RISEでの最後の試合を振り返った那須川天心
2022年4月2日(土)東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された『Cygames presents RISE ELDORADO 2022 ~Tenshin Nasukawa Finalmatch~』で、RISEでの最後の試合を終えた那須川天心(TARGET/Cygames)。目標としていたKOは飾れなかったが、判定2-0(30-29×2、29-29)で勝利し、46戦全勝(キックボクシングは41勝28KO無敗)の無敗記録を更新した。
以下、試合後のインタビュースペースで行われた記者との一問一答。
「試合内容的には全然満足してないというのもありますし、初めて自分からムキになった試合をしたというか。自分の気持ちの中では、気持ちで戦うのを初めてしたかなって思いました」
――リング上でも今日の試合はリキみがあったと。
「めっちゃリキんだですね。状況も状況だし、相手も相手だし、作戦とか考えてなくて。風音は前に出て来る選手じゃないですか。俺もそれに応えるじゃないけれど、それが自分の中であまり噛み合わなかったのはありましたね」
「僕がいつもと違う動きをしていたのが一番大きかったのもありますし、強くなっていましたよ。強かったです。前に出る気持ちとか想いのこもったパンチとか気迫が良かったですね」
――風音選手のセコンドに就いていた父・那須川弘幸会長の存在は?
「いつも自分の近くにいる声が相手だったので、なかなか新鮮だったというか考える暇もなかったというか。ずっと変な感じでしたね。めちゃ戦いづらかったです。見慣れた顔が相手サイドに全員いるし。それはありましたね」
「気合いを入れてやらないとダメだぞ、みたいな話をしましたね」
――昨日の計量で今までにないくらい声が枯れていたり、頬がこけていたりしたが、減量の影響は?
「減量は別に…なるべく筋肉を落とさないようにしていて。6月の試合があるので、そこは意識していたのはありますね」
――2時間で4kg落としたのはなぜ?
「いつも水抜きはやっているんですけれど、なるべく次の試合の体重に合ったというか、なるように骨格を落とさないというか筋肉を落とさないようになるべく水を抜くように意識しました」
「研究しているというのはずっとありましたよ。一番自分の手の内を知っているじゃないですか、手の内を知っている中で凄くやりづらかった、一番やりづらい、心境的にもそうだし。でも(自分が)的確に攻撃を当てていたので、内容的には全然勝ちではあると思ったんですけれど、やっぱり倒そうというのが…今回は勝ち負けを考えずに、倒すことだけを考えていたから。調子がいいからこそそういうことありますよね。なかなか上手くいかないですね」
――今日はKO連発。自分がいなくなってもRISEは大丈夫だと思えたか?
「僕がきっかけで見てくれる人が多いと思いますが、今後も見たいと思ってくれる人が今回の試合は多かったと思うので、非常に期待したいなというのがありましたね」
――お父さんが「そんなパンチは効かないよ」と厳しめの言葉を言ってたが、どう思った?
「それはリキんだですよね。“なんだよ”って思いましたけれど(笑)。身内がそういうこと言ってるから心揺さぶられますね。上手いな、と思います。作戦だなって思いましたね。動揺はしなかったですけれど、全然いけるでしょって答えちゃったですね。最初からその気でいたので。今まで見たことないスタイルだったと思いますけれど、いいところもあり悪いところもありですね」
――ダメージは?
「なかったです。いつも以上に被弾はしましたけれど効いたとかは一個もないです。一個パンチが当たったのかな。それはおでこにもらってヒットしたというパンチでした」
――セコンドに朝倉未来選手が就いていた。どんな指示を?
「未来さんは蹴りを中心に言ってくれて、もっと蹴った方がいいよとアドバイスしてくれたんですが、リキみが入って1テンポ遅れたのはあったけれど的確にアドバイスしてくれました。本当に心強かったです。試合前に相手の分析もしてくれたし、弱点も研究してくれていたので非常に心強かったですね」
――どうやって朝倉未来選手を口説いた?
