新型コロナウイルスと戦火のファイター
解決策を模索している各格闘技団体だが、選手の渡航には別の問題も発生している。
欧州各国がロシアの航空機に対して制裁を科したことに対し、ロシアが欧州の航空会社の「領空飛行禁止」で対抗しているため、欧州とアジアを結ぶ便に大きな影響が出ている。
欧州の航空会社はロシア上空を避けるため、アジアと行き来する便で南回りの代替航路を取り始めており、選手によっては、出入国、そして帰国出来ない選手も現れている。
23日にロシアのエカテリンブルクで行われた「RCC: Intro 19」に出場した元BRAVE CF王者のルアン・サンチアゴ(ブラジル)とヘッドコーチのクリスチアーノ・マルセロは、一部空港が閉鎖されていることをInstagramで語っていたが、ようやく帰国便を得たことを報告している。
また同大会に出場したホセ・マルコスはモスクワに戻ったが、ポーランドが新型コロナウイルスの流行により、ブラジル人の入国に制限があるため、その後の乗り継ぎ便から引き上げられ、足止めを食らったことが「MMA Fighting」の取材で明らかになっている。
「AMC Fight Nights 109」に出場した「TUFブラジル2」出身のマーシオ・サントスは、ロシアとウクライナの国境近くに位置するソチでの大会後、ホテルから合宿を続けてきたダゲスタンに戻りたいと記し、同じブラジルのブレンドソン・ヒベイロとヴィニシウス・クルスは、試合数時間後にソチの空港が閉鎖される前に街を出て、モスクワまではたどり着いている。
23日の夜、ロシアで行われた素手のボクシングの試合に負けた元UFCのファビオ・マルドナドは、モスクワからブラジルに戻る飛行機に乗ることができたことがSNSで確認された。
今後、選手・団体たちは新型コロナウイルスのみならず、ロシアのウクライナ侵攻の影響にも悩まされることになりそうだ。
多くのファイターたちが不安定な状況のなか、2月25日には、シンガポールでONE Championshipが大会を開催。バンタム級の新星で母国ブラジルから中国、タイへと移り住み、世界各国のファイターたちと交流してきたファブリシオ・アンドラージは、試合後、「僕の心は、今、ウクライナにいる皆さんと一緒にあります。何年も前から現地で起きてしまっている悲しいこと、こんなことは起きてはいけないです。僕たちに戦争はいりません、必要なのは平和と愛、それだけです」と、サークルケージの中で語っている。