MMA
インタビュー

【PANCRASE】名勝負が続くフライ級 暫定王者・小川徹「TRIBEにベルトを持ち帰る」×挑戦者・上田将竜「失うものは何もない」=10月17日(日)新木場

2021/09/28 22:09
 2021年10月17日(日)新木場USEN STUDIO COASTで開催される「PANCRASE 324」にて、「フライ級暫定王座戦」(5分5R)に臨む、暫定王者の小川徹(TRIBE TOKYO M.M.A)と、挑戦者・上田将竜(G-face TEAM緒方道場)の調印式が9月24日、都内にて行われた。  元フライ級暫定王者・翔兵が怪我を理由にベルト返上を申し出たことにより、小川徹(TRIBE TOKYO M.M.A)vs. 秋葉太樹(フリー)、上田将竜(G-face TEAM緒方道場)vs.猿飛流(リバーサルジム川口REDIPS)の4選手が暫定王座をトーナメントで争い、5月30日の大会では、Aブロックで小川が秋葉に判定3-0勝利、Bブロックで猿飛流が上田将竜をスプリット判定で破り、小川と猿飛流が決勝進出を決めていた。  しかし、猿飛流が試合中に関節を傷め、決勝に出場出来ず。Aブロック勝者の小川が「不戦勝」により暫定王者に就いた。そして、その小川に2戦2勝している上田が10月大会で、小川の暫定王座に挑戦することが決定した。  調印式後の会見冒頭で、フライ暫定王者として初防衛戦に臨む小川は、「やることは一つだけ。このベルトをしっかり防衛して、TRIBE TOKYO M.M.Aへ持ち帰ること、それだけです」と決意を語ると、挑戦権を得た上田は「5月にトーナメントで負けて一度死んだ身。失うものは何もありません。覚悟をもって、完全決着で勝ってキング・オブ・パンクラシストになりたいです」と意気込みを表した。  トーナメント決勝戦を戦うことなく暫定王者となった小川は、「正直、猿飛流選手と戦いたかったです。試合をして勝ってケージの中でベルトを巻くのが一番望んでいたことでした」と、吐露しながらも、「でも、2回勝たないと優勝できないトーナメントで生き残れたのは僕ですから、ベルトを巻いていいと思っています」と、唯一のサバイバーとしての自負はある。  ただ、ベルトを手にしたが、まだジムには持って行っていないという。 「まだベルトをケージの中で巻いていないので、ベルトをジムに持って行ってなくて、長南(亮)さんにも誰にも見せてないんです。なので、今回しっかり勝って、ケージの中でベルトを巻いていただいて、それをジムに持ち帰りたいと思います」  TRIBE TOKYO M.M.Aへベルトを、と望むのには理由がある。  9月20日の修斗では、同門の後藤丈治が石橋佳大に判定負け、石井逸人が環太平洋王座戦で安藤達也に一本負けを喫した。国内トップファイターが集う環境のなかで練習を積む2人が敗れたことで、「動揺は少しありました」という。 「“なんで?”っていうのが少しあったんですけど、でも、ただ技術とかメンタルとかそれぞれが強くてもMMAでは勝てなくて、そこの“リンク”が2人にはちょっと足りなかったのかなと。2人からも、試合が終わったあとにいろいろと良かったところ・悪かったところを聞いて、MMA選手として、ただ打投極だけじゃなくて、メンタルも練習も含めてリンクしきれていなかったので、僕はそこをしっかりリンクさせてケージに上がりたいと思います」と、気を引き締めている。  小川は、「その2戦、その前の若松佑弥vs.仙三戦(2018年2月)とか、佐藤天のタイトルマッチ(2018年7月、グライコ・フランサ戦)も、そこからTRIBEにはベルトが無いっていうのが……。でも、TRIBEってすごい良い環境で練習できているのに、選手が結果を残せていないっていうのがほんとうに悔しくて。なので、今、清水(清隆)さんを除けば、僕も上の立場としてしっかりベルトを持ち帰って、少しでも後輩たちの刺激になればなと思います。やっぱり、普通の一戦じゃなくてタイトルマッチは違うんだなっていうところを工藤(諒司、7月にSASUKEに判定負け)くんや逸人くんにも見せてもらったので、今それを踏まえてしっかり練習しています。『ベルトを巻いてもいい選手』として調整をやっていますね」と、油断なく、王座戦に臨む気持ちを語る。 [nextpage] フライ級が盛り上がっているので、キング・オブ・パンクラシストとして他団体に乗り込めたら  一方、トーナメントで猿飛流に敗れながらも王座挑戦の機会を得た上田は、「このお話をいただいた時、正直言って猿飛流選手にも小川選手にも申し訳ないという気持ちがありました」と逡巡があったことを認めながらも、「でも、PANCRASEさんから『上田選手が諦めない限りチャンスは来るんです』と言っていただいて。