ファイターは一定の期間しか稼げないから、多く稼いでほしい。だから他団体への出場も許可しているけど、ベアナックルは──
──そのハビブがオーナーのEagle FCとBellatorは選手間の行き来など協力関係にあります。一方で、素手のボクシング「ベアナックルファイト(BKFC)」にもBellatorウェルター級で王座戦も戦ったマイケル・“ヴェノム”・ペイジ(MVP)が出場しました。これらの他団体に契約選手が参戦することに寛容なのはどういった考えからでしょうか。
「ハビブとは実際に話し合って、『Bellatorにこの選手を出したい』『Eagle FCにこの選手を』というディスカッションをしたんだ。それでOKをして、こちらからもEagleに選手を送った。ファイターは一定の期間しか稼げないから、多く稼いでほしいんだ。だからRIZINへの参戦だって許可している。ファイトショーツやバナーにスポンサーを張るのもそうだ。オールドスクールに見えるかもしれないけど、私はあの感じが好きでもある。選手はBellatorだけに出場を限られる必要はない。
ただ、MVPのベアナックルファイティングへの出場については、少し違った。BKFCからMVPにかなり巨額なファイトマネーを提示されたんだ。それを聞いて、私から『出場するな』とは言えなかった。彼の人生を変えるほどの金額だったからね。MVPはタイトル戦線にからむ選手で、ファイターとしてもリスクが大きい。でも、自分自身のポリシーとして、またプロモーターとして、友人としてもMVPに出場をしないように言う事はできなかったよ。
私たちはUFCとは違う。それが選手のチャンスになるのであれば、他の場所でも戦えるようにする。選手の為になって、プロモーションの為にもなるのであれば、それは何一つ間違っている事ではないと思っている。ただ、全てに『イエス』と言っている訳ではない。MVPにとっては今回大きい収入を得る機会だった。だから『戦っておいで、あとはその後話そう』と伝えたよ。
──あの試合のダメージを考えると、MMAファイターのキャリアを続けるなかで、素手で殴り合うことに大きなリスクを伴うと感じました。
「本当にそうだよ。選手が負けると我々も負けるのと同じなんだ。選手を育てるのに時間も労力もかけて、試合で活躍できる状況まで育て上げるんだ。MMAはボクシングとも違うし、BKFCはボクシングとも違う。もっと荒いし、ホールドもクリンチから打つダーティーボクシングが可能となっている。だからボクシングとはまるで違う。今回は本当に金銭面がネックだったんだ。マイケルには電話で『これが本当にやりたいことなのか?』って確認したよ。それで『イエス』と言ったから、『気を付けて戦ってこい』と。それで今回、マイケルは負けたから、一歩戻らなければいけない。一歩戻ってまた前に進まなければいけない」