王者=大和哲也じゃなくて、“大和哲也が王者”という意識
──12年前のK-1 WORLD MAX時代にトーナメントで優勝しましたが、今回K-1王者になったことで、改めてK-1のベルトについてはどのような想いがありますか?
「自分はK-1の世界チャンピオンになりたいと思ってやってきて、そのベルトを獲ることが出来たと。ただ、自分としてはチャンピオンになることで終わりじゃなくて、チャンピオンになったことである意味発言権を得られたわけですし、自分の試合を通じて、自分の人間性をファイターとして見せて、いろんな人に元気やエネルギー、パワーを伝えたいなと思っているんですよ。今はやっとベルトを巻いて、K-1の舞台での発言権を得たところです。まだまだ自分のことを見せるべき人たちはたくさんいると思うし、そういう運命を含めて、今回きっちりと勝利を収め、さらに声高らかに自分の伝えたい想いを発信していきたいなと思っていますね」
──ベルトを獲ったその先にもやりたいことがたくさんあるということですね。
「だから、前回大蔵選手にああいう形で負けたことで、自分にはやるべきことがあるなというか、自分の運命を再確認出来たところはありますね。あの負け続けた期間があって、またこのようにベルトを巻いてチャンピオンになった。我ながらこんなドラマチックなことはないと思うし、そんな自分にしか出来ない魅せ方があると思うんですよ。しかも、今回の横浜大会は9.11ですよ。2001年にアメリカで同時多発テロが起きた日ですよね。その日に僕は“アベンジ”の気持ちと感謝を胸に、最高の試合をして、リングから世界平和をしっかりと唱えたいと思っています」
──具体的な次の目標はあるんですか?
「K-1で負けている選手たちにベルトを懸けて恩返しをして、勝ち星を掴み取りたいなと。今はそれが一番大きいですね。今回はいきなりその1人である大蔵選手とやれるので、また自分は持っているなと思っています」
──ベルトを持ってアベンジロードを突き進むと。
「いいですね! アベンジロードです」
──今、持っているとおっしゃいましたけど、やるべきことをやっていると必然が転がってくる感じですか?
「いや、イメージ的には、起こったことは起こるべくして起こったっていう感じですね。だから僕が勝てなかった2年4カ月間という期間も、起こるべくして起こったことなんですよ。あの時期も手を抜いてたわけじゃなくて必死にやっていたんですけど、何か歯車が合ってない感覚があった。でも、それから復帰戦に勝って、ベルトを巻くことが出来たわけですよ。それは歯車は合ってないように見えたけど、実は合っていて今に繋がっていると思うんですよね。だから起こることは全て起こるべくして起こっていると捉える。そのことを僕は必然と言っています」
──起こったことを受け入れるということですね。そういう中で今回の試合はどんなことをテーマに戦いますか?
「さっきも言った通り、やっぱり恩返しですね。僕に強くなるきっかけを与えてくれた大蔵選手に最高の恩返しをして、K-1という最高のリングでまた『We are all one.Fight for peace』っていう言葉を、世界に向かって声高らかに宣言したいですね」
──分かりました。格闘技人生で初めてK-1のベルトを巻いての試合になると思います。そこは意識していますか?
「確かに今の僕はK-1王者なんですけど、王者らしい試合をしようとは全く思ってないんですよ。王者=大和哲也じゃなくて、“大和哲也が王者”という意識なんですよね。僕が僕らしい試合をすればそれが王者たる試合になると思うので、そこらへんは意識してないです。だから、また最高の準備をして、最高の大和哲也の一瞬で決める試合を、一撃必倒の試合をお届けしたいと思っています」