「1回スパーリングでコラボした時に、セコンド誰就くのって聞かれてまだ決まってないんですよねと言ったら、俺が就くよって提案してくれて。ありがとうごっざいます、と。僕のRISEの最後なので華を添えてくれたというか。そういう粋のいい感じでいってくれたと捉えましたね」
「MMAなので分からないですね。打撃だったらアドバイスを、僕も一緒に練習した時にこれこうじゃないですかって会話もするけれど。MMAは分からないので」
――6月のセコンドは?
「そこは会長にやってもらいます。今回は敵でしたが次は仲間なので。また気合い入れて、気持ちを作っていこうと思います」
――今回のコスチュームも素敵だった。次はキックボクシング最後の試合になるので、何か派手な仕掛けを用意する?
「今はまだ分からないですけれど、どうしようかなと考えています。今はまだ終わったばかりなので、次へ向けてずっとスイッチオンはキツいので一旦休んでそこから考えようかなと思います」
――試合終わりに三浦知良選手や矢沢永吉さんからビデオメッセージが届いた感想は?
「めっちゃビックリしましたね、矢沢さん。本当にマジでビックリしたっすね。それしか(感想が)出ないです。“うわっ、矢沢だ! 矢沢が俺に話している!”と思って(笑)。さすがにビックリしました」
――会長とは次へ向けてどんな関係性になりそう?
「離れてみて、今まで僕の弱点を探そうとした視点で練習はやってこなかったと思うので、今回初めてその視点で見たじゃないですか。だからいい経験値になったというか、次へ向けていいものを手に入れられたかなと思っていますね」
――3Rは軌道修正して、下がりながらのカウンターを当てていたのでは?
「いや、それは出たんですけれど、そうじゃないって俺は試合中に思って。リキみで自分から行ってRISE最後だから行かないとな、攻めないとっていうのが空回りしましたね。2Rの感じは良かったけれどそうじゃないっていうのがあったですね」
――勝ち方に関して今回は迷いや揺らぎがあった?
「勝ち方というか、勝つ負けるは一切考えなくて、倒すだけしか考えなかったので。ちょっと気が抜けているくらいがちょうどいいのかなって今は改めて思いました。格闘技の難しいところだと思いました」
――試合後の「このままでは(武尊に)勝てない」って言葉は素直に出た言葉?
「そうですね。こんな気持ちで揺さぶられているようでは、そういう世界で勝てる試合ではないと思うので、意識を一個に集中するというかピーンと張り詰めるというか、何にも揺さぶられない試合をしていかないとなって思いましたね」
――父が分析した、今まで見つからなかった弱点や課題は6月に活かせそう?
「そうですね。活かせることしかないんだろうなと改めて思いましたね。自分の中でも リキみもそうですし、攻撃パターンもそうだし、軌道修正というかいろいろいいものが手に入ったと思いましたね」
――勝った選手が6月の試合で他団体の選手とやりたいとアピールしていたことは?
「いいことなのかなとは思うんですけれど、それが全ていいとは限らないとも感じますし、どうなんでしょうね。そこはまだちょっと分からないです。対抗戦っていうのではないと思うんですよね、俺の中では。それが引っかかっていますね」
――個人と個人の戦いという認識?
「そういう感じはします」
「今までありがとうございました。たくさんの刺激をRISEはくれたので、本当に強い選手と戦わせてくれた舞台ですし、今後の人生、格闘技を続ける上でもそうですし、格闘技を辞めた時にも自分の人生に残る1ページだったので非常に楽しかった、あっという間だったなと思いました。こんな最高の舞台は他にはないと思うので、皆さんもぜひRISEファイターを目指して、小さい子で格闘技を始める子も多いと思うので、RISEの頂点を目指すような選手、僕を超えるような選手が出てきて欲しいなと改めて思いました。僕の弟が今回デビューしたんですけれど、僕の弟のことも応援してもらえたらなと思います。皆さんこれからも、RISEと弟とキックボクシングをよろしくお願いします。ありがとうございました」