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「タップしたのか!? よもや、よもやだ!(No way, No way!)」
メインイベントのライトヘビー級選手権試合での最終5R、元RIZINライトヘビー級王者のイリー・プロハースカ(チェコ)が、UFC同級世界王者グローバー・テイシェイラ(ブラジル)からリアネイキドチョークでタップを奪った瞬間、ダナ・ホワイトUFC代表は、思わずこう叫んだ。
2022年6月11日(日本時間12日)、シンガポール・インドア・スタジアムにて『UFC275』が開催され、テイシェイラとプロハースカは、5ラウンドに渡り、どちらがフィニッシュしてもおかしくないシーソーゲームの激闘を繰り広げた。
プロハースカが跳びヒザ蹴りやアッパーを突き上げれば、テイシェイラもテイクダウンからマウントを奪い、パウンドするなど、互いに「死闘」と呼ぶに相応しい展開。
最終ラウンドにマウントを奪ったテイシェイラは、パウンド。勝利を決定づけるポジションを取ったかに見えたが、プロハースカはケージを蹴って上に。亀になるテイシェイラに背後からパウンドし、リアネイキドチョークへ! 真後ろから両足をかける形ではなく、サイドバックのまま首を絞めると、テイシェイラがタップ。UFCライトヘビー級王座が移動した。
テイシェイラは、2021年10月にヤン・ブラホヴィッチをリアネイキドチョークで降し、ランディ・クートゥアーのUFC史上最年長王座獲得記録(43歳)に次ぐ42歳で王座を獲得。今回が初防衛戦だった。
29歳のプロハースカは、RIZINからUFCに参戦し、ヴォルカン・オーズデミア、ドミニク・レイエスを2連続KOで降し、わずか3戦目でタイトルショットに臨んでいた。
プロハースカの劇的な一本勝ちまでのジャッジスコアは、2者が1、2、4Rをテイシェイラのラウンドと支持。プロハースカは3Rを3者が支持し、4Rも1者が挑戦者のラウンドとしていたものの、5Rもフィニッシュ直前まではテイシェイラが攻勢で、そのまま判定になればテイシェイラの王座防衛が濃厚な展開だった。