テイシェイラがどうプレッシャーかけていくかがポイントになる
――そういった「当てさせずに当てる」ことをジョン・ジョーンズとスタンドで互角以上の闘いを展開したドミニク・レイエス相手にやっているわけですからね。
「1ラウンド後半から2ラウンドにかけて、レイエスのほうが“どうすりゃいいんだよ?”という感じで追い込まれていたので、相手がどう攻めたらいいか分からなくなることを、プロハースカは試合の中で起こしてるんじゃないかな。プロハースカがRIZINで藤田(和之)とやったとき、自分も(藤田の)セコンドに付いたんです。あの時もいろいろと策を練ったんですけど、試合の途中に“これはどうすりゃいいんだ!? 捕まえるのは無理だな”って思うような状況にさせられてしまいましたから」
――重量級の中で抜群のテイクダウン能力を持つ藤田選手でもそうだった、と。
「プロハースカは動きが止まらないのと、攻撃の強弱が頻繁に変わるんですよ。普通、強打を打つ時というのは、やはり出力を大きくするために若干スピードを落とさなきゃいけなかったりもするんですけど、プロハースカは速い動きの中で急に強い打撃が来たりする。これは相手にとって休む暇もないし、本当に厄介な選手でしたね」
――ただ、スタンドではそれだけの強さを発揮するプロハースカですが、王者テイシェイラは打撃ももちろんできる上でのグラウンドの達人のような選手です。
「そうなんですよね。テイシェイラに組み付かれてコントロールされたら、誰も抜け出せないんじゃないか、というくらいの技術を持っていますからね。だからテイシェイラの方は相手がプロハースカだからといって、何か奇策を練ったりはしないと思うんですよ。これまでと同様に“自分のやるべきことをまっとうするだけ”という試合をすると思います。ただ、動き回るプロハースカをテイシェイラがどう捕まえるか、でしょうね」
【写真】テイシェイラのテイクダウンのキーは相手に金網を背にさせること。そこから右を振り、シングルレッグ、アンクルピップ、ダブルレッグテイクダウンにつなげていく。あるいは打ち合いのなかのカウンターの組みだ。
――先ほどの話でもありましたが、プロハースカはこの階級屈指のフットワークを誇るわけですからね。
「テイシェイラは右フックを振ってすぐにタックルに切り替える連続技が、勝利につなげる大きな武器としてありますけど。それを仕掛けるためには、触れられる距離に詰めなければいけない。でも、単純にリーチの長さでもプロハースカが10cm上回っているので、どこをどうプレッシャーかけていくかが、ひとつ大きなポイントになるでしょうね。
触ろうとしてもその前に打撃をもらうかもしれないし、ステップでかわされてるかもしれない。そういう中で、どうグラウンドに持ち込んでいくか。テイシェイラが自分の得意な体勢に入ることができたら、プロハースカだろうが誰であろうが勝てると思うんですよ。だから、そこに持ち込めるかどうか。本当にそこだと思うんですよね」