MMA
インタビュー

【RIZIN】斎藤裕「最後の最後まで勝ちへの執念を持って臨みたい」、スパーリングパートナーの「すごく強い選手」とは?

2022/04/06 20:04
 2022年4月17日(日)に東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで開催される『RIZIN.35』で、「RIZINフェザー級(66kg)タイトルマッチ」として、王者・牛久絢太郎(K-Clann)に挑戦する前王者・斎藤裕(パラエストラ小岩)が6日、東京墨田区のCAVEにて公開練習を行った。  原虎徹を相手に1分のマススパーリングを行った斎藤は、昨年末の連戦による敗戦と、怪我からの再起について「4月17日には万全な状態になる」と語った。  2021年10月24日に「RIZINフェザー級タイトルマッチ」として、クレベル・コイケの代役の牛久の挑戦を受けた斎藤だったが、2Rに牛久の跳びヒザ蹴りを顔面に受けてカットし、ドクターストップによるTKO負けで王座陥落。  続く大晦日に、朝倉未来との再戦に臨むも判定負けで5年ぶりの連敗を喫した。  再起戦に向け、身体的には、「大晦日で頬骨を負傷(骨折)したので、格闘技の練習に戻るのに1カ月くらいかかってしまったのですが、ほんとうに少しずつ毎週・毎週上げていくような感じで、3月に入ったくらいからだんだん感覚とか、コンディションが上がってきたのを感じています。4月17日にはしっかりと万全な状態になるかなという状況ですね」と、オーバーホールは出来ていると語る。  また精神面でも、「ちゃんと試合に向けて集中できるいい期間だと思っていましたので、精神的にも新しい気持ちを作り直していける感じでしたね」と、4カ月半ぶりの試合で心身ともにリフレッシュしたことを語った。 牛久戦は「やりたいことをやる」  牛久とは約半年ぶりの再戦になる。2Rの跳びヒザ蹴りでのカットについて偶然か必然かと問われ、「もらった理由はあると思っています。偶然か必然かというとなかなか難しいところはありますが、もらった原因はあると思っているので、それに関しても自分なりに解釈しています」と、偶然ではなく、被弾した原因についても分析済みだという。  その上で、「同じ攻撃をもらわないのは当たり前なんですけど、向こうも前回とは違う作戦を考えてくる可能性もあるので、やってみて、向かい合ってかなと。自分から作っていく・攻めて行くという形は持っているので、やりたいことをやる」と、前戦の動きを頭に入れながらも、先入観を持ち過ぎず、対峙する中で臨機応変に対し、基本は自ら試合を作り、相手が受け身になる形にしていくとした。  前回の牛久戦のカットで全治1カ月。その間、傷口が開かないようにトレーニングもままならないなか、2カ月後には、朝倉未来との再戦に臨むも判定負け。リベンジを許した。  1Rはイーブンも、2R中盤にカウンターの右フックを浴びて劣勢に。得意の組みの展開でもコントロール出来ず、朝倉のパワーアップに手子摺る場面も見せた。 「(敗因は)自分のなかでは理解しているつもりではあります。朝倉選手との試合に関しては、なかなか短期間で修正できないこともあるんですけど、もう1回やることがあるとすれば、そのときに勝てる自分でいればいいだけの話だと思っているので、そこに向けての積んでいくというのはチームで話し合ってはいますね。いまは牛久選手との試合が決まっているので、そこにフォーカスしている状況です」と、対牛久とは別の課題があったという。  そして、連戦時の気持ちの作り方も困難だった。 「どの選手も一緒だと思いますけど……もっと早くに試合が決まって発表されていれば違ったかもしれないですけど、いろんなことがあるので仕方ないかなあとは思いますけど、いまではそれが逆に自分にとってはいい経験になったかなとは思えています。プラスに変えていくというか」と、状況が万全ではないなかでも強豪相手のタフな連戦に臨む過程で得たものもあるとした。 [nextpage] 今回の試合で「練り直してくる」のはお互い様  いよいよ、ベルトを取り戻す大一番。  その相手となる牛久は、12月12日に「DEEPフェザー級タイトルマッチ」を神田コウヤと戦い、判定4-1で勝利している。それはスコア以上に僅差の内容でもあった。 「接戦だったと思います。牛久選手が要所要所でトップを取ったり、大技などの攻撃の印象が良かったりしたのかなと思います。お互いにもう一歩踏み込めなかったという試合だったと思います」  接戦のなかでも、得意の前手の左フック、さらに大きな左の後ろ蹴り、オーソドックス構えにスイッチしての右ミドル、前蹴りでペースを握り、終盤に印象に残るテイクダウンを決めた。斎藤戦を経て、落ち着きを増したような王者の動きだった。 「相手によって出す攻撃は変えているのかなと思います。神田選手とはサウスポー同士の試合でしたし、リーチも僕とは違いますから、それ用の作戦を立てたのかなと思います。構えを変えてくることは、自分との前回の試合でも何回かあったので対応できると思います」と、斎藤にとっても、一度直に対峙したことでイメージは出来ているようだ。 「再戦」であることは両者にどう作用するか。 「あまりそこは深く考えないタイプですが、1回試合で対峙しているというのはデカいと思っていて、向かい合ったときに感じるものは、初対戦の選手とは自分の中にデータとして残っているものが違います。それはいい面に働くときも、悪い面で働くこともあると思いますが、再戦が続いても、そこまで硬くなり過ぎずにとは思っています」と、前戦とは戦う上で前提が異なることは間違いないものの、引きずられることなく戦うという。 