MMA
インタビュー

【RIZIN】ハビブも認めた武田光司の戦い「ともに練習したい」&ラバダノフ「ぜひ来てほしい。必ずまた日本に戻って来たい」

2023/01/03 14:01
 2022年12月31日(土)『RIZIN.40』(さいたまスーパーアリーナ)の「RIZIN vs. Bellator 全面対抗戦」で先鋒戦を務めた元Eagle FCライト級王者のガジ・ラバダノフ(ロシア)と、元DEEPライト級王者の武田光司(BRAVE)が試合後、個別インタビューに応じた。  ラバダノフは元UFC世界ライト級王者で、世界を席巻するダゲスタンレスラーの総帥ハビブ・ヌルマゴメドフの“最後のスパーリングパートナー”を務めた元Eagle FCライト級王者。2021年からBellatorに参戦し、初戦を1R TKO勝利すると、2022年2月にジェイジェイ・ウィルソンに判定勝ち。7月の前戦でボビー・キングにも判定勝ちでBellator3連勝を飾っている。  今回の日本での対抗戦に向け、ダゲスタンのアブドゥルマナップ・ヌルマゴメドフ(ハビブの亡き父)のジムで練習し、試合前には、時差の調整も含め、タイのタイガームエタイで練習してきた。  対する武田は、DEEPで大原樹理に2連勝後、RIZINで元修斗王者・川名雄生、PANCRASE王者の久米鷹介に勝利も、矢地祐介に判定負け。“ブラックパンサー”ベイノアには一本勝ちも、2022年4月スパイク・カーライルに2R ギロチンチョークを極められ、試合後に海外修行を経験。  ハワイのユナイテッドMMAで、ONE王者のクリスチャン・リーらと練習を積んで7月のジョニー・ケース戦で金星の判定勝ち。10月のBellatorファイター、ザック・セイン戦でも1R 腕十字で一本勝ちし、2連勝で対抗戦の先鋒戦に志願していた。  試合は、ガジ陣営のハビブがリングサイドに座り、セコンドにONEで活躍中のザイード・イザガクマエフと、40勝7敗1分のシャミール・ザブロフがつくなか、ゴング。  イザガクマエフと比べるとライト級としては決して大きくないラバダノフに対し、レスリング構えの武田は、ラバダノフが比較的不得手とするサウスポーに構えてジャブを狙うが、初回、その中央を先に突いたのはラバダノフ。  武田の右足の外に自身の左足を取ると、武田の右ジャブに自身の左ジャブを外からかぶせて、大きく踏み込んでのワンツーの右ストレートをヒット! 一瞬、身体が伸びるような意識が切れたような倒れ方をした武田だが、なんとすぐに足を手繰って立ち上がるも、脳に効かされており、足をもつれさせて再び尻餅を着いてダウン。ここもすぐに武田は脇を差して立ち上がる。驚異的な回復力を見せて、左ボディストレートで反撃。  セコンドから「帰って来い!」と声が挙がるなか、生還した武田。  2R以降は、立て直した武田が得意のグレコローマンレスリングの上での組みも挑むも、コンバットサンボ&ダゲスタンレスリングのラバダノフもその組みを切り、打撃。さらに投げの打ち合いも互角。  互いに消耗戦のなか、「お互いに泥沼に引きずり込み、我慢の息比べに持ち込む」と言っていた武田は、ラバダノフのタックルにレスリングのスイッチでカウンターを仕掛けるが、最後のターン、ポジションはラバダノフ。  判定は3-0でラバダノフが勝利。試合後、リングサイドで見守っていたハビブは盟友の勝利を祝福すると、号泣する武田のもとに歩み寄り、肩を抱き、その左手を挙げて健闘を讃えた。  試合直後の退場時に「クレイジーだった。2万人がアリーナにいた。人生で初めてだよ」と興奮冷めやらぬラバダノフは、会見場でも「日本のファンの皆さんには本当に感謝したいと思います。試合中、両選手を公平に応援してくれました。それに加えて自分のプロの人生において、2万人以上(2万5千人)の観客の前で戦うという初めての体験で、とてもエキサイティングな試合でした」とさいたまスーパーアリーナでの試合を振り返った。  また、対戦相手の武田について、「1Rのダウンで“これで行ける”と思ったのだけれど、武田選手が非常に強い意志を持ってまた立ち上がってきた」とタフネスを賞賛。