キックボクシング
レポート

【RISE】田丸辰が初防衛成功で2階級制覇を宣言、工藤政英が悶絶KO勝ちで連敗脱出、梅野源治は前哨戦でTKO勝ち、原口健飛が上位ランカー北井智大に完勝、森本“狂犬”義久が因縁の篠塚辰樹との激闘を制す

2019/05/19 17:05
RISE 1322019年5月19日(日)東京・後楽園ホール ▼メインイベント スーパーフライ級(-53kg)タイトルマッチ 3分5R無制限延長R〇田丸 辰(王者/平井道場)判定3-0 ※49-48、49-48、50-48●政所 仁(挑戦者/魁塾/同級2位、J-NETWORKスーパーフライ級王者)※田丸が初防衛に成功。 田丸はジュニアキックボクシング出身で、プロデビュー後は9戦全勝(2KO)と無敗。卓越したボクシングテクニックに定評があるが、2月大会では片手で倒立しながらハイキックを蹴る大技でダウンを奪い、蹴り技でも倒せることを証明した。今回は昨年11月に獲得したスーパーフライ級王座の初防衛戦。挑戦者の政所は現KNOCK OUTフライ級王者・石井一成にも勝利したことがあり、止まらない手数とバックハンドブローなど相手の意表を突く技を繰り出す。  1R、サウスポーの田丸は左の蹴りを上中下に蹴り分けていき、政所はローと右ハイを蹴り返す。スピードのある田丸の蹴りが鋭く決まっていく。  2R、田丸はガードを固めて待ちの体勢になり、左のカウンターを当てに行く。政所も強い右ハイを蹴り、顔面前蹴りとパンチに対抗。田丸はバックステップを多用して政所の攻撃をかわしていく。しかし、ガードを固めて待ちの姿勢をとる田丸にミドルを決めていった。  3R、政所は得意のバックハンドブローを繰り出すと、田丸はバックステップでかわすが政所の腕が予想以上に伸びて田丸を捉える。さらに田丸のローをかわしての右ミドル。それまでの展開と入れ替わり、今度は政所が田丸の攻撃をかわして打つ展開に。しかし、田丸は政所のヒザに左右フックを合わせていく。  4R、政所は意表を突く飛びヒザ蹴りを放ち、田丸はパンチを返していく。政所の右ストレートが田丸を捉えるが、その直後に田丸も左ストレートをヒットさせる。お互いにカウンターを警戒してか、終盤は両者見合う場面が増えた。  5R、思い切ってパンチを打ちに行く政所。右ミドルや飛びヒザ蹴りをフェイントにパンチで迫る。田丸のパンチにヒザを合わせようとする政所。どちらかがパンチをヒットすると、すぐに相手が返すという展開だ。パンチを出しながら前に出る政所にヒットはないが、アグレッシブな姿勢が目立つ。  勝敗は判定に持ち込まれ、田丸が勝利。初防衛に成功した。  田丸は「ナメていたわけじゃないですが倒せると思っていて、チャンピオンとして情けない試合をしてしまいました。でも皆さんの応援のおかげでベルトを巻いています」と反省のコメント。  続いて「こんな試合内容では勝てる相手ではないですが、自分は53kgには敵がいないと思うので階級を上げて55kgのタイトルマッチをやらせてください。今回の内容では歯が立たないような選手ですが、めちゃくちゃ練習して試合できるように頑張ります」と、バンタム級王者・鈴木真彦への挑戦を宣言。2階級制覇を目指すとした。 ◆田丸 辰のコメント 「自分の中で何もできなくて、0点でした。反省点があるってことは自分のノビシロがあるってことなのでポジティブにとらえて。勝って自分のダメな点を得たのはいいことだと思います。距離感とかタイミング、リーチの長さで、自分がやりたいことを完封された感じで試合中にどうしたらいいんだろうって考えた。勝ったか負けたか内容的にもわからない。動画を見てわかりたいと思います。朝起きた時から緊張していました。防衛しないと、勝たないとって。政所選手が強いのは分かっていたので、初防衛戦のプレッシャーはありましたね」  ずっと練習していたインローと、ストレートはブロックされたので右フックはよかったと思います。三日月蹴りは嫌がっていました。自分が蹴るときにバランスが悪くて、スリップダウンを取るられるのが嫌だったので蹴るのは抑えていました。自分はまだ10戦しかやってないし、17歳で小僧ですが、天心を倒したいと言っているので最短で天心のところに行きたい。こんな試合をやっていては天心にも鈴木真彦選手にも勝てませんが、練習して強くなって臨みたいと思います。できれば7月の大阪で、相手の地元でバンタム級王座に挑戦したいです」 ▼セミファイナル RISE WORLD SERIES -58kg契約 3分3R延長1R〇工藤政英(日本/新宿レフティージム/第3代フェザー級王者)KO 2R2分32秒 ※右ミドルキック●タリック・トッツ(イタリア/B&D GENOVA/WKUオリエンタルルール世界王者)  工藤は昨年6月に王者となったが、その後はワールドクラスの相手に3連敗。