世界のメジャー選手と「飛び級」で戦う通行手形を手に入れられるか
強さを得て結果を出すこと、YouTuberとして数字を持つこと──いずれも自身の努力によって、今回のチャンスを得た朝倉は、ファイターとしてのリミットに向け、大勝負を仕掛けようとしている。
本来であれば、実力のあるファイターに勝ち続けることで、UFCなど北米メジャーと契約、ランカーとの戦いを勝ち上がれば、世界最高峰の選手と戦う権利を得ることが出来る。
しかし、当初は引退時期に決めていた「30歳」という大台に乗ることで、自身が望む世界のメジャー選手との対戦機会は狭まっていく。そんな状況下で、朝倉は“飛び級”出来る通行手形を、メイウェザー戦で得るつもりだ。
「なんだかんだ言ってもメイウェザーって世界で知らない人はいないくらい有名だし、これで少しでも世界で有名なファイターに目をつけられたら嬉しいし、コナー・マクレガーとかもメイウェザーとボクシングファイトをしてるけど、それを超えるような試合をして、マクレガーとかともやりたい。そういう喧嘩を売っていきたい」と、“メイウェザー戦で世界をどよめかした男”の肩書を持って、MMAで世界を相手に喧嘩を売っていくという。
「今回、こっちも利用させてもらうくらいの感じで、メイウェザーと戦ったら、世界中、いろんな人が俺と試合をしてくれると思うので、Bellatorの強豪選手とか、そういう選手とやっていきたい。とりあえずクレベル(コイケ)選手とやって、(RIZINが)Bellatorともいつでも戦える関係だと聞いているので、Bellatorとの対抗戦とかもやったらすごい日本も盛り上がると思います」
日本人ファイターが世界で求められる機会の少なさやハードルの高さにジレンマも感じている。ならば、求められる存在になればいい。
一方で、元来の負けず嫌いの性格上、リベンジを忘れることはない。限られた現役生活のなかで、敗れた相手に借りを返して、世界に打って出たいと考えている。
「それこそ俺はクレベルにやり返したい。だから年末も試合をしたいと思っているから、9月に試合をして、キレキレになった俺の状態でまた、年末も試合をしたい。
それに、Bellatorの有名な選手とかとやりたい。でもメイウェザーとやったら、普通にあっちから来ると思う。何だかんだ言っても、日本で試合をするときは、そういう知名度のある人と戦いたいっていうのがあると思うから、(パトリシオ)ピットブル(※現Bellator世界フェザー級王者)とか、そのへんとやっぱやりたいのは変わらないんで、そうするためにも俺も(メイウェザーを)利用させてもらうみたいな感覚で試合を受けている。
(世界と戦う)やるチャンスはめっちゃ上がると思うし、こんなチャンス、掴まないわけないし、俺たちが想像もしてないことがいろいろ起きるんじゃないかなというのは思っている。すべてはMMAのため。ボクシングに転向する気とかもないし、ほんとうにMMAの選手として世界で活躍していきたいっていうなかで、一時期、ボクシングで練習してもいいじゃんっていう、結果的にMMAで使えるんだから──という感じで受けましたね」