フルラウンドの激闘を競り勝った要因を「3R目で非常に苦しい戦いだったのですけれども、アブドゥルマナップ先生がいつも言っていたこと、『決して最後まで諦めるな。全力を尽くせ』という言葉を思い出して“必ず勝利する”という強い気持ちで戦えました」と語った。  一方、初回にフィニッシュされてもおかしくなかったピンチを乗り越えた武田は、「セコンドの声とファンのみんなの歓声と……、なんかそれでパッと意識が目覚めて、兄弟子の芦田(崇宏)さんから『帰って来い!』って言われて。意地でも2R目に持っていこうと思って死ぬ気で耐えました」と回想。  試合前のパンクラスイズム横浜やロータス世田谷への出稽古では、前泊して「試合のつもりでスパーリングに臨んできた」ことを明かした。  そして、今回のラバダノフ戦で「“すげえ強えぇ!”と思って。こんな強い奴がまだ全然世の中にはゴロゴロいるんだ、すごいって感じて。ヌルマゴ一族はやっぱりい理想のスタイルなので、そこで練習できるならしたい」と、ダゲスタン、あるいは米国AKAでの練習をラバダノフにリクエスト。  ラバダノフは、「ぜひダゲスタン共和国にいらしてください。そして一緒に練習しましょう、ウェルカムです」と快諾した。  最後は「必ず日本に帰ってきて、日本のファンの皆さんもこの試合を覚えていてくれると思うので、また戻ってきていい試合を見せたいと思います。東京や埼玉のファンの皆さんに感謝します」と再び日本での試合を望んだラバダノフ。  政情が安定し、いつか武田がダゲスタンでイーグル軍団の練習を体感することが出来るか。ハビブも認めた武田の戦いは、新たな日本MMAとの交流の扉を開くかもしれない。 [nextpage] ガジ・ラバダノフ「試合中、両選手を公平に応援してくれたファンに感謝したい」 ──対抗戦の先鋒戦で武田光司選手との試合を終えた、率直な感想を伺えますか。 「勝ったという感情が沸いてきて、本当に素晴らしい試合だったと思います」 ──打撃がヒットした場面がありましたがなかなか倒し切れなかったことをどのように感じていましたか。 「1Rにちょうど武田選手の顔面にパンチ(右ストレート)がヒットして、これで行けるかと思ったのですけれど、武田選手が非常に強い意志を持ってまた立ち上がり、試合を続けていました。本当に1RでKOを取りたかったですが、最後まで行ってしまいました」 ──実際に対峙した武田選手は、戦う前のイメージと違うところはありましたか? 「いえ、そんなに違いはありません。もともと試合前から非常に大変な試合になると予測していました。彼自身とてもフィジカルの強い選手ですので、実際その通りの戦いになったと思います」 ──武田選手との接戦を制しましたし、またRIZINに参戦して、ライト級チャンピオンに挑戦する意思がありますか? 「はっきりは分かりませんが、ぜひ来年も戻ってきたいと思います。武田選手は本当に強い選手で、彼との再戦や、また違う選手の戦いなど、また日本に戻ってきてまた試合をしたいという気持ちは強いです」 ──来日したハビブ・ヌルマゴメドフさんからはどんなアドバイスを受けていましたか? 「長くサポートしてくれている大きなお兄さんのようなものです。彼がいてくれると支えになる、彼がいることは最大の支援なのです」 ──アブドゥルマナップ・ヌルマゴメドフ先生(ジムの創始者ではハビブの父。2020年7月にコロナによる合併症で他界)からの教えで、今日の試合にあたり頭をよぎったようなことはありますか? 「アブドゥルマナップ先生のところでは、若い頃から師事していたわけです。彼は本当に私にたくさんのことを教えてくれました。彼は私の生涯のトレーナーだと思っています。そして今日は、3R目で非常に苦しい戦いだったのですけれども、先生がいつも言っていたこと、『決して最後まで諦めるな。全力を尽くせ』という言葉を思い出して“必ず勝利する”という強い気持ちで戦えました」 ──今後の目標、展望を教えてください。 「日本のファンの皆さんには本当に感謝したいと思います、試合中、両選手を公平に応援してくれました。