ハファエル・コルデイロの師弟同士の戦いでもある
──柔術ベースでありながら、得意がゆえにグラップリングの練習をあまりしてこなかったとは意外です。ところで打撃といえば、ボクシングに加えて、空手の経歴も持っているのですか。
「空手の経験は3歳頃の話なんだ。フルコンタクトではなく伝統派空手だった。僕の打撃は、実はほぼ独学なんだ。自分の身体の動き方というのは、人に教えてもらってできる事ではないと思っている。個々の身体の特徴、バランスによって、得意な動きや可能な事、メンタリティーも違ってくるから、それぞれの動き方も違うと思っているんだ。
さっきのチームで教え合うこともそうだけど、全てはまずは自分を知ることが大切なんだ。今はYouTubeに情報が溢れている。20年前はYouTubeもなくて、日本だったら色んなビデオテープとかDVDがあったかもしれないけど、ブラジルはそういうものも無くて、今のような情報もなかった。だから、自分で考える癖がついたし、僕はとにかく独自で研究するのが好きなファイターなんだ。今だったら、先生はいっぱいいる。例えばレスリングをモノにしたいと思ったら、世界のベストなMMAレスラーの映像を見て、彼らがどう動くのかを見て、とことん研究するんだ。自分と似た体格の選手がどう動いているのか、とかもね」
──ブラジリアン柔術とともにあなたのベースのひとつが独自に学んだボクシングやムエタイだと。クリチーバに住んでいて、PRIDE時代にヴァンダレイ・シウバたちが活躍してたシュートボクセに入ろうという気持ちにはならなかったですか。
「そうだね、ちょうどその頃、僕はMMAとムエタイアカデミーに足を踏み入れた時だった。その頃、叔父のオサムが日本からバケーションで来て──実際永住する事になったんだけど──オサムは『この街はPRIDEで有名な選手がいっぱいいるな』って言って。1993年生まれの僕は、自分の街にそんな人たちがいるなんて信じられなくて、色んなファイターにオサムと会う事になったんだ。その中にはハファエル・コルデロもいる。20年前だ。それで週末は、その教え子と戦う事になるなんて──本当に不思議な話だよ」