MMA
インタビュー

【DEEP】小見川道大、引退。「試合は自分自身が映し出される鏡」「嘉納治五郎先生もやりたかったこと、MMAのなかの柔道“NEO JUDO”で戦ってきた」

2022/02/27 11:02

ほんとうに格闘技、最高でした(小見川)

──すべて戦い終えていまの気持ちは?

「これが格闘技なんだな、と。これが総合格闘技、MMA」

──前に出続けた魂のこもった試合でした。

「これが今の小見川道大だっただなと。この試合に向けて、本気で勝つ気で最高の調整して臨んだんですけど、結果負けましたけど。本当に中村大介選手、ほんとうに十字は分かっていたですけどけどかかってしまって。対策もしていて、ああいう状態だったんで、本当に強かった。根気強いなと。何度も何度も分かっていたのに、防ぎ切れると思ったんですけど、素晴らしい腕十字です」

──小見川選手も右を当て、払い腰でテイクダウンも奪いました。持ち味は出せたのではないでしょうか。

「そうですね……僕のなかでは、やっぱ試合前は“もっと出せる、絶対勝てる”って気持ちで臨んだけど、試合はああいう結果だった。これが今の自分の実績であり実力であり、本当に……悔いないです」

──フェザー級の上位にも勝っている中村大介選手を相手に、一進一退の場面も見せ、強さをのこしたまま引退というのは?

「試合がすべてなんで。本当に、試合って子供たちにも柔道教えてる身なんで言っているのは、『試合っていうのは自分の鏡。自分自身がしっかり映し出される鏡』だと。今日、僕自分の姿はしっかりと見えていた。ほんとうに勝つ気で臨んだんですけど。“あぁ、これが今の自分の現状なんだ”と。ほんとにぎりぎりでやったつもりだけど、でも勝てなかった。これが本当に自分の現状。気持ちの面も含めてですね」

──MMA人生振り返って、印象深いのは?

「もう何がって言うか全部、本当に一つひとつやっぱり思い出すと全部思い出深いですよね。やっぱり身を削って1戦1戦やってきたんで。本当にだから、勝てなかった自分が勝てるようになったり、強い相手とたくさんできたことがこれからの人生の糧になっていくと思います」

──柔道からMMAに転向した選手は多いですが、日本柔道を掲げてMMAをやってきた有数の選手だと思います。MMAはどんなものでしたか。

「僕の中で、もともと柔道を長年やってきた自分が日本でも世界でも戦ってきて、やっぱり自分の中で柔道だけじゃなくて、柔道以外の異種格闘技において、ほんとうに自分の柔道がどれくらい強いのか、また、自分の柔道をMMAで開拓しながら、本当に楽しんでやってこれて、MMAってやっぱりMMAのなかに柔道で戦ってきた。それを“NEO JUDO”と抱げてますけど、本当に自分を確立できたMMAだったと思います。“自分を確立できた”というのは“自分の柔道を確立できた”──異種格闘技の中で確立できた。これは嘉納治五郎先生もやりたかったことだと思うし、ブラジリアン柔術とかも小見川道場で採り入れてますけど、それも嘉納柔術、講道館柔道から行ったものなので。異種格闘技のなかで自分の柔道を拡げられたのはこれからの人生の糧になると思います」

──あらためてMMAキャリアを振り返っていかがですか。

「やりきりました。(これをやっておけばということは?)今はもう無いです(涙を流しながら)これが小見川道大で、最後、絶対勝てると臨んで、やっぱり向かい合ったら怖い自分もいたし、それでもやっぱり行かなきゃいけない」

──MMAをやっていて一番辛かったことは何ですか?

「UFCで……負け続けたことですね。UFCが終わって……本当に格闘技最高でした。これからの人生に生かしていきます。ありがとうございました」

──子供たちから花束もありました。どんな柔道家を育てていきたいですか。

「ケージの中でも言いましけど、柔道は受け身から始まる。僕も負け続けたけど立ち上がったりしてきたので、社会のなかでも、立派にやっていける人間を育てていきたいですね。ほんとうにみんな幸せになれるような人生を歩んでいってほしいなと思います」

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