「タダで返すつもりはない」朝倉の秘策
会見でメイウェザーから「お金を出せば5Rでも8Rでもやってやる」と挑発され、「お金を出してMMAでやりたかったですけどね(笑)。間を取ってキックボクシングくらいでやりたかった」と返した。
心理戦はもう始まっている。それは億単位の“罰金”覚悟のキック予告だ。
「メイウェザー、1発蹴ると(罰金)5億なんで……ちょっとクラウドファンディングしようかと思ったんですけど……でも(効かすのに)2発はいるんですよね、絶対。一番入る技は、俺が斎藤(裕)戦で見せた右ストレートに合わせてテンカオ、左のヒザ蹴りを腹に打ち込むのが絶対決まるんですけど……5億はデカいよな……まあ、しょうがないですよね、それは。(蹴りを)入れたら大事件になるけどね。めちゃめちゃね……」と真顔でルール変更まで示唆する。
「タダで返すつもりはないですね。アイツ、なんか金儲けくらいの気持ちで来てると思うんですけど、もう全力のファイトスタイルで、1、2発もらいながらブン回して、一撃でもいいのを入れて、グラつかせたいよね。ほんとう、KOするつもりでやりますよ。ちょっと世界中をどよめかしたいよね。アイツ、絶対に“驕り”が出てるから」
爪あとを残すために、朝倉はここから3カ月、ボクシングに本格的に取り組むことになる。それは前述した通り、MMAファイターとしての動きを活かしたものになるという。
「MMAファイターのなかで見ても、ボクシングテクニックで(メイウェザーに)勝てる人って、世界中いないし、世界一だった男と試合をして、いろんなテクニックだったり(吸収して)、これからの期間はボクシングをずっと練習していくので、(今後)MMA選手で世界中、誰が来ても怖くないようになれるのかなと思いますので、今回、挑戦することに決めました」
「メイウェザーと戦わないか」と問われるMMAファイターは世界でも限られる。そしてそのチャンスを断るファイターは、ほぼいないだろう。
「すべてはMMAのため」──と朝倉は大勝負に出るが、MMAとボクシングは別競技で、MMAで戦うためのリミットは、MMAの練習を行うリミットでもある。
「『MMAの軸はブラさず』とは言ったものの、いまからパンチだけの練習をしていこうかなと。ここ最近、総合の練習もしつつボクシングの練習もめっちゃしてたんだけど、やっぱりグラップリングをした後にミット打ちとかをやると重くて、全然、練習量がいかないから、とりあえず走り込みとボクシングに特化した練習だけしながら、いまのスタイルを変えずに行こうかなと思っている」と、今後の練習方針を語る。