トーナメント3試合全て完全決着をつけて制覇した中井りん。改めて国内最強を証明した
2022年5月8日(日)東京・後楽園ホールで開催された『skyticket Presents DEEP JEWELS 37~フライ級 GP 2022 FINAL ROUND~』にて、準決勝でTe-a(AACC)に2R4分43秒、腕十字で勝利、決勝戦は杉山しずか(リバーサルジム新宿 Me,We)に1R4分53秒、同じく腕十字で勝利した中井りん(修斗道場四国)が試合後インタビューに答えた。
中井は3月のトーナメント1回戦で藤田翔子(リバーサルジム新宿 Me,We)にも2RでTKO勝ちしており、完全制覇を成し遂げたことになる。
「ちゃんと有言実行でベルトを獲れたことがよかったです」と中井。
師匠であるWILD宇佐美館長は「今は必ずKOか一本で勝つことが目的なので。準決勝で1R終了間際にギリギリで極まらなかったじゃないですか。あれを教訓にして2Rは早めに攻めるってことで。今回もいい練習になりました。中井にとっては軽いスパーリングくらいのことだと思っていたので」と、準決勝のTe-a戦で1R終了間際に腕十字を極めるもラウンド終了となったことで「決勝も早く極めることを念頭に置いていました。判定になってはいけないから」という。
ただ、「動きがいつもより固かった」と宇佐美館長。中井も「練習の何%かしか出せなくて、誰でもそうだと思うんですが、自分としては不満です」とベストの動きは出来なかった。
固かった理由は「絶対に勝たないといけない責任感」(宇佐美館長)と「それもあるんですけれど、1試合目というのが初めてで。アップがバタバタしちゃって、私はアップにけっこう時間をかけるのでそれもありました」とウォーミングアップ不足だったとした。「1日2試合は思っていた以上に難しかったです」と宇佐美館長。
前日に一番の心配事としていた1試合目から決勝戦までの過ごし方は「毛布を被って寝て、休憩から後はすぐにアップを始めました」と睡眠とアップに使ったという。
「1試合目は幸いダメージがなくて」と振り返る中井に宇佐美館長は「ダメージがないようにするために、組み技だけでじっくり抑え込んで…とそういう考えでした」と打撃の攻防は考えていなかった。その理由を聞かれると「1カ月前の抽選会があった頃くらいに怪我があり、打撃は今回捨てていったんです。テイクダウンして抑え込みながら、2試合とも打撃を捨てていたので。どこを怪我したとは言わないですが」と実は怪我をしていたため打撃は使えない状態だったと明かした。中井も「(怪我をした箇所は)あまりよくなかったと思います」と話している。
杉山は準決勝が不戦勝で1日2試合は中井だけになったことでハンディとは感じなかったのか、との質問には「全然ないですね。普段の軽いスパーリングくらいのつもりで。毎日何十本もしているので(1試合目は)アップもできた、そういう感覚でした」(宇佐美館長)と、全く気にしなかったとする。
その杉山と対戦した印象は「ハートは感じました。向かい合って。そして杉山選手も同世代で、女子格闘技を引っ張ってくれている一人だと思っていたので、いつか絶対やると決めていました。やることは分かっていたので」と戦うのは宿命だったとし、ハートの強さを感じた。
しかし、宇佐美館長は「杉山選手はJEWELSを引っ張って来たとおっしゃっていましたが中井は長年日本の女子格闘技を引っ張ってきた。だからその上をいかないといけない、と思っていました」との意地があったとする。
今後については「マイクでも言ったんですが、JEWELSにどれだけ恩返しをしていけるか。競技向上や発展や、そういうのを含めてどれだけやっていけるかってことと、私としてはUFCに出たいけれど出られるか、出られたとしてもどこまで行けるか、ということになります」と、DEEP JEWELSへの恩返しとUFC出場を目標にしていくとした。
佐伯繁DEEP代表はDEEP JEWELS王者となった中井の今後について、「彼女はUFCを目指しているので、行きたいなら(ベルトを持っているからと言って)縛りはしません。UFCに行って欲しいですね。声がかかって欲しいです」と、UFCを目指して欲しいとし、「かと言ってすぐに話がくるものでもないので、現状で言ったら外国人選手を呼ぶしかない。世界には56kgの選手は多いので。またはトーナメントで戦っていない選手もいる」と、外国人の対戦相手を用意するか、トーナメントにエントリーしていてまだ中井と戦っていない相手との試合を組んでいきたいとした。