元UFC世界ライト級王者ハビブ・ヌルマゴメドフ(ロシア)が格闘技業界から身を退くことを示唆した。
ロシア発の「“ハビブ”はMMA業界を去る。コーチングをはじめ、MMAに関わるすべてのことについてだ。理由は家族のためにもっと時間を割きたい、というハビブの希望による」との報道を自身のSNSでシェアした。
ハビブは自身の言葉では、コーチングから完全に離れるとは言わなかったが、6日のInstagramの投稿で、ダゲスタンの彼のチームの集合写真をアップし、「決断」を記していた。
「一年を締めくくりました。もちろん、この一年はとても充実して成功してしました。兄弟たち、お元気で。私の決断が良い方向にしか向かわないことを願っています。皆さんに大きな抱擁を。ありがとうございました。私のスポーツでの成功は、あなたたちのおかげです」
異変は2022年の後半からあったかもしれない。
2022年11月に米国イリノイ州シカゴで開催された『Bellator 28』でハビブは、従兄弟のウスマン・ヌルマゴメドフ(ロシア)とパトリッキー・ピットブル・フレイレ(ブラジル)のBellatorライト級タイトルマッチに、カナダでのイベント登壇もあり帯同せず、遠方からウスマンの戴冠を祝福していた。
その後、大晦日に日本のさいたまスーパーアリーナで「RIZIN&Bellator 5対5 全面対抗戦」に出場した盟友ガジ・ラバダノフの試合に帯同したが、ウスマン戦同様にセコンドにはつかず。リングサイドからラバダノフに声援を送っていた。
対抗戦の最初からメインの最後まで観戦したハビブは、「これまでに参加した中で最高のイベントのひとつです。ファンは素晴らしかった。BellatorとRIZINは素晴らしいショーを見せてくれた。これほどファイターを扱っているファンを見たことがない。それは間違いなく新しい経験だったし、毎回日本に行くのは気にならない。日本の文化と日本のファンが好きです」と、新たなMMAの世界に触れたことに感動の言葉を残していたが、日本が最後に観たMMAの試合になってしまうのか。
ハビブの代わりに日本でラバダノフのセコンドについた、ハビブの親友シャミール・ザブロフは、7日のInstagramで「彼はこのスポーツを去ったが、スポーツ精神は決して彼を離れないだろう」「いいトレーニングだった」と記している。
ハビブは、MMA史上最長である29戦29勝の無敗記録を持ちながら、父アブドゥルマナプ・ヌルマゴメフのコロナ死去の影響もあり、完全王者のまま引退。アブドゥルマナプスクールやアメリカン・キックボクシング・アカデミーで後進を育成し、「Eagle FC」のプロモーターも務めてきた。弟子たちはメジャー団体で19勝2敗の成績を収め、各媒体の2022年コーチ・オブ・ザ・イヤーに選ばれている。
教え子の一人でかつて自身が巻いたUFC世界ライト級王座につくイスラム・マカチェフは、2月11日に豪州のパースで開催される『UFC284』で、UFC世界フェザー級王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキーとの初防衛戦が控えている。ハビブがマカチェフのコーナーに入るかどうかは、現時点で不明だ。