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2022年4月17日(日)に東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで開催される『RIZIN.35』にて、「RIZINフェザー級(66kg)タイトルマッチ」として、前王者・斎藤裕(パラエストラ小岩)の挑戦を受ける王者・牛久絢太郎(K-Clann)が11日、所属ジムで公開練習を行った。
同じ大会でともに再戦に臨む伊澤星花と公開練習に臨んだ牛久は、サウスポー構えからオープンフィンガーグローブでの1分1Rのミット打ちを木村琉音を相手に披露。足立区のキックボクシングジム「パワーオブドリーム」にも通っている牛久は、「PODにも若手ですごく強い選手がいて、いろいろと刺激をもらって強くなっています。この環境はありがたいです」と語る。
伊澤によると、「絢太郎さんは2週間前くらいは思い悩んでいた顔をしていたんですけど、先週あたりから5倍くらい強くなって驚いています。たぶん試合めっちゃヤバいと思います」と、試合に向けた追い込みのなかで牛久が覚醒したという。
牛久本人は、「いろいろ作戦を考えていて、もともと引き出しのバリエーションを増やしていたのが、1週間前に全部がマッチしたというか、ピタッと繋がった」と“整った”瞬間のことを語る。
対戦相手の斎藤裕は、試合に向けてセコンドの石渡伸太郎と「ファイトツリー」を作成し、フローチャート形式でABCどのパターンからどんな動きが出来るのかのシミュレーションを作っている。
牛久陣営の知恵袋は、セコンドの横田一則とPODの古川誠一の両会長になる。
「戦術は基本的には横田さんが考えてくれて、僕も疑問に思ったことは聞いて、横田さんも答えてくれます。僕も横田さんのことを信頼しているので、その信頼関係があってこそかなと思います」と、全幅の信頼を置く。
「再戦」で互いの手の内が明らかななか、その上で相手の予想を上回る心技体が求められる再戦だ。
牛久は、「お互い1回目で肌を合わせているので感じたものもあります。それにお互いに1試合挟んでいる(※牛久は12月12日に神田コウヤ戦、斎藤は大晦日に朝倉未来戦)ので、その映像とかも見て研究しながら、相手の弱点が出てきた部分もあります」と、試合で直に感じたこと、さらにライバルの直近の試合映像から、得るものがあったという。
さらに、「僕も1回負けてリベンジマッチを経験している(※2021年7月に中村大介と再戦で勝利)ので、相手の気持ちがすごく分かります。なので、逆にそれをモチベーションに僕もすごく追い込んできたのでいい練習が出来ました」と、敗者にとっての再戦のモチベーションの高さを想像できる分、練習で自身を追い込むことが出来たと語る。
その「三倍努力」の牛久の姿を、伊澤は“練習の鬼”と評した。
「絢太郎さんはいつもニコニコしているのに、追い込みがすごい。そして、人を追い込むときも『オラ、やるぞ』という感じで、すごい練習の鬼だなと思います」(伊澤)
牛久も「相手より明らかに勝っている部分」を問われ、「圧倒的な練習量」と、自信を見せる。
また、普段は温厚な牛久だが、スイッチが入ると“闘牛”らしく猛る。弥益ドミネーター聡志、中村大介との王座戦での終盤のテイクダウンなど、修羅場を潜ることで集中力も増している。
斎藤裕とのタイトルマッチでは、右を被弾しながら試合中に「来いよ、オラ!」と自身を鼓舞するように斎藤を挑発した。“汗かきファイト”も“喧嘩ファイト”も辞さないのが、いまの牛久絢太郎だ。
牛久は「『来いよ、オラ』なんて言ったんですかね」と苦笑し、「口がそう見えちゃっただけだと思います。間違いなく言えるのは、斎藤選手にリスペクトはある」と語るが、前回の勝利を「偶然」と見られることについては、「あんまりムカっとはしないけど、まだ皆さんには認められていなんだなと思いました。次の試合でしっかり認めてもらえる勝ち方にしたいと思います」と、王者の強さを証明するつもりだ。
牛久と斎藤、両者揃って、「異なる試合になる」という。
「相手も前戦を軸に研究してるんだろうなと。次もすごくいい試合になると思います。前戦とは違った内容になると思うので楽しみにしていてください」と牛久は目を輝かせる。
群雄割拠のフェザー級戦線で、首を狙われる立場になったが、「目の前の試合に集中しています。あんまり先のことは考えていない」という。「新しい牛久絢太郎をお見せしますので、お楽しみに」──偶然から必然の勝利へ。牛久絢太郎の時計は、斎藤裕戦から確実に進化の時を刻んでいる。