◆「PANCRASE 305」(※kgは前日計量結果)
2019年5月26日(日)スタジオコースト
▼第10試合 メインイベント フェザー級K.O.P.T. 5分5R
×ナザレノ・マレガリエ(65.8kg/第7代K.O.P/TEAM TAVARES/29勝5敗1分)
[判定0-3]※46-49,47-48,47-48
○ISAO(65.7kg/暫定王者/NEVER QUIT/23勝5敗)
※ISAOが第8代フェザー級王者に。
第7代フェザー級キング・オブ・パンクラシストのナザレノ・マレガリエは、TUFブラジル4 セミファイナリストでUFC1戦1敗、Bellator1勝3敗、PANCRASEで3勝無敗、直近ではPFLで1勝1敗1分。5月26日大会でPANCRASEにカムバックする。
4歳で柔道、7歳でテコンドーを始め、1999年、2000年にはアルゼンチン柔道選手権で優勝しているマレガリエは現在32歳。2001年ブラジルに移住後ブラジリアン柔術を始め、2003年、2004年にブラジリアン柔術南米選手権優勝。黒帯獲得後チアゴ・タバレスの元でMMAトレーニングを開始し、2007年8月にプロデビューした。
そのフィジカルと母国で柔道強化選手だったポテンシャルを活かし、PANCRASEでも髙谷裕之、ガイ・デルモに判定勝利、17年3月には田村一聖を1R、リアネイキドチョークに極め、王座を獲得している。
調印式後の会見でマレガリエは「自分が正王者。これまでの日本の試合ではすべて私が勝ってきた。対戦相手のISAOはコンプリートでとても良いファイターだが、しっかり勝って愛着のあるこのベルトをブラジルに持ち帰る」とベルトを前に語った。
対する元ライト級キング・オブ・パンクラシストのISAOは、斎藤裕、高谷裕之ら実力者に勝利するも2017年8月にカイル・アグオンにスプリット判定負け。2017年9月に所属ジムを坂口道場一族から安藤晃司が代表を務めるNEVER QUITに移し、17年12月に粕谷優介に判定勝ち。2018年4月の「PANCRASE 292」で松嶋こよみとのフェザー級暫定王者決定戦でグラウンド状態での顔面へのヒザ蹴りを受け、反則勝ちで暫定王者となるも、長期欠場していた。今回が1年1カ月ぶりの復帰戦となる。
調印式の会見でISAOは「コンタクト練習をするまで3、4カ月かかったので、すぐに試合をすることはできなかったのですが、徐々に仕上げて今回の試合に至りました」と復帰までの道のりを語ると、「周りが活躍していくなかで自分は試合ができなくて、モヤモヤな気持ちがやっぱり溜まっていたので、今回はその気持ちを爆発させたいと思います」と意気込みを語っている。
2017年8月に一度は対戦予定(※マレガリエが左ヒザ負傷で中止)だったマレガリエについては、「フィニッシュに持っていくまでの速さがあり、計算してポイントゲームもできる選手。削りや細かい技術もすごく警戒している」と印象を語りながらも、「PFLでの試合もいくつか見てイメージしてきた。すべて(の局面で)負けていないと思います」と王座統一戦への自信を語った。
「王者は一人だけでいい」と銘打たれた王座統一戦。試合後にベルトを掲げるのはマレガリエか、ISAOか。
1R、オーソドックス構えのマレガリエにサウスポー構えのISAO。遠い間合いからスタート。右ハイで牽制するマレガリエ。ISAOは左インロー! さらにもう1発。詰めるマレガリエだが、ISAOはサークリング。マレガリエの右ローにすぐにISAOも左ローを返す。右ミドルはマレガリエ。しっかり距離を保つISAOは正面に立たずフェイントをかけて左の蹴りを狙う。ワンツーを伸ばしてから左インローでマレガリエのバランスを崩すISAO! 互いに深追いはしない5Rの王座戦の初回はジャッジ2者がISAO10-9、1者がマレガリエ10-9で支持した。
2R、左のインローを当てるISAO。マレガリエも右から左の強打を振るがISAOは右にかわす。マレガリエの左から右フックをブロックするISAO。マレガリエは右ミドルをヒット。右ストレートの打ち終わりのISAOの左はかわす。右で詰めるマレガリエ。詰めるISAOはまたも左インローを当てるがそこを詰めるマレガリエは右アッパーを突く。近距離の打ち合いは危険なマレガリエ。さらに金網に詰まると右ストレートが火を噴く。クリーンヒットはもらわないISAOは、長い右アッパー。ジャッジ2者がマレガリエ10-9、1者がISAO10-9でまたも割れるラウンドに。