復活をかけて今回も国際戦に臨む。トッツは3年前にRISEへ来日、那須川天心と拳を交えている。  1R、いきなり後ろ蹴りを放ったサウスポーのトッツに工藤は右ローを狙い撃ち。強烈な右ローで早くもダメージを感じさせるトッツは飛び後ろ蹴る、左右フック連打で反撃するが、1R工藤は必殺の左ボディブローから右ロー。その後もパンチからの右ローでトッツをロープへ釘付け。トッツは片足を上げて耐えるが、工藤は容赦なく右ローを蹴っていく  2Rも左ボディと右ローで攻めまくる工藤。体格的にも工藤の方が大きく、パワフルだ。トッツは回転技や飛びヒザを見せるが、工藤の猛攻を浴びる。それでもあきらめず反撃するタフさを見せるトッツ。工藤のボディ攻撃は続き、最後は右ミドルが破裂音を発して決まった。トッツは腹を抑えてマットに沈んだ。  工藤はマイクを持つと、「チャンピオンになってから3連敗しました。つらい時期だったんですが皆さんのサポートのおかげで勝つことができました。これでワールドシリーズのリザーブファイトに出られることになりました。このチャンスを最大限に生かせるように頑張ります」と、連敗脱出を喜んだ。 ▼第7試合 RISE WORLD SERIES -61kg契約 3分3R延長1R〇梅野源治(日本/PHOENIX/元ラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者)TKO 2R2分45秒 ※左ヒザ蹴り●イ・ギュドン(韓国/Younsu Samsan Gym/I.K.M.Fフェザー級王者)  7月の世界トーナメント準決勝前に、RISEルールの経験を積んでおきたいとのことから梅野が電撃参戦。17勝(7KO)9敗のギュドンと対戦する。  1R、サウスポーのギュドンは梅野の右ローに合わせて左ストレートを伸ばしてくる。梅野は右ミドルで応戦して左ロー。梅野は右ミドルから右ハイをかすめ、右ストレートを直撃。そこでパンチを打ちに行くが、ギュドンの連打にヒヤリとさせられる。パンチで前へ出てくるギュドンを左ミドルで迎え撃つ梅野。  2R、ギュドンは梅野のミドルをしっかりとスネでブロックするが、梅野はそのブロックを掻い潜ってミドルを当てていく。打ち下ろすような右ストレートでダウンを奪った梅野は、右アッパーを効かせて連打。右ストレートからの左フックで2度目のダウンを奪う。  梅野は右ストレート、右アッパーからヒザをボディに突き上げる。これに明らかなダメージを感じさせるギュドン。梅野の右ストレートが直撃し、ギュドンはフラフラと身体が泳ぐ。最後は左のヒザを突き上げ、梅野が見事なKO勝ちを飾った。  梅野はマイクを持つと「今回の試合は7月の準決勝へ向けてRISEルールにできるだけ適応したいと伊藤代表にお願いして出場させていただきました。パンチも少しは出来ると思ってもらえましたか? 大阪ではチャンヒョン・リーと試合をするのでパンチでも蹴りでもすべての攻撃ができるように戦います」とアピールし、会場を訪れていたチャンヒョンとの記念撮影に収まった。 第一試合でいきなり森本“狂犬”義久vs篠塚辰樹が大熱戦! 原口健飛、渡部太基も出場 [nextpage] ▼第6試合 ライト級(-63kg)3分3R延長1R●北井智大(チームドラゴン/同級2位)判定0-3 ※28-30、27-30、27-30〇原口健飛(Kick Lab/聖武会館/Road to RIZIN KICK Tournament優勝、スーパーフェザー級10位)  WORLD SERIESでスペインのミゲール・マルティネスを秒殺した原口健飛も参戦が決定している大阪大会の前に登場。ライト級のタイトルを狙い、チームドラゴンの北井智大と対戦する。北井は2月3日後楽園大会で山口裕人をKOし勢いに乗っている。  1R、原口がハイキックを当てるが北井はものともせず前へ出る。すると原口は鋭い右ミドル。北井はパンチの間合いに持ち込もうと突進するが、原口はかわす。離れるとすぐに左右ミドルで快音を響かせる原口。  2Rも自分の距離をとり、、接近してくる北井を左フックや蹴りで迎え撃つ原口。構えを頻繁にスイッチし、北井が入ってくるところに三日月蹴りと前蹴りで突き放す。北井得意の打ち合いに全く付き合う気がない原口は当てては離れるを繰り返し、回り込み、入られるとクリンチ。完全に原口が距離を支配している。  3R、原口はダッキングから振り抜く独特の左フック、北井が前に出てくると足払いでコカし、前に出てくる北井にパンチや顔面前蹴りを当てていく。原口はさらに左三日月蹴りから左ハイ、北井が入ってくるところに左右フック。距離を支配した原口のワンサイドとなり、光を消す戦いで上位ランカーの北井を降した。 ▼第5試合 ウェルター級(-67.5kg)3分3R延長1R●渡部太基(TEAM TEPPEN/同級2位)判定0-3 ※29-30、29-30、28-30〇中島将志(新潟誠道館/ミドル級5位)  渡部が昨年11月のタイトルマッチで敗れて以来の再起戦。  1R、サウスポーの渡部はローで先制して前蹴りをボディに突き刺していくが、ガードが甘く中島の右ハイ、右ストレートをもらう。その後も中島のワンツーでグラつく場面も。  2Rは渡部が最初から飛ばしていく。パンチ、前蹴り、ロー、左ハイで攻めの姿勢。しかし、またもガードが低いところに右ストレートをもらってしまう。渡部が左ミドル・ハイからの左ストレートで攻めれば、中島は右ストレートを当てに行く。  3R、必死の形相でパンチを出しながら前へ出る渡部。中島のパンチを喰らっても前へ出ていく。中島もパンチとヒザ蹴りで対抗し、右を当てに行く。最後は中島が右ストレートからの右ヒザ蹴りをヒット。中島が判定3-0で渡部を破った。 ▼第4試合 スーパーフェザー級(-60kg)3分3R延長1R〇一 馬(MONSTAR GYM/同級5位)KO 1R1分2秒 ※右フック●竹内皇貴(チームドラゴン/同級8位) ▼第3試合 バンタム級(-55kg)3分3R延長1R〇佐藤九里虎(PHOENIX/同級12位)判定3-0 ※29-28×3●池田進人(トイカツ道場/2016年RISING ROOKIES CUP 準優勝) ▼第2試合 -58.5kg契約 3分3R●YUU(リアルディール/2017年RISIN ROOKIES CUPフェザー級優勝)※加藤雄よりリングネーム変更判定0-3 ※28-30、28-30、27-30〇YA-MAN(TARGET SHIBUYA/2018年RISING ROOKIES CUPフェザー級準優勝) ▼第1試合 フェザー級(-57.5kg)3分3R延長1R〇森本“狂犬”義久(BRING IT ONパラエストラAKK/同級2位)延長R 判定2-1 ※10-9、9-10、10-9●篠塚辰樹(TEAM TEPPEN/同級5位)  因縁の一戦が第1試合で実現。両者はこれまでいがみ合い、挑発、乱闘騒ぎなどを繰り返してきた。  1R、篠塚はローを蹴って誘い、森本がローを蹴ってくるとカウンターの右ストレート。ハンドスピードが速い篠塚が連打でフック、アッパーを入れ、カウンターも奪う。ノーガードの篠塚に森本の右ストレートも入る。森本の右ローに篠塚から余裕の表情が消えてきた。第1試合から大いに盛り上がる満員の場内。  2R、森本の右ミドル、右ハイに右ストレートを繰り出す篠塚。森本の右ローで篠塚の身体が浮き始める。両者の攻撃がヒットするたびに場内から歓声。篠塚は待ちの体勢になってカウンターを奪っていき、森本は右ローを蹴ってパンチにつなぐ。  3R、パンチの打ち合いを挑んだ森本だが、的確さでは篠塚が上回る。右が何度もクリーンヒット。しかし、森本は全く下がらず前へ出て攻撃を続ける。森本の右ロー連打に篠塚が棒立ちとなり、場内のボルテージは最高潮。森本は下段後ろ回し蹴り、下段踵蹴りも繰り出す。篠塚も右を当てに行く。森本は右ハイを放つが、篠塚は足を肩で受け止めたまま前に出る。  本戦の判定はジャッジ1名が篠塚を支持したがドロー。大歓声の中、延長戦へ。森本はさっそく右ローを蹴っていき、篠塚はカウンターの右を当てに行く。森本の左インローに篠塚は飛びヒザ蹴りを返す。篠塚は左ボディのクリーンヒットから顔面へつなげる。  篠塚が的確なヒットを奪い優勢なまま時間が過ぎていったが、森本が下段後ろ回し蹴りからのヒザ蹴りをボディへ突き刺すと、森本が身体を丸める。一気にボディを攻めていく森本に篠塚は防戦一方に。判定は2-1と割れ、森本が勝利。コーナーに上って勝利をアピールする森本に対し、篠塚はその場でうずくまって無念さを露わにした。  森本はマイクを持つと「令和一発目のRISEということで第1試合からこんなに来てくれてめっちゃ嬉しいです。今日な生意気な奴ぶっ飛ばしたし、何度でもぶっ飛ばしてやるから何度でも来いよ。この後に出る工藤は3連敗中で微妙だから、次あたりでどうですかね?」と、フェザー級王者・工藤への挑戦をアピールした。 ▼OPF スーパーフェザー級(-60kg)3分3R×Delgermuru拳信王[デリゲルムルン・ケンシンハン](FLAT-UP)KO 2R47秒 ※右フック〇成尾拓輝(究道会館/JAPAN CUP 2018 -63kg優勝・大会MVP) 2Rに成尾が右ストレートでダウン奪う。最後は右フック3連打でKO。
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