僕は、ずっとこのPANCRASEで戦い続けて来ました。だからこそ来たチャンスだと思いますし、ここに全てをぶつけて、もし勝つことができれば、戦う相手はもう決まっている。なので今は、小川選手とのこの一戦だけに集中して、全力で獲りに行きたいと思っています」と、迷いを振りきってベルト獲りに集中していることを語った。  これまでの両者の戦績は上田が2勝。初戦は、2017年8月に上田がスプリット判定で勝利。2戦目は2018年12月に上田が歴史に残る右ハイキックで2R KO勝利と連勝している。  これまでの2戦と比べての進化について王者は、「負けたのは4年前と3年前という結構前の話です。そこから僕はMMA自体の捉え方を改めて勉強して、3年前とは捉え方も考え方も違います。3年前の僕はずっと打撃にこだわった試合をしていました。いまはMMAをやるようにして、その中で打撃だったり、寝技だったり組み技だったり、を採り入れてやっているので、そこが以前と一番変わったところです。過去には2回、上田選手に負けていますけど、それに対して怖さもありません。僕としては“3戦目”という感覚ではなくて、今、自分ができることがあるので、それを貫けば絶対勝てると思っています」と、過去2戦の勝敗は影響しないとした。  対する上田も「1回目も2回目もしんどくて、ギリギリの戦いでした。今回は3回目になるんですけど、初めて戦う相手だと思ってしっかり準備して臨みたいと思います」と、2勝しているアドバンテージは考えないと答え、勝負のポイントを「打投極全てが要です。1回目も2回目も、どちらかというと組みにこだわっていたところがあるので、今回はしっかり打撃の面でも強化している部分がありますので、そちらも見ていただければ」と、小川同様にトータルで強さを増していると語った。  王座戦は、5分5Rのタフな戦いだ。  上田は「5R戦う覚悟でやります。ただ、その中でチャンスを掴めれば、しっかりそこで一本やKOを狙って行きたい。5Rになれば、ドロドロの展開になる可能性もあります。でも、そうなったらなった時で、しっかり盛り上がる試合をしたいと思います。そして、出来れば完全決着で勝負を決めたいと思います」とフルラウンドの死闘も視野に「完全決着」を望む。  迎え撃つ小川は、「全局面で勝てるようにして行きたい。初めてのメインイベントで、終わった後にお客さんや関係者の方に『この大会良かったね』と思ってもらえるような、判定でもKO決着でもしっかりと締まるような試合をしたいです」と、王者としてメインを締める完勝劇を描く。  勝者はケージの中でベルトを巻くことになる。  2019年7月に翔兵にTKO負けでベルトに手が届かなかった上田は、「今回2度目のタイトルマッチで、やっぱり僕はずっとやってきて、ずっとここで戦って来ることができたから今の自分があるという気持ちです。その集大成でチャンピオンになりたい。そして、今、同じ階級、フライ級はどこも盛り上がっているので、できるかは分からないですけど、キング・オブ・パンクラシストとして他団体に乗り込めたら、という気持ちもありますし、PANCRASEでも他団体の選手と戦ってみたい。やっぱりPANCRASEの選手が他団体で負けるのはすごく悔しいですし、勝てばすごく嬉しい。ですから、もしキング・オブ・パンクラシストになれば、同じ階級で無敵のキング・オブ・パンクラシストになりたい」と、最強のPANCRASE王者としてフライ級の頂点に立ちたい、と展望を語る。  アマチュアPANCRASEからネオブラッド・トーナメント優勝、フライ級トーナメントと、プロの試合のほとんどをPANCRASEで戦ってきた暫定王者も、PANCRASEへの想いが強い。  小川は「僕はアマチュア時代からTTF、Road to ONEを除いてPANCRASEでしか試合をしたことがありません。正直言って、今ランキングに入っている選手ではやりたいなっていう相手がいないので、他団体の強い選手とやってみたいと思っています」と、PANCRASE王者として、外に打って出る構えであることを語った。  タレントが揃い、名勝負が続くなか、バンタムから下げる選手も現れ、ますます激化するフライ級戦線。PANCRASEのベルトを初めてケージの中で腰に巻くのは、小川徹か上田将竜か。
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