりも長く濃い時間を過ごしているわけで、仲間というより家族です。目標はそれぞれ違っていても練習や試合前にひとつになる控室の雰囲気とか独特で大好きです」


――さて、目前に迫った7月15日は、INNOVATION×シュートボクシングの大将戦で、SB日本ランカー、イモト・ボルケーノとの一戦となりました。

「試合のVTRを見せていただいていますが、これまでの相手で一番強いだろうと思いました」

――強敵として高評価?

「強い相手である方が楽しいので喜ばしいことです。けど、大丈夫です」

――プロ2戦目は、目の覚めるような二段蹴りの大技KO(※3)が飛び出ましたが、4戦目はどんな試合になるでしょう?

「空手で出していない技はまだたくさんあるのでお楽しみに。スパーでは出せているので、あとは本番のリング上で表現できれば。それと基本スタイルも試してみたいことがあります。空手時代はステップを使ってリズミカルに軽い動きもしていましたが、この3戦は、あえて腰を鎮めてどっしりと構えています。ヨードレックペット(※4)のイメージですね。そこを場合によってはアレンジするかもしれません」

――団対抗戦に関しては?

「大将に選んでいただいて光栄です。自分はそういったプレッシャーがあっても緊張しないタイプなので、自分のできる最高の動きが発揮できるよう全力を注ぎます」

――契約体重について、空手では70kg以下の軽量級で世界王者となり、無差別級の試合も数多経験されていますが、今回は65kg契約です。

「これまでスーパーライト級(63.5kg)で試合していたので楽に感じます。体重に関しては、空手で身長2m、体重100kgを相手にしてきたので何でも大丈夫です」

※1 フランシスコ・フィリオ 第7回全世界空手道選手権大会優勝、100人組手達成など最強の呼び声高い極真空手家のフィリオのK-1登場はセンセーショナルなニュースだったが、デビュー戦で同じく極真出身のK-1看板スター、アンディ・フグを一撃KOした衝撃は格闘技史上指折りの事件だった。その後、フィリオは、空手道も追求しながら圧倒的な存在感と実績を全盛期のK-1で振り撒いた。

※2 竹山晴友 極真空手創設者、大山倍達総裁存命時に極真会館本部から数々の実績を残し、その鬼気迫る鍛錬からシンボリックな存在でもあった竹山が、道場の先輩にあたる(空手家からキックボクサー、ボクサーとしても活躍した)大沢昇を師としてキックボクシングに転向したことは、80年代キックのビッグニュースだったが、試合は飛び級デビューや下駄を履かせた扱いを望むことなく、いち選手としてコツコツと勝ち続け(デビュー以来13連続KO勝利)、数年で当時の看板スターとなった。

※3 二段蹴りの大技KO 以下のURLで閲覧できる試合動画の5分20秒あたりから確認できる。

※4 ヨードレックペット 現代ムエタイの最高峰に鎮座するヨードレックペット・オー・ピティサックは、数々のタイトルや年間MVPを獲得し、2019年4月29日、KING OF KNOCK OUTライト級アジアトーナメントで優勝した。低身長で短リーチながら強靭な体幹とタフネス、パワーを誇るムエマッド(タイ語:ファイタータイプ)。

リングネーム:与座 優貴
フリガナ:ヨザ ユウキ
所属:橋本道場/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1997年12月20日(21歳)
出身地:茨城県
身長:170cm
戦型:サウスポー
デビュー年月日: 2019年3月31日
戦績:3戦3勝(2KO)
ステータス:極真会館2017全世界ウェイト制軽量級(70kg)優勝

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