相性がいいと思っているけど、過信はしていない
クレベルがこの10年間で敗れた相手は2選手のみ。ともにKSWでの試合で、現在UFCで3連勝中のマテウス・ガムロとアルトゥル・ソウィンスキに判定負けしている。それは、自身と同等にグラップリング力があり、特にサブミッションの防御が強くて、打撃が強い選手に敗れていることを示す。
その意味で、打撃面に力を入れ、寝技を得意とする佐々木にとって、クレベルは相性がいい相手との見方もあるが、佐々木は「表面的に見たら相性はいいんじゃないかなと思っていますけど、負けている試合を見ても、すごく打撃がきれいだったりとか、僕とはまたタイプが違うので、一回触ってみないと何とも言えないというところはありますね。自分も試合を結構やってきていますが、思っていたのと違うとなると焦るじゃないですか。だから、僕のなかでは相性がいいなと思っていますが、過信はしていないです。触るまで分からない」と、手が合うことは認めつつも、想定外のことが起きることも考えていることを明かした。
今回は「TRIGGER」での参戦。2018年11月にアルゼンチン・ブエノスアイレスで戦ったUFC以来のケージでの試合となる。
さらに、ともに静岡を地元とするが、今回の会場は静岡県の西よりの袋井市で、沼津出身の佐々木にとっては単純にホームといい難い状況でもある。これまでサンパウロ、ベルリン、マカオ、ロッテルダム、ニューヨーク、シンガポールと世界各地のアウェイで戦ってきた佐々木は、たとえ会場の雰囲気がアウェイであろうと、ケージでの戦いが自身にとって有利になると考えている。
「ケージの方がいいんじゃないですか、やっぱり(笑)。僕の中では全部、ケージでもいいくらい。嬉しいですね。クレベル選手は周りにブラジルの方も多いですし、応援団も来るだろうし、金網で、ちょっとUFCを思い出すような感じになるんじゃないかなと思っていますが、僕も飛行機乗り継いで行きましたから、アウェイ大得意ですよ」と、ボンサイ柔術のホームでも、ケージグラップリングで自身に分があるとした。
「入場時から映像があり、それも含めてひとつの作品なので、出てくるアーティストさんとかもしっかり目に焼き付けてほしいです。試合に出る選手が勝ってぶち上がるのは確実なんで、勝ちまでのプロセス、一つひとつを大事に見てもらえれば」と、佐々木天狗は、入場から見どころを語っている。
静岡から頭角を現した2人のグラップラー。2011年のグラップリング大会「DEEP X」では、佐々木が接戦を制した。ともに19歳だった。世界を目指し、佐々木はオクタゴンで、クレベルは東欧で飢えた“ライオン”たちを相手に戦ってきた。そして32歳となったいま、両者はMMAで、静岡で対戦する。
2022年最初のRIZINのメインイベントで、最後にケージに立っているのは佐々木か、クレベルか。