「向こうの陣営がどういう対策を立ててくるかによりますが、間違いなく前回戦ったときのことをもとに、今回の試合で練り直してくるだろうなと思っていますので、それはお互い様かなという気がします。自分も向かい合って感じたこともたくさんありますので。それを次の試合に活かすということではお互い一緒かなと思います」 松嶋こよみ、ジェイク・ウィルキンスらも練習相手に  互いの動きを知り、それでもなお見せていない引き出しがキーのひとつになる。連戦からの再起戦に向け、斎藤は練習環境の変化も語る。 「試合の勝ち負けでいろいろ選手を取り巻く環境は変わりますが、自分のなかで出来ていることはあります。なので、いますごく試合に向けて集中して向かっている状況なので、精神的にもコンディション的にもいい状況です」  それは新たなスパーリングパートナーの参加だ。  プロ選手が集い、スカイツリー下の“虎の穴”と化している石渡伸太郎率いるCAVEで、「今回の試合に向けて来てもらっている選手、スパーリングパートナーがいますね。対サウスポーという意味もありますし、ほんとうに来てもらっている選手がすごく強い選手なので、緊張感のあるいい練習をさせてもらっています」と、充実の表情を見せる。  その名前を自ら口には出さなかった斎藤だが、陣営によれば、その選手は以前、動画で公開された松嶋こよみと、新たにジェイク・ウィルキンスも斎藤のスパーリングパートナーとして練習に参加しているという。  東京育ちのウィルキンスはTRIBEでMMAを学び、渡米後、米国ジャクソン・ウィンクMMAで修行。アマチュアでベルトを獲得後、日本に帰国し、Fighting NEXUSで河名マストにTKO勝ちするなど2連勝中だ。  次戦でライト級で戦うウィルキンス、そして海外で活躍する松嶋こよみという強力なサウスポーのスパーリングパートナーを得て、確実に斎藤の練習の密度は上がっている。  今回の公開練習の相手を務めた原虎徹や雅駿介ら所属ファイター以外にも、CAVEを拠点とするファイターでは、アキラ(武蔵村山さいとうクリニック/&MOSH)、平本蓮(ルーファスポーツ)、宇田悠斗(総合格闘技道場HOPE)、井村塁(ネクサセンス)らが鎬を削っている。勝利も接戦を落とす試合もあるが、斎藤は、「先日もアキラさんの勝ちだと思って見ていました。自分が勝ってそういう流れを変えられたらいいですね。そういう気持ちは常に持っています」という。 [nextpage] 「勝てば官軍」結果にこだわる。「100」に戻したい  クレベル戦が飛び、メインの責任感から自らベルトを賭けた牛久との初戦はカットによるストップだった。「やれるよ、やれる!」と叫ぶなか、ゴングが打ち鳴らされ、ベルトを手放した。 「個人的な意見を言わせてもらえると“こんな傷で止めるの?”というのはあったんですけど、ルール上、仕方ないのかなと受け止めるのには少し時間がかかりました。そういう意味では自分のなかで“まだ試合は終わってない”と思いますし“完全決着させたい”という気持ちは強いです」と、半年前の試合にケリをつけるつもりだ。 「時が止まっている」ような気持ちか、と問われ、「タイトル戦ということもあって、勝ち負けがはっきり分かれて、ほんとうにゼロか100、ですよね。やっぱり勝って100に戻したいなという気持ちもありますし、これに勝ってまた防衛戦をやっていきたいと思っています」と、自身があるべき姿を取り戻すという。  王者になれば、再び因縁のクレベル・コイケが王座挑戦に名乗りを挙げることも予想されるが、「どうなんでしょう。クレベル選手についてはちょっとよく分からないことがあるので、僕の発言は差し控えた方がいいかなと思っています」と苦笑した。  守るべきベルトが無い身軽さと、落とせない再戦のチャンスのプレッシャー、どちらもあるという。 「そこまでナーバスになり過ぎてはいない、半々くらいかなと思います。どうしても選手は勝ち負けによって変わってきてしまうので、試合に対して勝ちへの執念というか、その気持ちを持って、最後の最後まで臨みたいと思います」と、斎藤は「執念」という言葉で勝利へのこだわりを示した。  前戦では、試合中に牛久から「来いよ、オラ」と挑発された。自身を鼓舞する意味もあっただろうが、舐められたと感じた斎藤は、RIZIN動画のなかで「ブチ殺してやるぞ、クソガキと思ってた。喧嘩をやったって負けねぇよ」と、勝利にこだわるなかにも退かない構えもあることも語っている。 「完全決着」の理想は「ワンパンチ」だが、そこで楽をするつもりはない。 「1Rで終わるのが一番いいですけど、ワンパンチで終わるのが一番、気持ちいいですけど……まあ勝てれば何でもいいです。勝ちたい気持ちがすごく強いので、試合内容をすごく良くしたいという気持ちも強いんですけど、結果にこだわりたい、勝ちにこだわりたいというところですね。試合に集中しているというか、いろんな思いを背負って戦うのはもちろんですけど、“勝てば官軍”だと思っています」と、勝利こそが最大のリベンジになるという。  最後にファンに向けて、「あと11日。ギリギリまで練習・調整を進めていって、ベストコンディションで戦いに挑めるように頑張りますので、会場でもPPVでもたくさんの応援、よろしくお願いします」と語った斎藤裕。  4月17日、最後にベルトを手にするのは斎藤か牛久か。
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