それに加えて自分のプロの人生において、2万人以上(2万5千人)の観客の前で戦うという初めての体験で、とてもエキサイティングな試合でしたし、必ず日本に帰ってきて、日本のファンの皆さんもこの試合を覚えていてくれると思うので、また戻ってきていい試合を見せたいと思います。東京や埼玉のファンの皆さんに感謝します。繰り返しにになりますが、また戻ってきて、ファンの皆さんに素晴らしい試合をしたいと思います。必ずや日本のみなさんのもとに戻りたいと思います。アリガトウ!」 ──試合後、武田選手と互いに讃え合って何か言葉をかけていたかと思いますが、どんな言葉を? 「今日、私は試合前から武田選手に対しては非常に尊敬の念を持っていましたし、その気持ちは試合が終わってからも全く変わりません。私たちはお互いに讃えあい、武田選手に『試合をありがとう』と伝えました。これからも武田選手がMMAで成功し、素晴らしいキャリアを積んでいかれることを心から願っています」 (※次の試合後インタビューで隣に控えていた武田からコメント) 武田 試合ありがとうございました。すごい強かったし、一緒に練習してーなって。一緒に練習して教わりたいと思いました。 ラバダノフ ダゲスタン共和国に是非いらしてください。そして一緒に練習しましょう、ウェルカムです。 武田 機会を作って行きます! ラバダノフ 最後に皆さんが心を砕いて今回の大会を盛り上げて、私たちが気持ち良くファイトする条件を全て整えてくれたことに感謝しています。もう一度ありがとうございました。 [nextpage] 武田光司「最後の涙はみんなに『ごめん』って。どんなに盛り上げても、やっぱり勝つことが正義なので」 ──ガジ・ラバダノフ選手との試合後の率直な感想をお聞かせください。 「さっき喋っていたのは僕個人、ファイターとしての感想というか。でまあ、対抗戦に選んでもらって先鋒で盛り上げて勝たなきゃいけない状況の立ち位置の考え方では、日本のファンのみんなにすみませんでした、というふたつの気持ちがあります」 ──戦いを通し、通じ合うものがありましたか。 「僕個人としては、すげえ楽しかったです。結果だけ見たらすごくよくないですけど、勝ち負けにこだわらずやり切った結果がこれだったので、まあ楽しかったですね」 ──1Rにダウンを喫し、かなりひやっとした場面でした。あそこはどうやって持ち直したのですか。 「セコンドの声とファンのみんなの歓声と……、なんかそれでパッと意識が目覚めて、で兄弟子の芦田(崇宏)さんから『帰って来い!』って言われて。意地でも2R目に持っていこうと思って死ぬ気で耐えました」 ──実際、ラバダノフ選手と拳を交えてどういったところが長けている選手だと思いましたか。 「反省点として言えば、ちょっと2、3Rの最後か、ちょっと(相手が)バテている印象がすごいあったんですけど、僕もやっぱり組みでバックコントロールされたのも初めてだし、バックでコントロールされて、そういうところでコントロールされて僕も削られて、お互いバテちゃっていたのもあったんですけど、スタンドの攻防をもっと僕もやらないといけないなと思いましたね」 ──リング上での言葉を聞いたのですが、武田選手は何を? 「さっき(ラバダノフのインタビューの最後に)言ったことを言いました。それだけですね。べつに僕はやっぱりなんだろうな、煽ったりとかしないじゃないですか。対戦相手がいるからこそ、ファイト=試合が出来るっていう、で、やっぱヌルマゴメドフ一族のダゲスタンの選手で。そんなトップファイターが僕とやってくれることにはすごい敬意もあるし、感謝もしているので、だから“ありがとう”って感じですね」 ──さきほど「一緒に練習したい」と。いつそういう心境になったのですか。 「試合が終わったあとですね。“すげえ強えぇ!”と思って。こんな強い奴がまだ全然世の中にはゴロゴロいるんだってすごい感じて。やっぱ理想のスタイルなんですよ、ヌルマゴ一族。で、そこで実際に教わっている選手とやって。だからそこで練習できるならしたいなって。で、それでこうお話をしました」 ──少し休んで、2023年に行く気満々ですか。 「そうですね(笑)。今年海外行く、海外行くしか言ってないですね、僕。