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2022年12月31日(土)『RIZIN.40』(さいたまスーパーアリーナ)の「RIZIN vs. Bellator 全面対抗戦」で先鋒戦を務めた元Eagle FCライト級王者のガジ・ラバダノフ(ロシア)と、元DEEPライト級王者の武田光司(BRAVE)が試合後、個別インタビューに応じた。
ラバダノフは元UFC世界ライト級王者で、世界を席巻するダゲスタンレスラーの総帥ハビブ・ヌルマゴメドフの“最後のスパーリングパートナー”を務めた元Eagle FCライト級王者。2021年からBellatorに参戦し、初戦を1R TKO勝利すると、2022年2月にジェイジェイ・ウィルソンに判定勝ち。7月の前戦でボビー・キングにも判定勝ちでBellator3連勝を飾っている。
今回の日本での対抗戦に向け、ダゲスタンのアブドゥルマナップ・ヌルマゴメドフ(ハビブの亡き父)のジムで練習し、試合前には、時差の調整も含め、タイのタイガームエタイで練習してきた。
対する武田は、DEEPで大原樹理に2連勝後、RIZINで元修斗王者・川名雄生、PANCRASE王者の久米鷹介に勝利も、矢地祐介に判定負け。“ブラックパンサー”ベイノアには一本勝ちも、2022年4月スパイク・カーライルに2R ギロチンチョークを極められ、試合後に海外修行を経験。
ハワイのユナイテッドMMAで、ONE王者のクリスチャン・リーらと練習を積んで7月のジョニー・ケース戦で金星の判定勝ち。10月のBellatorファイター、ザック・セイン戦でも1R 腕十字で一本勝ちし、2連勝で対抗戦の先鋒戦に志願していた。
試合は、ガジ陣営のハビブがリングサイドに座り、セコンドにONEで活躍中のザイード・イザガクマエフと、40勝7敗1分のシャミール・ザブロフがつくなか、ゴング。
イザガクマエフと比べるとライト級としては決して大きくないラバダノフに対し、レスリング構えの武田は、ラバダノフが比較的不得手とするサウスポーに構えてジャブを狙うが、初回、その中央を先に突いたのはラバダノフ。
武田の右足の外に自身の左足を取ると、武田の右ジャブに自身の左ジャブを外からかぶせて、大きく踏み込んでのワンツーの右ストレートをヒット! 一瞬、身体が伸びるような意識が切れたような倒れ方をした武田だが、なんとすぐに足を手繰って立ち上がるも、脳に効かされており、足をもつれさせて再び尻餅を着いてダウン。ここもすぐに武田は脇を差して立ち上がる。驚異的な回復力を見せて、左ボディストレートで反撃。
セコンドから「帰って来い!」と声が挙がるなか、生還した武田。
Based on the first round, Khabib must be pleased with his student so far 👏
— RIZIN FF English (@rizin_English) December 31, 2022
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2R以降は、立て直した武田が得意のグレコローマンレスリングの上での組みも挑むも、コンバットサンボ&ダゲスタンレスリングのラバダノフもその組みを切り、打撃。さらに投げの打ち合いも互角。
互いに消耗戦のなか、「お互いに泥沼に引きずり込み、我慢の息比べに持ち込む」と言っていた武田は、ラバダノフのタックルにレスリングのスイッチでカウンターを仕掛けるが、最後のターン、ポジションはラバダノフ。
判定は3-0でラバダノフが勝利。試合後、リングサイドで見守っていたハビブは盟友の勝利を祝福すると、号泣する武田のもとに歩み寄り、肩を抱き、その左手を挙げて健闘を讃えた。
Crazy scrambles in the 2nd round!
— RIZIN FF English (@rizin_English) December 31, 2022
Takeda finding his way back into the fight with pure heart 🫀
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試合直後の退場時に「クレイジーだった。2万人がアリーナにいた。人生で初めてだよ」と興奮冷めやらぬラバダノフは、会見場でも「日本のファンの皆さんには本当に感謝したいと思います。試合中、両選手を公平に応援してくれました。それに加えて自分のプロの人生において、2万人以上(2万5千人)の観客の前で戦うという初めての体験で、とてもエキサイティングな試合でした」とさいたまスーパーアリーナでの試合を振り返った。
また、対戦相手の武田について、「1Rのダウンで“これで行ける”と思ったのだけれど、武田選手が非常に強い意志を持ってまた立ち上がってきた」とタフネスを賞賛。フルラウンドの激闘を競り勝った要因を「3R目で非常に苦しい戦いだったのですけれども、アブドゥルマナップ先生がいつも言っていたこと、『決して最後まで諦めるな。全力を尽くせ』という言葉を思い出して“必ず勝利する”という強い気持ちで戦えました」と語った。
一方、初回にフィニッシュされてもおかしくなかったピンチを乗り越えた武田は、「セコンドの声とファンのみんなの歓声と……、なんかそれでパッと意識が目覚めて、兄弟子の芦田(崇宏)さんから『帰って来い!』って言われて。意地でも2R目に持っていこうと思って死ぬ気で耐えました」と回想。
試合前のパンクラスイズム横浜やロータス世田谷への出稽古では、前泊して「試合のつもりでスパーリングに臨んできた」ことを明かした。
そして、今回のラバダノフ戦で「“すげえ強えぇ!”と思って。こんな強い奴がまだ全然世の中にはゴロゴロいるんだ、すごいって感じて。ヌルマゴ一族はやっぱりい理想のスタイルなので、そこで練習できるならしたい」と、ダゲスタン、あるいは米国AKAでの練習をラバダノフにリクエスト。
ラバダノフは、「ぜひダゲスタン共和国にいらしてください。そして一緒に練習しましょう、ウェルカムです」と快諾した。
最後は「必ず日本に帰ってきて、日本のファンの皆さんもこの試合を覚えていてくれると思うので、また戻ってきていい試合を見せたいと思います。東京や埼玉のファンの皆さんに感謝します」と再び日本での試合を望んだラバダノフ。
政情が安定し、いつか武田がダゲスタンでイーグル軍団の練習を体感することが出来るか。ハビブも認めた武田の戦いは、新たな日本MMAとの交流の扉を開くかもしれない。