ナンバーワン・コンテンダーとして名乗りを上げていたストッツを倒すのは、ものすごく理にかなっている
──そのストッツ選手に『ゴング格闘技』本誌がインタビューした際、まだカードが決まる前の彼は「戦いたいのはランク1位のアーチュレッタだ。彼は誰と戦っても良い試合になる。常に全力で戦うから僕もやり甲斐がある」と仰っていたんです。その後、王者ペティス選手との試合が決定していたわけですが、期せずして両者が手を合わせることに。このタイトルもかかった初戦のマッチアップについては、どのように感じていますか?
「そうだな……そもそもペティスにベルトを奪われてからの俺は、タイトルマッチの再戦をすぐにやりたかったし、そのためにはどんなことでもするつもりだった。けれど、かねてからグランプリの話はあったしダイレクトリマッチとは行かなくて。それでも考え得るベストファイトは何かといったら俺とセルジオの再戦じゃないか? って、ずっと思っていたよ。グランプリの中で誰とやればいい試合になるっていう論点で言っても、俺にしてみればセルジオとなら最高の試合になると思っていたし、それを主張もしたんだ。
でも、負けた直後のそれは理にかなってないという風に跳ね返されてね。そうなったら誰がタイトルマッチの候補者なのか知りたいだろ? そうしたらラフィオンの名前が挙がったんだ。それは、彼は試合ですごくいい勝ち方をしていて唯一レコードも記録している(Bellator5戦無敗・MMA17勝1敗)選手なんだから、彼こそタイトルマッチにふさわしい、ということだった。そんなわけで残念ながら自分は彼の後に追いやられたしまったという気分だったんだ。で、セルジオが負傷するっていう思いもよらない形でタイトルマッチのチャンスが巡ってきた。この文脈で言えば、俺にとってベルトのナンバーワン・コンテンダーとして名乗りを上げていた相手を倒すのはものすごく理にかなっているだろ。だからセルジオvs.ストッツ以外となった時に、ベルトをかけた試合でこれ以上ふさわしい組み合わせはないってことだよ。すごくワクワクしてる」
──そのナンバーワン・コンテンダーであるストッツについて、先ほど「厄介な、試合巧者である」と仰っていましたね。
「彼は間違いなく危険な相手だ。勝ち方を知っているし、何より戦い方をよく知っている。まあ、ただ、この初戦に関しては、なんていうかスタイルのぶつかり合いというのかな。それが楽しみなんだ。彼は図らずもホリグチ(堀口恭司)と同じように怪我が原因で前王者となったセルジオ・ペティスの同門だから。それにしてもホリグチに続いてまた負傷をきっかけにベルト返上という事態に及んでいるわけで、しかも俺はそれに端を発したベルトを懸けて、再びそのベルトを獲るために戦うという……。
まあなんともユニークなポジションにいると思うんだよ。これを言い換えると、トーナメントを勝ち進んで自分がバンタム級世界グランプリトーナメント勝者となるということがまずあって、さらに一戦一戦を勝利することでチャンピオンであることを証明し続けることができる、という側面もあるわけだ」
──何ともタフな状況です。いま仰ったその側面についてどのようなモチベーションかをお伺いできますか。つまりトーナメントを勝ち進めてトップになるという目標設定がまずあって、さらにチャンピオンベルトの懸かった試合ですから、それを獲得し、さらにその先はトーナメント一戦ごとに防衛し続けるという使命が同時に生じるわけですよね。
「まあもちろんベルトを獲得するために努力をするのは当然のこととして常に捉えているのだけれども、トーナメントの最終目標として100万ドルの賞金を獲得するということを今の自分は目標に設定しているんだ。そのために一戦一戦を勝利しなくてはならないのだ、と。
それよりも先にあるものを見ようとしてしまうと目の前の対戦相手に対する焦点がすこしぼやけてしまって集中を欠くことになるだろうから。ラフェオン・ストッツは先を見越していられるような生やさしい対戦相手ではないからね。そして俺は試合のたびに世界最高のバンタム級ファイターの一人であることを証明して、出場選手たちをなぎ倒し、世界の頂点に立つのさ」