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カーフにパンチを当てに行くのは狙っていた。堀口選手の寝技は力よりも──(金太郎)
2022年9月25日(日)夜の第2部で『超RIZIN』に続き、『RIZIN.38』がさいたまスーパーアリーナで開催された。
2部大会のトリを飾るメインイベントは、バンタム級で堀口恭司(アメリカントップチーム)が、金太郎(パンクラス大阪稲垣組)と対戦。堀口が1年9カ月ぶりの日本帰還試合で、2R一本勝ちを収めた。
試合で最初のヤマを迎えたのは、金太郎だった。サウスポー構えの金太郎に右ミドルを放つ堀口。そこに「身体が反応した」金太郎がカウンターの左ストレートでダウンを奪った。
「堀口選手がカーフを蹴ってくるっていうのはずっと(頭に)あって、そこに当てに行くっていうのは作戦のなかであったので、そこで身体が動いた」
ダウンした堀口にすかさず鉄槌を振り下ろす金太郎。しかし堀口はすぐに後転して立ち上がると、続くサッカーキックもクリーンヒットはさせず、組み技にシフトしていった。
2Rに堀口は左前手を上に上げるフェイントから、タイミング良くダブルレッグでテイクダウン。金太郎はヒザ蹴りを合わせに行くが間に合わず。
圧巻はここからの堀口のフィニッシュへの流れだ。ダブルレッグで尻を着いた金太郎は両足でフルガード、隙を見て立とうとするが、堀口は左脇を差して左足をガードを越えてハーフに。
さらにパウンドを入れながら右足も抜いてマウントを奪うと、自身の左腕で金太郎の頭を枕に抱き、金太郎の左ヒジを内側に流して頭を突っ込み、肩固めへ。首筋に巻いた左腕をタイトに頸動脈を絞める“川ちゃん固め”に近い形で絞り、「He is out!(彼は失神した)」。金太郎の動きは止まり、レフェリーがストップした。
2017年大晦日のマネル・ケイプ戦以来の肩固め。フィニッシュの瞬間を堀口は、「このままなら絞まるなと。結構得意なので。しっかり脇を絞めて入れれば極まると思ったので、ずーっと絞めてました。(極め切れるか迷いはなかったか?)全く迷いはなかったですね」と振り返る。
MMAとしての技術の幅の広さを持って、試合展開に応じて戦い方を切り替えられるのがいまの堀口の強さだ。
一度は勝機を掴みながらも、策を切り替えた堀口の組み技に敗れた金太郎は、「力が強いという感じじゃなかった。バランスが……僕もフィジカルが強いほうで、意外と(寝かされても)立てたりするけど(堀口は)バランスが良かった。1回目(の攻防で)力を使ってしまって、ちょっと力んでしまった。押しても抜けていくような感じで、力が入らないポイントでバランス良くキープされて、ちょっと焦ってしまった」と、堀口の組み技を語る。
そしてマウントを奪われて、逆サイドに抜けての肩固め。
「あれは全く覚えてないんです。どっちで絞められたのか、どのタイミングで肩固めに来たかも覚えてなくて。大事な試合はいつも肩固めで負けている気がしますね……PANCRASEのタイトルマッチも肩固めでやられて(※2019年7月のハファエル・シウバとのバンタム級王座戦)。見ていたかもしれないですね、堀口選手も」と、堀口戦同様に、先にダウンを奪いながら逆転負けした3年前の王座戦の敗北に続く一本負けの悔しさを噛みしめた。