2022年のシリーズ開幕戦となる1月22日(土)東京・後楽園ホール『KNOCK OUT 2022 vol.1』にて、初代KNOCK OUT-BLACK女子ミニマム級王座決定戦3分3R延長1Rで、ぱんちゃん璃奈(STRUGGLE)と対戦する喜多村美紀(テツジム)。これまでタイトル獲得経験のない喜多村は、無敗のぱんちゃんとの対戦、初のベルト獲得に燃えている。そして彼女にはもう一つ、どうしても勝ちたい理由があるという。それは一体……?
ここでチャンピオンになったら最高の会長孝行ができる
──今回、ぱんちゃん璃奈戦のオファーが来た時にはどう思われましたか?
「一度、去年の2月に試合の話があったんですけど、それが流れてしまったので、今回は『話は来たけど、ぱんちゃん選手は受けてくれるのかなあ?』という気持ちでした。それもあって、実際に決定した時はうれしかったです。しかも王座決定戦ということだったので、チャンスが巡ってきた! と思って、さらにうれしかったです」
──昨年、『KNOCK OUT』で2試合されていて、次で3戦連続『KNOCK OUT』への出場になります。それが王座決定戦になったわけですね。
「8月のERIKO戦では負けてしまっていたので、今後オファーがどうなるかなと思っていたので、私を選んでくださったことにも『KNOCK OUT』さんには感謝しています」
──6月の梅尾メイ戦は50.8kg契約、8月のERIKO戦は女子ライトフライ級(-49kg)でした。今回は一つ下のミニマム級(-47.5kg)になりますが、そこについては?
「自分のベスト体重は49kgかなと思っているんですが、今回の47.5kgは高校生の時以来の体重で、そんな減量は初めてだったんです。でもチャンスを掴みたいので、体重どうこう言ってられないし、そこは気合いで落とそうと思って受けました。今のところ、順調に落とせています」
──一方でぱんちゃん選手はこれまでアトム級(-46kg)の王者だったので、もともとは2階級違っていたことになります。あまり対戦相手としては意識していなかったのでは?
「そうですね。ぱんちゃん選手は『他団体の王者とやっていきたい』と発言していましたが、私はチャンピオンでも何でもないし、やることはないかなと思ってました。だから対戦を想像したりということもなかったですね」
──そこから対戦決定となって、現時点での印象はいかがですか?
「YouTubeの試合動画などを見て対策させてもらってるんですが、対戦する選手によって戦い方を変えていらっしゃるので、動画通りの動きをされることはないんだろうなとは思っています。でも、試合が決まった時にガルーダ・テツ会長が3つぐらい作戦を出してくれて、『これで行くぞ!』と言ってくれたので、その通りやれば勝てると自信を持って練習しています」
──もちろんその作戦は言えないとは思いますが(笑)、喜多村選手というと前進力のイメージがあります。それを生かした戦い方は変わりませんか?
「最近は、フットワークで回る戦い方が多くなっていたんですけど、それだと印象が悪くて、相手も突進力がある選手だったら自分が下がらされているように見えるんじゃないかというアドバイスも周りからもらったりしたのもあって、自分から圧をかけられる戦い方にまた変えていけたらとは思っています」
──昨年は喜多村選手、ぱんちゃん選手ともsasori選手と対戦しました。ぱんちゃんvs sasori戦は参考になる部分はありますか?
「sasoriさんはサウスポーで、戦法も違うんですけど、sasoriさんの左ストレートが入った時に局面がガラッと変わったので、そういう突進力とか戦い方は参考にさせてもらっています」
──ぱんちゃん選手はここまで無敗で、『KNOCK OUT』を代表する選手の一人です。そういう相手ということについてはどうですか?
「ここで私がぱんちゃん選手に初黒星をつけたらオイシイなと思っています。ぱんちゃん選手がメディア出演したりYouTubeでの活動をしたりして女子キックを盛り上げようとしてくれていることで、今回の対戦にも注目をしてもらえるので、そこはありがたいなと思っています」
──ぱんちゃん選手に初黒星をつけるために、一番必要なことは何でしょう?
「やっぱり最後は気持ちですね。泥試合になっても前に前に行って、僅差の判定になるような展開でも、私にポイントがつくようにするには、どれだけ気持ちで押せたかが大事だと思うので」
──テツ会長から作戦を授かったというお話でしたが、それ以外で会長から言われていることは?
「打ち合いの時に後ろ重心になるのと、スピードが遅いというのはよく言われるので、気をつけています」
──すみません、もっと気合い的なことになるのかと勝手に思ってました(笑)。
「そこは言われないですね。大丈夫と思ってもらっているのかは分からないですけど、自分でも精神面では“テツイズム”でやっているつもりです。練習でしんどい時に手を抜くか一生懸命やるかは自分の問題で、外には見えない部分ですしね」
──“テツイズム”は喜多村選手の試合から十分感じられるように見えるので、そこはきっと合格なんでしょうね。会長の熱い指示は試合中には聞こえていますか?
「勝った試合の時は聞こえていて会長の指示通りに動いた時なんですけど、負けた試合では会長の声が聞こえていないんですよ。だから、冷静に会長の声が聞こえているというのが勝因の一つなんだなと、改めて思いました」
──そういう部分も含めて、会長は喜多村選手にとってどういう存在ですか?
「最高の指導者でもあり、父親代わりでもある存在です。来月、テツジムが東京に進出して、会長も東京に行かれるんです。去年8月のERIKO戦以来、試合が決まらなかったので、『もう会長と一緒に練習できる試合はないのかな』と思っていたんですけど、今回、会長が東京に行く前ギリギリにこの試合が決まって、しかもタイトルマッチなので、ここでチャンピオンになったら最高の会長孝行ができるなと思って。その意味でもオファーをいただけたことがありがたいと思っています」
──今回勝てば、初代KNOCK OUTミニマム級王者ということになります。改めて王座、ベルトへの思いはいかがですか?
「私は今までベルトを獲ったことがなくて、ずっとほしいと思っていたんですね。ぱんちゃん選手に勝つというだけでもすごいことなのに、おまけにベルトまでもらえるなんて、最高の状況になると思うので、ぜひベルトは獲りたいです」
──では最後に、今回の試合で自分のどこに一番注目してほしいですか?
「たとえ劣勢だとしても、最後まで逆転勝利を信じて粘り強く戦う姿を見てほしいです」
──その前に劣勢になりたくないのでは?(笑)
「そうですね。1Rからぱんちゃん選手に『あれ? 思い通りにいかないな……』と思わせるような動きをして、飛ばしていきたいです」