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朝倉未来がスペシャルアドバイザーを務める「1分1R」大会「BreakingDown」が、2022年8月16日に「BreakingDown5.5」を緊急開催。今回はケージではなくリングで、6試合中5試合がキックルールで行われた。
11月3日に「BreakingDown6」が決定済みで出場選手募集をかけているさなかに決まった「BreakingDown5.5」は、7月に開催された「BreakingDown5」のスピンオフ企画で、朝倉未来のYouTubeチャンネルにて無料配信された。
格闘エンターテインメント色をはっきりと打ち出した同大会では、これまで“キレキャラ”で人気のこめおや、様々な“ニキ”が登場。格闘技を通した「人間再生ドラマ」を1分間で見せられるか。
BreakingDown5.5 速報
2022年8月16日(火)都内某所
▼第6試合 キックルール 1分1R→1分無制限Rに
×10人ニキ
[4R TKO]
〇DJ社長
最終第6試合は、前回大会のオーディションで話題となった“10人ニキ”こと鈴木大輔と、人気YouTuber「Repezen Foxx」のDJ社長の対戦。DJ社長はツイッター142.6万人、インスタグラム156.6万人のフォロワーを誇る。
10人ニキは「BreakingDown」第4回大会のオーディションで「武器を持った相手に1対10でボコボコにした」と豪語し、日本拳法10年のにっけんくんとのスパーリングで失神KO負けした選手。
DJ社長は、そんな10人ニキとの試合に向け「最強を決めようか」と記し、鈴木は「俺を倒さないと世界一にはなれないぞ」と答えているが、朝倉未来は「最弱が決まる」と語る。
「朝倉未来や那須川天心らとバトってきた。格が2個、3個違う。ワンパン。負けたら、『10人ニキに負けました』とタトゥーを入れる。お前は何をするんだ?」と詰め寄るDJ社長。10人ニキは「30秒以内に片づける、一撃右ストレート。俺も負けたら『DJ社長に負けた男』と入れるよ」と応じる。
リング上でDJ社長は「沈むまでやる」と無制限Rを要求。朝倉未来が承諾し、10人ニキは「2度目の整形をさせてやる。ほんとうにブサイクになる。俺のパンチで」と語った。
1R、先に右ストレートを当てるのは10人ニキ。ガード固め、頭を下げて突っ込むのはDJ社長。10人ニキはスタミナが来るしいか。しかしDJ社長も大振りパンチに自らバランスを崩しマットに崩れる。前蹴りを打ち、目を閉じて左右を振り回す10人ニキ。
2R、距離を詰めるDJ社長。顔をそむける10人ニキ。押し込むDJ社長に、後ろを向いて下がる10人ニキに、放送席は苦笑。DJ社長の圧力に、10人ニキはゴングにマットに大の字に。
「そろそろ最弱が決まりますね」という朝倉未来。
3R、右を振る10人ニキにDJ社長も手打ちに。しかし連打にロープにもたれかかる10人ニキ。背中を見せて自陣コーナーに行き、コーナー下に座り込む。
4R、最後の力を使ったか、左右を振り回す10人ニキだが、ガード固めてパンチを当てるDJ社長。10人ニキが背中を見せて動けなくなったところでスタンディングダウン。レフェリーが間に入り、DJ社長がTKO勝利した。
試合後、DJ社長は、「30万人以上の皆さんが僕のためだけに見てくれてありがとうございます(笑)。いきなりデスマッチが受け入れられると思わなかったけど、僕的には美味しかったんでOKです。未来くん、また『6』とか『7』とかやるんでしょ? また出させてください。10人ニキに次に強い人と。下から順に上がってきます、僕は。お願いします」とマイク。
敗れた10人ニキは、「ヤバイすね……もう、めっちゃ体力ありすぎ。俺も禁煙して1年目だけど、なんでそんな体力あるんスか」と座り込んでマイク。
「積んで来た場数が違うから」というDJ社長。「次は俺より弱いやつを探してきてください」と10人ニキに再起をうながした。
その場タトゥー入れの代わりに「俺のシッコ飲むか、タトゥー入れるか、選べよ。しょんべん飲めよ」と飲尿で手打ちしたDJ社長は、最後に「リヴェンジは受け付けるぜ」と話すと、10人ニキも「望むところだ」と笑顔で返した。退場しながらDJ社長は「弱いのにすみません、勝って」と頭を下げた。
放送席のYUSHIは「久しぶりに試合を見て、こんなに笑ったなと。10人ニキさんは何か応援したくなるものを持っている」とコメント。
また、解説席の朝倉未来は、「どっちが最弱なのかという観点で面白かった。意地のぶつかり合いも。不良同士の戦いなので、なるべく白黒ついた方がいいし、今後、この新しいルールをちょっと採り入れたいなと思いました」と、1分複数ラウンドの試合も検討したいとした。
1分で決着がつく試合は、実力差があるカードになりがちだ。短期決戦で「分かりやすさ」を求めると必然的にMMAではなく「殴り合い」の立ち技ルールが多くなる。それが複数ラウンドとなれば、より技術、スタミナを持った者が勝利する=ジムで正しく練習を続けた者が勝つ。試合前後の人間ストーリーの煽りのみならず、試合自体のクオリティのバランスも考え、試合後の視聴者の満足度をどうとらえるかまで、朝倉未来は「1分間」のフォーマットのなかで考えている。
この大会前後も含めた1分間大会のリアリティーショー的なフォーマットは「朝倉未来」ありきで始まったが、今後、世界展開していくなかで、朝倉未来がいないとき、あるいは朝倉未来的な存在を作れば、代替可能なフォーマットとして、どこでも同じように人々の興味を引くか。
またBreakingDownは「これをきっかけに格闘技に興味を持つ人が増えること」も目標のひとつとしているが、同時にBreakingDownをきっかけに格闘技のイメージを「喧嘩」ととらえる人も増えるだろう。それでも興味を持ち、ジムに通い始めた選手、あるいは出場した選手が「より強くなるため」のことを考えたら、格闘技の層は広がる。
一方で、格闘技を有名になるため、成功するための「道具」としてとらえる者、そこに興味を持つ人は、このブームの後に格闘技から離れていくだろう。
プロファイターを目指す者が、「このBreakingDownを通れば、手っ取り早く名を売ることが出来る」と考えたときに、その知名度を持ってより強くなるための環境を手にすることが出来るか。プロファイターの最大の価値が「強さ」である以上、選手が「近道」をしようが「回り道」をしようが、最後に評価されるのは「強さ」だ。
今回、朝倉未来のYouTubeチャンネルで生配信されたメインの試合は、40万件を超える視聴を記録した。果たして「BreakingDown」は今後どう展開していくか。