前回、カモーシェ選手にやられたことを──
──2021年6月の前戦では、当初の相手のイリマレイ・マクファーレンから、試合2週間前にリズ・カモーシェに変更となり、世界レベルのMMAの打撃の洗礼を受け、12戦目の初黒星を喫しました。あの後、手術も行ったようですね。
「はい。眼窩底の手術をして、それで打撃練習の再開は9月くらいからでした。カモーシェ戦後に週2回、打撃のジムに通い始めて、PURGE TOKYOで、矢口(哲雄)先生から打撃の指導を受け、対策も練ってもらいました」
――矢口トレーナーの指導で打撃のスキルをアップした。MMAの打撃としても指導を受けているのでしょうか。
「MMAの打撃をいろいろ研究して教えてくださっていますね。私が柔道出身なので、そのことも考慮して、位置取りとか距離、自分の動きに沿って、ほぼマンツーマンくらいで教えていただいていて、練習でやってきたことが、試合で少しでも出せればと考えています」
PURGETOKYOで矢口先生指導のもと最後の練習。
— Kana Watanabe×渡辺華奈 (@kanawatanabe821) May 6, 2022
谷口先生や強力してくださる皆さんのお陰でとても良いイメージで練習が出来てる。
ありがとうございます!!
あとは授けてもらったことを試合でしっかり出すのみ!!勝つぞ。 pic.twitter.com/fOxtf31frQ
――ハワイ大会では、渡辺選手が敗れたカモーシェがヴェラスケスに4R TKO勝ちで王座を奪取しました。
「試合自体はヴェラスケス選手がコントロールしてて、打撃もうまいし強いなという印象だったんですけど、ワンチャンスをカモーシェ選手がモノに出来る、カモーシェ選手の気持ちがめちゃめちゃ見えた試合だなと感じました。私の試合のときからだと思うんですけど、すごく前に出るようになったんですよね。それまではけっこう見て、ベテランならではの戦い方をする選手だったのですが、私との試合で覚悟を決めてKOする、とばかりに前に思いっきり出てきて、ヴェラスケス戦でもスタイルが変わったなと感じました」
――そうして迎えるキルホルツ戦。対戦相手の名前を聞いたときにどう感じましたか。
「最初に聞いたときは、前回の(ヴェラスケスとの)タイトルマッチも見ていて、柔道ベースで打撃がすごく強い。身長は160センチで、私が167なので、私より小さいんですけど、リーチが同じくらいなので、そこのアドバンテージもあまりない。前回、自分は打撃で負けてるので、やっぱり相性は良くないのかな、すごい強敵だなという思いでしたね」
──キルホルツは立ち技で47勝3敗という戦績を持っています。渡辺選手の課題でもある打撃のディフェンス面については──もちろんMMAのなかで被弾しないということについての手ごたえはいかがですか。
「なかなかできなかった部分は多かったんですけど、本当ここ数回の練習、4月に入ってからくらいの練習で、ちょっとできるようになってきて、ギリギリ間に合いそうだなという感触を得ています。まだまだ欠点はあるし、完璧ではないんですけど、少しずつもらわないということが分かってきました。そして今回、秘策も用意しています」
――前戦まで4連勝していたキルホルツは、2021年7月の前戦で長身のヴェラスケスにスプリット判定負け。あの試合はどうご覧になりましたか。
「全部打撃の攻防で、組み、寝技の展開が1回もなかったので、もうちょっと寝技の展開を見てみたかったというのはありますが、キルホルツ選手、1発を当ててどんどん入って振り回してくるので、やっぱり打撃の怖さはあります。その点、ヴェラスケス選手がけっこうリーチを活かして、しっかりサークリングして足を使って、ポイントポイントを当てていたので、手数はキルホルツ選手のほうがあったのかなと思うんですけど、ポイントポイントで当てたり、テイクダウンをラスト10秒くらいで決めたり、試合巧者だなと感じました」
──見切りと回転が速く、ヒザ蹴りや近距離パンチも上手い。打撃の怖さのあるキルホルツ選手を相手に、打撃で真正面から打ち合う必要もなく、MMAのなかでいかに対するか。
「自分から行くことも大事だと思っています。なんとなく試合を見て入るんじゃなくて、自分から行く。前回、私がカモーシェ選手にやられたように行くこともプランの中にあります」