3R、頭を下げて接近戦で左右フック、右アッパーを打つマレガリエ。さばくISAOは左ミドル! さらに左のボディストレート、左インロー! マレガリエはクリンチボクシングに持ち込む。金網まで押し込み離れるISAO。左インローにマレガリエはフックを振るが届かず。左で差して押し込むと佐藤将光の「腹を出せ」の声にスペースを作らず離れず。再びのクリンチはブレーク。マレガリエのワンツーを頭を下げてかわすISAO。自らも左ストレートを差して徐々に圧力を増していく。ジャッジは2者マレガリエ10-9、1者ISAO10-9。
4R、右ジャブを突き、左インローはISAO。圧力かけ右で差して右ヒザまで突く。さらに右ハイもつかむマレガリエがテイクダウン。すぐに立つISAOはマレガリエのクリンチには捕まらず。詰めるのはISAO。組み際、離れ際にマレガリエは左フックを放つ! 左三日月蹴りはISAO。さらに左ストレート! 左ボディストレートも。マレガリエのワンツーを潜り、ダブルレッグもここはがぶるマレガリエ。左インローが当たるISAO。右で差して互いに離れ際に打撃を狙う。4R終了間際、近づいたマレガリエにISAOは左ミドルをカウンターで当てる。3者ISAO10-9で支持。
5R、最終R。左インローから入るISAOは前に出てきたマレガリエにダブルレッグテイクダウン。しかしすぐに立つマレガリエが押し込むと投げ。すぐに立つISAOを抑え込むことはできない。左のダブルをヒットさせるISAO! さらに左インロー! ここで押し込んで組みを混ぜてマレガリエを削っていく。離れても追うISAOは左ミドルを当て、すぐに左インロー! バランスを崩すマレガリエ。追うマレガリエはついにダブルレッグへ。ここで外がけから足関節の勝負へ。しかし回転して抜いたISAOは起き上がり際のスクランブルでボディロック! 離れて追うマレガリエだがブザーにISAOはガッツポーズ。マレガリエは頭を抱えた。
判定は3-0(49-46,48-47,48-47)で後半を明確に制したISAOが勝利。第8代フェザー級王者に輝いた。
王座を統一したISAOはケージのなかで、「すごい強い選手でどんな展開になっても、長期戦でも短期戦でもできるように、かたよらず準備をしてきました。(今後については)まだ終わったばかりでじっくりこれから考えます。去年の4月に手術をする大きな怪我をして、ケージに戻って来れるか不安でしたが……(一瞬、涙声に)チームや周囲のみんなのお陰で帰って来れました。また強くなった姿で戻ってきます。また観に来てください!」と挨拶した。
▼第9試合 セミファイナルフライ級 5分3R
○小川 徹(56.95kg/TRIBE TOKYO M.M.A/4位/2015年NBTスーパーフライ級優勝)11勝3敗
[判定3-0]※30-27×3
×マモル(56.7kg/シューティングジム横浜/5位/第4代フライ級K.O.P.)31勝12敗5分
1R、遠間からサウスポー構えの小川、オーソドックス構えのマモル。ワンツーで出入りの小川。マモルは右ローで牽制。小川はワンツーを喉元にかする。右ローも突きながら出入りの小川。追うマモルは走って右ミドルをヒット! しかし、中央を取り返した小川は金網に詰め、左ストレートをのどもとに突くがマモルもパーリングでかわす。3者小川10-9。
2R、入りのフェイントをかけながら出入りのスピード勝負の小川。左足で外取るマモルは詰めると組みに行くが、切る小川は左のボディストレートも突く。前に出るマモルに下がりながら左を当てる小川。小川の入りに左足を上げてブロックするマモルだが、小川は左ボディストレート。マモルの蹴りが届く距離に入らない。追うマモルに回る小川。マモルは右ローも浅い。左前蹴りを突き離れる小川。マモルの右の飛び込みは右に回ってかわす。飛び込んでのバックフィストも見せる小川。追うマモルは右ローは当てるも、左フックは届かない。3者小川10-9。
3R、右ジャブ突き打ち返しはもらわない小川。徹底して足を使い距離を取る。前手を上下に突く小川。3連打で前に出るマモルだが、かわす小川は左ハイも。踏み込みの鋭さが落ちない小川。マモルの蹴り返しはもらわず。詰めるマモルは右ミドル。残り1分で距離を詰めた小川はワンツーから左! その突っ込みに左を差したマモルはヒジを狙いたいが、離れる小川はさらにボディ打ち、ヒザ蹴りと畳みかけ、ブザーに両手を挙げた。