「RIZIN成長戦略2022」は3本柱で全国ツアー、連続開催も
【写真】琉球ゴールデンキングスのホームアリーナでもある沖縄アリーナで「RIZIN.32」のメインを戦ったRENAと山本美憂(C)RIZIN FF
官民戦略プロジェクトとして「スポーツの成長産業化」が位置づけられたのが2016年。
2019年には「成長戦略フォローアップ2019」が閣議決定され、「全国のスタジアム・アリーナについて、多様な世代が集う交流拠点として、2017年から2025年までに20拠点を実現する」ことが目標として掲げられている。
新たなスタジアム・アリーナの建設、既存体育館のアリーナへの転換が図られるなか、B1リーグ等のスポーツクラブもライセンスの取得要件として「客席5千席以上のホームアリーナの施設」を設けた。
旧来の「体育施設」の考え方で、ビッグイベント等に合わせてハコものを作ることで“負の遺産”となってしまわないように、官も民も含め、それぞれの施設は持続可能な運営方法を模索している。東京オリンピック・パラリンピックのために都が新しく整備した競技会場も今後、「後利用」として多目的スポーツ施設として開業していくことになる。
近年、オープンした主なアリーナと開催された格闘技大会、さらに今後オープン予定の会場を下記に挙げてみよう。
◆2017年
高崎アリーナ(群馬県高崎市)
武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都武蔵野市)
※極真会館・新極真が大会開催
◆2020年
ぴあアリーナMM(神奈川横浜市西区みなとみらい)
※RIZIN・RISEが大会開催
横浜武道館(神奈川県横浜市中区)
※K-1が大会開催
◆2021年
東京ガーデンシアター(東京都江東区有明)
※K-1が大会開催
沖縄アリーナ(沖縄県沖縄市諸見里コザ運動公園)
※RIZINが大会開催
フラット八戸(青森県八戸市)
※アイスリンクorウッドフロア&観客席
◆2022年(~2023年)
有明アリーナ(東京都江東区有明)
※東京五輪後の「後利用」のための工事中
◆2023年
Kアリーナ横浜(神奈川横浜市西区みなとみらい)
※基本は音楽専用アリーナ
太田アリーナ(群馬県太田市)
※群馬クレインサンダーズのホーム
◆2024年
神戸アリーナ(兵庫県神戸市中央区新港町)
※神戸ウォーターフロントの民設民営アリーナ
横浜ユナイテッドアリーナ(神奈川県横浜市中区)
※旧“文体”。20年に横浜武道館が先に隣接
ららアリーナ東京ベイ(千葉県船橋市)
※収容客数1万人規模、千葉ジェッツふなばしのホーム
SAGAアリーナ
※24年秋に国民スポーツ大会(国体)
新香川県立体育館(香川県高松市サンポート)
※メインアリーナは中四国最大級1万人規模
◆2025年
愛知県新体育館(愛知県名古屋市北区名城)
※ドルフィンズアリーナの代替施設。名古屋城二之丸から名城公園北園に移転。隈研吾設計
◆2026年
熊本新アリーナ(※建設地選定中)
※熊本ヴォルターズのホーム
◆2027年~2028年
鹿児島県新総合体育館(鹿児島市本港区ドルフィンポート跡地)
2010年代、政府の後押しもあり「スポーツの成長産業化」の旗印のもと、公共施設として建築・運営されてきたアリーナ事業に民間企業が参入し始めた。そこには、ライブ・コンサート市場の拡大もあった。
しかし、2019年に新型コロナウイルス感染症が発生。世界でパンデミックが起こり、人が集まり声を上げることが出来ないなど、様々な制約も設けられるなか、スポーツの存在価値や、ハコモノ施設の持続可能性も問われている。
RIZINも開催を目指す、東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなった国立競技場は、「後利用」を巡り、当初の陸上トラック撤去、球技専用化が見送り。約100億円をかけて整備される計画だった愛知県豊橋市新アリーナは、その建設の是非の議論が続いている。また、宮崎県では多目的アリーナ整備構想について新宮崎市長が中止する考えを示すなど、維持費もかさむなか、いかに人を集め黒字化するかは課題となっている。