最終的に自分を信じ切れたところが勝因かな
――リング上でこれまで最強と思ったことはなかったと言っていたが?
「ずっと寂しかったですね。ずっと試合あるんですけれどワクワク感がずっとなくて。でもやっとここで戦えたというか、やっと出会えたというか。だからこそ自分の中で、この人に勝てば本当に強いと認めてもらえるというか。世間からもいろいろ言われたりとかもお互いあったし、選手同士はやりたいのにずっとあったので。それがやっと出来る。この人に勝てば僕は強いってことでいいのかなってずっと思っていたから。正直、戦わないで引退するのって俺マジで心残りが凄いあったから。こういう風に戦うべくして運命的な出会いだったんじゃないかなって。その言葉で片付けるのはあまりよくないとは思うんですけれど、そういう感覚ですね」
――判定を聞く時に、1人目のジャッジが出るか出ないかくらいの時に涙ぐんでいた。その涙の理由は?
「リング上のことはそんなに覚えていなくて。俺、そんなに泣いていましたか?」
――最終結果を聞く前に涙を流していた。
「マジすか。なんだろうな…出た感情じゃないですか。感情がバーっと出ちゃったんじゃないかな。あまり記憶はないです」
――プレッシャーに打ち勝てたのは?
「チームを信じ切って戦えたことじゃないですか。今までやってきた(チームに)最後戻して、カウンターを狙って、那須川天心の強さを見せるっていうところを最終的に自分を信じ切れたところが勝因かなと思いました。父親だったり、ボクシングのトレーナーだったり、チーム天心、最強の仲間なのでみんなに感謝しています」
――試合のイメージが出来ていると前日会見で言っていた。そのイメージの合っていたところと違ったところは?
「合ってた違うとかではなく、ずっと戦うとか戦わないとか言われていて、画面でしか見たことがなかったから“うわっ、武尊だ”って感じだったんですよ。ずっと大きく想像していたんですよね。でも対峙してみたら、思っていたより、骨格とか身体とかデカいですけれど、思っていたものより小さく見えたんですよ。そこが思えたことが勝てた原因かなと思いましたね。何倍も強い武尊選手をイメージしていたから、そのイメージの範囲で戦えたというか。そういうのはありましたね」
――言える範囲で今後のボクシングにおいてどういうところを目指していくか?
「ちょっとまだ、いったん休んでから考えようと思います。ちょっとまだ分からないです」
――那須川会長最後のセコンドだと思うが、そこで感じることは?
「いま率直に思うのは感謝の気持ちしかないですよね。出来すぎですよね、父の日だし。なんだろう、こんなことってある? っていう。ロッタンに勝ったのも父の日だったんですよ。いい話ですよね」
――ボクシング界において武尊選手に匹敵するような好敵手は見つかりそう?
「まだ次はとりあえず考えてないです」
――武尊選手は負けたら…と周囲に言っているが、今後武尊選手に期待したいことは?
「どうなんですかね。これはリング上で2人で話したことだからあまり言えないんですけれど、武尊選手の想いがあったみたいなので、期待することってわけではなく…これは内緒ですね」
「最後の最後に武尊選手と戦えてこういう舞台を用意してくれて、関係者だったり、そして本当に武尊選手には感謝しかないです。僕の前に立ちはだかってくれてありがとうというか、戦ってくれてありがとうと本当に感謝の気持ちしかないので。あとは僕をここまで成長させてくれたキックボクシング界に感謝したいです。そしてRISE、RIZIN、K-1、どの舞台も最高だと思うので、またこうやって交わることが出来たら僕は嬉しいですし、選手も嬉しいし、本当に格闘技って一般の人から見たら殴り合って蹴り合って野蛮なスポーツなのと思うかもしれないけれど、それでもやっぱり人の心を動かすことが出来るものですから、キックボクシングに出合わせてくれて、最高の舞台で戦わせてくれてありがとうございましたと皆さんに伝えたいです」
――ファンにひと言。
「これで那須川天心のキックボクシングは終わりですけれども、今後もキックボクシング、格闘技をよろしくお願いします。すげぇ楽しかったです」