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2022年4月16日(土)と17日(日)、武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで開催される『RIZIN TRIGGER 3rd』および『RIZIN.35』の追加カードが発表されるなか、『RIZIN CONFESSIONS #93』が、公式YouTubeにて公開された。
今回は、3月6日の『RIZIN LANDMARK vol.2』を特集。後半では、現KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王者でMMAとの二刀流を戦う鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)と、元K-1の平本蓮(ルーファスポーツ)のフェザー級(66.0kg)戦を特集している。
1Rで大きなヤマ場を迎えた両者。フックからストレートに軌道を変えて平本の腰を落とさせた鈴木の右については、本誌既報通り、オープンフィンガーグローブで効かせるために、真ん中を打ち抜いたものだった。
「ガードがしっかりしていたので直接生身で当てないとダメだなと思ってストレートに変えました。(ボクシング)グローブだったらガードの上からでも(重さがあって)倒せるんですけれど、オープンフィンガーグローブだとなかなか振動を伝えられないので」(鈴木)
一瞬、ヒザを落とした平本は、この瞬間を、「最初、作戦はテイクダウンを取りに行こうと思っていたんですけど、ちょっと打ち気になっていたところに出会い頭にもらっちゃったんで、いい拳でしたね。打ち合いが得意だし、もともと近い距離で戦うつもりだったけど、変に熱くなっちゃった部分もある」と振り返っている。
1Rに鈴木が両拳を負傷(左親指骨折)。ここで積極的に組みに行くことを選択している。
この試合運びについて、本誌の取材に鈴木陣営のパラエストラ八王子の塩田GOZO歩代表は、「今回は徹底的にMMAをやろうと伝えました。打って組む、組んで打つ、テイクダウンで徹底的に消耗させ、鈴木千裕のやりたい事を相手に押し付ける作戦でした」と明かしている。
敗れた平本に、石渡は「最後に一番になるんだ」
では、平本陣営はどう考えていたのか。
今回の CONFESSIONSで、CAVEの石渡伸太郎塾長は、「打撃で分が悪いな」と感じながらも、平本のMMA打撃の可能性を試合のなかで見極めようとしていたことを語っている。
それはMMAとしては近い距離での打ち合いだ。
「キックの距離でやろうとしていたので……(でも)彼だったらやれちゃうかもしれないじゃないですか。だから僕がその芽を摘んじゃいけないと思って、絶対に。彼のプランを尊重したんですけど、もしうまくいかなかったら、『立ち位置に気を付けよう。そっちに切り替えて』と」と、プランBも授けていた。
近い距離での打ち合いで上回ること。それは、平本が打撃でペースを握りつつ、自らもテイクダウンを仕掛けること、何より相手のテイクダウンを防ぐことが必須条件だった。しかし、平本はフレームの大きな鈴木に四つ組みに持ち込まれ、投げで下になり、立ち際に打撃を被弾。立っても押し込まれる場面が多かった。
石渡は「組まれたときには凌ぐ。でも(中盤以降は)相手が(打撃を)凌いでいる状態だったから、コーナーを背に止まってしまったのは良くなかった」と、平本が後手に回った場面を振り返る。
組み際でのリストコントロールは、弥益ドミネーター聡志が萩原京平戦で三角絞めを極める布石に使った通り有効で、鈴木も平本の手首を背中ごしに縛って、立ち際に打撃を当てている。
判定は3-0で鈴木が勝利。試合後、リング上で「また強くなったらやろう」と鈴木に伝えた平本は、バックステージでは、「負けました。けど負けてないです。またすぐやります。やっぱ、……死ぬ気でやってきたんで、後悔ないです。もう1回這い上がります。絶対頑張る」と、諦めないことを「負けていない」と表現した。
石渡塾長も平本に「最後に一番になるんだ。今じゃなかったってだけで」と語り、今後の成長に期待する。
「彼の知らないところに僕は踏み込まないようにしていたんで、これで踏み込めるんですよ、やっと。ついてきてくれるなら絶対に強くします。絶対に最後に一番になる。それは今も変わらない」と、平本のポテンシャルを認めた上で、新たな関係で取り組めると語る。
一方の平本も「辞められないっす、格闘技は」とつぶやくと、「どんどん試合をして、必ずRIZINの頂点獲ります。だからすぐに復活します。やるしかないです」と、試合経験を重ねていくことを語っている。