タップ疑惑をレフェリーは否定
4Rには、テイシェイラのテイクダウンに背中を着かされ、肩固めをセットアップされそうになった。しかし、プロハースカは、親指を上げて“大丈夫”と意思表示。下からテイシェイラの頭や背中を平手で叩き、自身を鼓舞した。
その仕草が「タップではないか」と取り沙汰されたが、レフェリーのマーク・ゴダードは、「イリーは試合中に実際に相手を祝福し励ましたりしていた。それを何回かしていたから、“そのやり方は危ない”と注意したんだ(苦笑)。でも彼が意図していた事は明確に分かっていた。2人の紳士たちの信じられないほどの偉業を祝おうじゃないか」と、タップ疑惑を否定している。
プロハースカは、かつてRIZINでキング・モーを相手に12試合ぶりの敗戦を喫したことで、大きな教訓を得たことを、本誌に語っている。
その教訓とは、「今、この瞬間に在ること(to be in the present moment)」。
「“この瞬間にある”とは、敵に対してただ反応するということだ。相手が何をしてくるだろうかとか、余計なことを考えたりせずに。モーとの最初の試合では、僕はサンドバッグやパッドに打ち込むように打撃を繰り出してしまったんだ。僕はあの時、ただ自動的に動いていただけなんだ。リアルな時間の中で動いていたのではなくてね。それこそが僕があの試合で得た一番の教訓さ。できる限り“リアルな時間を生きなくてはならない”」
まるで、古の侍のごとき戦いの哲学。プロハースカは、自宅の神棚や刀、『雷』の文字を紹介しながら、その意味を語ってくれた。
「RIZINで戦っていた時もよく言っていたけど、僕が行くのはサムライの道だ。我々の国にもかつて騎士達がいた。東西問わず、偉大な戦士達は、人生についても価値のある考えを残したんだ。その中でも僕は特にサムライの、武士道の道徳規範に魅せられている。
RIZINでの時間が、僕に戦いの作法の基礎を作ってくれた。つまり、死を念頭において、全てを試合に注ぎ込むことだ。単に試合に勝つための戦略に凝り固まるのではなくてね」
RIZINでの苦い敗戦を経て、UFCでの死闘をサバイブしたプロハースカ。その戦いは、ベルトを得て、さらに深化していくことだろう。
A hero’s welcome for the champ @Jiri_BJP 👑 #UFC275 pic.twitter.com/jYasUezLjJ
— UFC (@ufc) June 13, 2022