でも一回少し休みますけど、休んでまたやりたくなったら、行きます」 ──今回の経験が格闘技人生で今後どのような意味を成すと思いますか? 「僕は対抗戦にRIZINサイドとして選ばれてすごい光栄に思っていますし、Bellatorの選手にも戦ってくれたことに敬意を表しています。僕の中での価値観なんですけど、UFCとかBellator、ONEとか海外のトップ団体があると思うのですけど、そういうトップ団体で活躍して修羅場を乗り越えて戦っているファイターたちって、僕の中では“オリンピック選手”だと思っているんですよ。アマチュア競技におけるオリンピック選手、トップ選手。だから本当に僕はオリンピックに出ている人間は“神に選ばれた人間”で、やっぱり努力しても行けないのもあると思うので、僕もレスリングをやっていて昔はオリンピックを目指して頑張ってきた一人の人間なので、いまMMAでオリンピッククラスの人たちとトップ団体で試合をすることができて、嬉しいなって。そして、乗り越えなきゃいけないなって思いました」 ──RIZINの代表として戦うなかで、選ばれてから試合するまでの期間はどういう感じでしたか。 「毎日が長いようであっという間でしたね。本当に週3くらいで、月・火はBRAVEジムで練習して、水・木・金は出稽古に行かせてもらって、本当にプライベートのことは断ち切ろうと思って。僕が住んでいるところは埼玉県なんですけど、パンクラスイズム横浜さんに水曜日、松嶋こよみさんとやらせてもらってほぼガチスパーなんですよ、ほんと実戦みたいな。それでも前乗りしてホテルに泊まったりしていて。試合に臨むような気持ちで出稽古に行く。  木・金はロータス世田谷さんに行かせてもらっていたんですけど、やっぱり運転だったり移動だったりで疲れることがあるじゃないですか。そこでも前乗りしてホテルに泊まることもあって、本当に自分のためにお金を使って、すこしでも楽になるように練習をメインでやろうと思っていて。試合のために時間を使ってやってたんですけど、すげえ本当に長く感じるんですよ。“うわあ、また明日もまたガチスパーか、行きたくねえな”って。でもホテル泊まってちゃんと気持ちを作っていくと、試合に行く感じだったので、本当に毎日・毎週試合をしている気分でした。だから大晦日向けて、いい毎日を過ごせたのかなとは思いますね」 ──今後の展望を教えてください。 「2022年が4試合をしてちょっとこう、すごい疲れちゃったのかなって思っている自分もいて。ちょっと休もうかなと。肉体的にも精神的にもガタがきているところはあるかもしれないので。だからまあちょっと休んで、格闘技以外のことでも少しやろうかなと思って。なんだろう……ずっと練習練習、練習練習の毎日を過ごしてきたので、だからすこし格闘技を離れて休むこともいいんじゃないかなと思って。神様がいたとしたら別にダメとは言わないかなと、それくらいの1年だったので。うん。だからもう、すこし休みます」 ──2022年に4戦(スパイク・カーライル、ジョニー・ケース、ザック・ゼイン、ガジ・ラバダノフ戦)したなかで、精神的・肉体的にガタがきている、と。特にどういうところが? 「ちょこちょこ喋ったりはしていたんですけど、結構僕、鬱だったり、パニック障害だったりっていうのが一時期あったりして、結構おかしい時期もあったりしたので、そういうのってやっぱり、プレッシャーとかそういうところから生まれてきていると思うので、だから1回ちょっとリセットして休もうかなって感じですね」 ──試合後、観客の方を見て涙していました。何を思っていましたか。 「“ごめん”って。みんなにごめんていうこと伝えるしかないなって。やっぱり勝つことが全てだと思っているので。どんなに盛り上げても、やっぱり勝つことが正義、勝つことが全てだと思っているので、やっぱり勝てなくて、みんなにごめんていう気持ちがあったので、自然に泣いちゃったのですかね……」 ──あの試合には感動の声が多いと思います。 「まだ見ていないので後で見たいと思います」
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