ウェルター級暫定王者決定戦に臨む、左から菊入正行(NEVER QUIT)と村山暁洋(GUTSMAN)(C)ゴング格闘技
2021年10月17日(日)東京新木場・USEN STUDIO COASTで開催される「PANCRASE 324」でウェルター級暫定王者決定戦に臨む菊入正行(NEVER QUIT/76.5kg)と村山暁洋(GUTSMAN/76.85kg)が16日の計量後、調印式。囲み取材で直前の意気込みを語った。
第9試合から第11試合のメインイベントまでの3試合にタイトルマッチが並ぶ今大会。フライ級暫定王座戦の小川徹vs.上田将竜、女子フライ級暫定王者決定戦のNORI vs.端貴代と並ぶのが、ウェルター級暫定王者決定戦の菊入正行vs.村山暁洋の一戦だ。
菊入正行と村山暁洋は、2020年12月大会以来の再戦。初戦はジャブ&ローで前足を左右から突く菊入に対し、元王者の村山が得意の大内刈・大外刈の柔道技で投げてパウンド。立ち上がった菊入だが終盤も得意の打撃を封じ込まれ、村山が判定勝利している。
2016年に同級王座を戴冠している村山は、調印式で「今回、タイトルマッチを菊入選手とやらせていただくことになりました。菊入選手は自分が負けている三浦(広光)選手に良い勝ち方をしている選手です。勝ってベルトを獲ります」と意気込み。
対する菊入も「明日はリベンジだと思っています。立っても寝ても、自分の時間を作ってやろうと思っています。全力でブッ倒しにいきます。明日はよろしくお願いします」と再戦での勝利を誓った。
第4代修斗環太平洋ミドル級王者の村山は、2016年3月に鈴木槙吾にTKO勝ちで、PANCRASEウェルター級王座戴冠も同年10月に、三浦広光に判定負けで防衛陥落した。その後、現正規王者でONE参戦中の手塚裕之、J.J.アンブローズに判定負け。2020年2月の近藤有己戦の判定勝利で白星を掴むと、12月の前戦で2連勝中だった菊入正行を完封。2連勝をマークし、ウェルター級1位にランキングされていた。
前戦から8カ月、その間の進化を村山は、「全体的に強くなっているのは間違いないです。GUTSMANで桜田直樹先生、CAVEで石渡伸太郎塾長から細かく指導をしていただいて、それを自分の(暁)道場でも反復練習し、多くはないですけど、いくつか新しい武器も用意してきました。その武器を見せられるように戦います」と語る。
対する菊入は、キックボクシングからMMAに転向。2019年4月に粕谷優介にTKO負けを喫したものの、7月に岸本泰昭に判定ドロー後、2020年は7月に中村勇太を2R TKO、9月に高木健太も判定で下すなど、確実にランキングの階段を昇っていたが、2020年12月に村山に判定負け。2021年6月大会で再起を賭けて第10代王者・三浦広光と対戦。かつて村山に完封勝利している三浦に対し、左三日月蹴りを入れて、2R TKO勝利。今回の再戦に繋げた。
三浦戦前は、「同じような柔道の選手とやって、投げとボクシングで戦う三浦選手に、自分には蹴りがあるので三日月蹴りが自然に出るように練習してきました」という菊入。
村山との前戦から積み上げてきたことについて、「全部伸びましたけど、一番変わったのは寝技。前回、テイクダウンで漬けられて負けたので、そこをさせないような練習を安藤晃司代表のもとNEVER QUITで磨いてきました。(村山と)同じような柔道&打撃のバックボーンを持つ阿部大治選手とも練習してきましたし、ケージレスリングもやりこんできたので力でも負けませんし、もし投げられても何回でも立ってやろうかなと」と、強化してきた組み技・寝技を活かし、得意の打撃で仕留めるとした。
今回はタイトルマッチで5分5Rの長丁場での再戦となる。
菊入は「5分5Rは疲れるのでやりたくないです(笑)。早期決着目指して、1Rから行こうと思います」と短期決戦もありとし、村山は「5分5Rを戦い抜く練習をして来ました。相手が最初から来るなら受けますし、長くなっても不安はありません。最後の最後までやっても勝てるようにします」と死闘も辞さない構えであることを語った。
勝てば、ウェルター級の暫定王者のベルトが腰に巻かれることになる。
菊入は「ベルトを意識するより、前回負けた分を取り返すという意識が自分は強いです。村山さんに勝つことを意識してやってきました。それを越えてしっかり勝てばそのまま(ベルトも)ついてくるという気持ちです」と、リヴェンジのためにここまで漕ぎつけたといい、村山は「だいぶ昔ですけど、一度巻いたベルトなので、もちろん勝って、結果的にベルトを巻けるように、試合に臨みます」とキャリアの集大成としての戴冠を望んだ。
また、計量後に村山は、あらためて挑戦者の印象を、「菊入選手が三浦選手にああいった勝ち方が出来るのはちょっと怖いところもあったのですが、楽しみというかまたやってみたいという気持ちになるところまで仕上げることが出来ました。1年前に戦ったときより、菊入選手が全然、強くなっているのは確かですが、それ以上に自分もレベルアップしたので、お互いに成長したところを見せられたらと思います」と怖さから、戦いたいと感じるようになった手応えを語った。
試合を決めるポイントは、MMAとしてトータルで上回ることだという。
「菊入選手は打撃が得意なので、打撃でくるだろうと思います。でも、こちらはトータルで戦いたいです。打投極の回転の中で際の部分でチャンスが来ると思うので、そこに集中して戦います」
41歳での王座再挑戦だが、村山は「僕は社会に出るのが遅かったし、人より時間がかかるタイプなので、この時期に(タイトルマッチは)ちょうどいい感じです。特に年齢については感じないです。(いまがピーク?)そうですね」と、遅咲きのベテランとしていまが充実していることを語る。
練習では、GUTSMANの人脈のなかで自身を奮い立たせてきた。
「石渡塾長も一応、先輩として立ててくれながらも厳しく教えていただきありがたかったです。桜田館長は……最後の追い込みの練習の後に、ふとグータッチしてくれました。そういうタイプではない方なので、“この感じでいけ”ということだと思います。絶対にベルトを獲りたいです。前回は防衛できなかったので、防衛も含めて強いチャンピオンになりたいです」と、村山は静かに、しかし力強く語った。
正規王者の手塚裕之はONE Championshipに参戦中。今回の再戦で暫定王者のベルトを巻き、手塚と正規王者の座を賭けて戦うのは、村山か菊入か。大会の当日券は12時30分より発売。TIGET LIVEおよびABEMA PPV ONLINE LIVEでも視聴が可能だ。