(C)Fighting NEXUS
2022年11月7日の『Fighting NEXUS vol.29』後楽園ホール大会のメインで行われた、5分2Rのフェザー級王座戦・山本空良(POD/PFC)vs.横山武司(Swells柔術ジム)の裁定結果について、判定負けとなった山本空良の所属ジム・PODの山本喧一代表が行った提訴について、NEXUSから回答書が発表された。
試合展開の詳報は、既報通りで、勝者・横山は足関節で主導権を握り、ポジショニングで上回り、2Rには腕十字でニアフィニッシュの場面を作った。敗者・山本もポジションを許しながらも、横山の土俵で応戦。最後の腕十字以外はセットさせず、下からの鉄槌、ヒジで出血させ、ダメージを負わせている。
同団体にとって、初の後楽園ホール大会となった『Fighting NEXUS vol.29』は、会場使用時間の関係から、1Rと2Rの優劣に差が見受けられる場合は「10-8」をつける割合を増やし、できるだけ2R内に決着をつける「特別ルール」での実施であった。また、その事は前日のルールミーティング時に梅木良則審判部長から全選手に通達されていることも、あらためて記されている。
3名のジャッジの採点は以下の通り。
◆ジャッジ3者の採点
1R 山本10-9横山 2R 山本8-10横山(18-19)
1R 山本10-9横山 2R 山本9-10横山(19-19)
1R 山本9-10横山 2R 山本9-10横山(18-20)
Fighting NEXUS相原雄一コミッショナーは、「当日のジャッジの採点はルールを逸脱したものではない」「よって試合結果は変更しない」「FightingNEXUS 代表山田峻平氏に対しては、両選手の早期の再戦を要望する」との結論と、その理由を発表している。
以下は、その原文全文。
「2022年11月16日
山本空良選手所属先代表 山本喧一殿
メインイベント 山本空良 vs 横山武司戦の提訴についての回答
Fighting NEXUSコミッショナー 相原雄一
標記の試合について、山本空良選手の所属先代表者・山本喧一氏から提出された異議申し立ての主張は次のとおりである。
1. ジャッジ採点の不当性:表記の試合において 1R10-9 横山とし 20-18 で横山とした採点と 2R10-8 横山とし 19-18 で横山とした採点はルールから著しく逸脱した採点であった。
2. 当日なぜそのような採点となったのかをご説明いただきたい。
3. 1.の主張が認められるのであれば再審議を希望する。
上記の主張について、審判員の見解を聴取したうえで、FightingNEXUSコミッションにおいて協議した結果、下記の通り裁定し、これをもって当該提訴に対する回答とする。
記
1.結論
(1)当日のジャッジの採点はルールを逸脱したものではない。
(2)よって試合結果は変更しない。
(3)FightingNEXUS 代表山田峻平氏に対しては、両選手の早期の再戦を要望する。
2.理由
(1)事実
FightingNEXUSvol.29 本大会は初の後楽園ホール大会であり、会場使用時間の関係から 1Rと2Rの優劣に差が見受けられる場合は「10-8」をつける割合を増やし、できるだけ2R 内に決着をつける特別ルールでの実施であった。またその事は前日のルールミーティング時に審判部長の梅木氏から全選手に通達されている。当該試合もその特別ルールでの実施であった。
第1ラウンドは2名のジャッジ10-9で山本選手を支持、1名のジャッジが10-9で横山選手を支持し、第2ラウンドは2名のジャッジが10-9で横山選手を支持、1名のジャッジが10-8で横山選手を支持し、ジャッジA19-18横山、ジャッジB19-19イーブン、ジャッジC20-18横山となり、判定2-0で横山選手の勝利となった。
(2)ジャッジ採点理由の聞き取り
コミッションは当該試合のジャッジを担当した3人の審判員から当日の採点理由を詳細に聴取した。各ジャッジの採点理由の要点まとめると以下の通りであった。
《ジャッジA》
1R、アグレッシブネス、ファイティングエリアコントロールにおいて優勢だったのは横山。意識レベルを低下させるほどではなかったが外傷として裂傷を追わせたのをダメージとして評価し「10-9」山本
2R、ラウンドの大半はグラウンドでの攻防となり常に横山が攻勢であったと評価。山本は下からパンチ、エルボーを繰り出すが横山が要所に繰り出す強いパウンドの方がダメージとして上回っていると判断。今回の特別ルールを加味してダメージ、アグレッシブネス、ファイティングエリアコントロールの全てで上回っていたと評価したこのラウンドは1R より差があると判断し「10-8」横山。最終の採点は「19-18」横山。
《ジャッジB》
1R、グラウンドでの展開では横山が優勢に進めていたがキャッチまでには至らず。山本が肘により横山の頭部をカットした攻撃をダメージとして判断し、「10-9」山本。
2R、横山のグラウンドの攻勢、特に腕十字がニアフィニッシュに近く最も評価されるべき攻撃であったと判断したが、山本の下からの打撃も効果アリと評価し、差は1Rと差があるとは判断せず「10-9」横山。最終の採点は「19-19」イーブン。
《ジャッジC》
1R、山本の肘によるカットもダメージとして評価したが横山のパウンドをダメージとしての評価に差がないと判断。アグレッシブネス、ファイティングエリアコントロールで上回った横山のラウンド「10-9」横山
2R、大半を締めたグラウンドの攻防でテイクダウン、ポジション、腕十字等攻勢であった横山のラウンド「10-9」横山。最終の採点は「20-18」横山。
3.審議の結果
(1)コミッションは当日採点を担当した審判員から聴取した採点理由を確認した上で試合映像を確認した。三者三様ながらも、ジャッジの採点として各々がルールを逸脱したものではないと判断した。
4.補足
今回、FightingNEXUS初の後楽園ホール大会で会場使用時間の関係から全試合を前記の特別ルールで行った。しかしメインイベントを含むタイトルに関わる試合に関してはそこに至るまでの選手の歴史を鑑みると通常のルールで行うべきであった。特にメインイベントは、FightingNEXUS史上最大の死闘であった。山本選手の無念な胸中は察するに余りある。FightingNEXUS山田峻平代表には通常ルールでの早期の再戦実現を要望する。
以上」