得意の左ボディをめり込ませる国崇。大ピンチをしのいでの逆転TKO勝ちに成功した
NJKF拳之会「NJKF 2021 west 4th」
2021年11月21日(日)岡山・倉敷市マービーふれあいセンター
▼メインイベント 交流戦 57kg契約 3分5R(ISKAムエタイルール)
○国崇(NJKF拳之会/WKAムエタイ世界フェザー級王者)
TKO 4R 0分58秒
×No-Ri-(ワイルドシーサーコザ/TENKAICHI元バンタム級王者)
拳之会の主催興行はこれまで年1回、春頃に行われるのが通例で、今年も4月に岡山市で開催されているが、今回は2018年の西日本豪雨で最も被害が大きかった真備町の復興支援を名目として、今年2度目の挙行となった。会場のマービーふれあいセンターは水害時に浸水して使用不能となっていたが、リニューアルされて今年6月に再開。その記念として同月には碁聖戦なども行われ、キックボクシングの大会はこれが初となる。大会中にはNJKF・坂上顕二理事長と拳之会選手会を代表して国崇から、真備町出身の倉敷市議会議員・原田龍五氏と守屋弘志氏にそれぞれ支援金が贈られた。
メインを飾ったのは、4月大会で100戦記念試合を戦った国崇。その後、9月の後楽園大会で前田浩喜と12年ぶりの対戦を経て、これが102戦目となる。対戦相手は沖縄の元TENKAICHI王者で、5月にはKNOCK OUTにも出場したNo-Ri-。国崇は4月の翔平に続いて地元では2戦連続で沖縄勢を迎え撃つこととなった。
1R序盤から前に出て圧力をかける国崇だが、手数は少ない。セコンドも「ジャブ!」と声をかけるが、好調時の特徴であるジャブは少なく、ローが出る程度。入場では恒例のダンスで場内を沸かせたNo-Ri-は、足を使って国崇の圧力を回避しようとする一方、ミドルキックや前蹴りからパンチを出そうとしていく。中盤、国崇は左ボディをヒットし、終盤にはラッシュをかける。
2Rも国崇が圧力をかける場面が続くが、やはり手数は少なめ。No-Ri-はバックブロー、バックキックなど得意の回転系も駆使し、ハイキックも見せる。国崇はここでも左ボディを繰り出すが、追い詰めるには至らず。
3Rには一気に試合が動いた。先に攻勢を握ったのはNo-Ri-で、バックブローをヒットすると国崇の動きが一瞬止まる。さらにコーナー付近では左をヒットし、ダウンを確信して手を上げるも、これはダウンにはならず。国崇が反撃に出ようとするところに、さらにカウンターの右ハイをヒットすると、国崇は明らかに効いた様子。
過去13戦続いた国崇の「地元全勝」がついに途切れるかとも危惧されたが、ここから国崇が怒濤の反撃。まず右クロスでNo-Ri-をダウンさせると、左ボディでダウンを重ね、終了間際には前蹴りで3つ目のダウンを奪う。この試合はISKAムエタイルールで行われておりフリーノックダウンのため、試合は続行。
4Rも国崇の攻撃が続く。前蹴りで通算4度目のダウンを奪うと、立ち上がったNo-Ri-は声を上げて気合いを入れる。だが国崇は右ストレートを浴びせて倒すと、レフェリーがストップ。ピンチを脱しての逆転勝利に、場内からは大歓声が沸く中、国崇は苦笑いと安堵が混じったような表情を見せた。
リング上でのマイクで国崇は「対戦相手のNo-Ri-選手が本当に強くて、やられるかなと思ったんですが、皆さんの応援のおかげで何とか勝つことができました。本当に皆さんのおかげでキックボクシングが続けていけるんだなと思いました」と述べ、真備町で初開催となった大会を締めた。
試合後、控室では「試合をあまり覚えてないんです。ハイをもらったのは何となく記憶にあるんですが……バックブローももらったんですか?」と、逆に確認。「序盤は距離感が遠くてうかつに入ったらまずいかなと思って、手が出ませんでした。自分でも固いなとは思っていて、ジャブも出ないなと。相手が下がったらリズムを変えるというのがテーマだったんですけど、それもできなくて。3Rのハイはカツーン!ともらって、効きました。倒れなくてあんなに効いたのは初めてですね」と劣勢の自分を振り返る。
そこからの逆転劇には「会長にはまた怒られると思いますけど、勝ちで1年を締めくくれてよかったかなと。でも、キックボクシングはまだまだ奥が深いですねえ……」と、ここでも安堵の表情。最後は「来年も変わらずやっていきたいですね」と、いつもの笑顔に戻った。