キックボクサーとしてはまだ3年ちょっと。パンチの技術なんてほとんどないといっていいくらい
──これからの自身の伸び代についてはどう考えていますか。
「伸び代に関しては、かなりあると思っています。自分は格闘技をやっているのは長いですけど、キックボクサーとしてはまだ3年ちょっとだと思っていますし、パンチの技術なんてほとんどないといっていいくらいだと思います。パンチの技術、ボクシングのテクニックとかをもっと取り入れていったらもっと良くなると思います。蹴りは、ローキックとかであれば大分効かせることができるようになったなって思います。ハイキックとかも精度を上げていけば、一発で倒せるようになると思いますし、技一つひとつもそうですけど、動き方、ステップワークとかもまだまだ改善できることはたくさんあります。あと100倍は強くなれると思います」
──試合を終えて、ご家族の反応はいかがでしたか。
「みんな喜んでくれていて、結構試合が終わるとダメ出しをされるっていうのが多かったのですが(苦笑)、今回はそういうのがなくて。もちろん僕がまだ未熟な部分があるっていうのは皆んな分かっていると思うんですけど、両親にしても空手の師範たちにしても、みんな褒めてくれましたね。両親もそうですし、空手の先生たちのグループLINEがあるんですけど、これまでは試合後にあそこはこうした方が良かった、とかよく言われて、勝ってもシュンってなることがありました(笑)。今回はそういうのもなく、良かったってみんな言ってくれました」
──ご両親も空手を?
「僕が始めた1年後に父が初めて、その1年後に母が始めました。今は空手の支部を暖簾分けしてもらって父と母で道場を持っていて教えているという感じですね」
──キックボクシングの中で秋元選手の空手が活きていると感じることはどんなところですか。
「今回の試合で言えば、一番はローキックかなと思います。あのローキックは完全に空手の下段の蹴り方で。それをキックボクシングに対応させた形です。どうやったらキックボクシングの競技の中で使えるのかを試行錯誤しながら、今回それがハマった感じです。今回は空手の蹴りですね。本当はもっともっとやりたいことがありましたけど、いっぱいいっぱいでしたが、今回は空手の蹴りが活きたかなって思いました」
──キックができなかった6年間がありました。その時期を振り返ってみていまどう感じていますか。
「本当に変わった経歴、すごく特殊な経歴だと思うんですけど、自分としては全く後悔はなくて。あの時キックボクシングを離れたからこそ、僕は今シンガポールにいると思います。これだけ言われたことを素直に吸収できているというか。あのままキックをやっていたら、自分のスタイルが出来ちゃっていて、いまのように言われたことを素直に吸収できない部分があったのかなとも思います。周りから見たらフラフラしているって見えるかもしれませんが、自分としては一つひとつを真っ直ぐにやってきたので、良かったなと思います。評価される場所に来れたっていうのは嬉しいですね」
──空手に戻った時に何か気持ちの動きみたいなものはありましたか。
「確かに空手もムエタイとかと一緒であまり評価されないですけど、自分がムエタイをやっていた時は、正直試合をしていて楽しくなかった。相手が強いって感じなかったんですよね。空手に戻った時に強い選手がたくさんいて、自分としてはそれが楽しいと思いました。自分より強い相手と純粋に戦いたいという気持ちでした」