キックボクシング
レポート

【DEEP☆KICK】フレッシュマントーナメントは塚本望夢が優勝、長島☆自演乙☆雄一郎が引退式「14年間のプロ生活、一片の悔いもありません」

2021/09/28 13:09

▼セミファイナル 長島☆自演乙☆雄一郎引退エキシビジョンマッチ 2分3R
―長島☆自演乙☆雄一郎(02GYM/魁塾)
勝敗なし
―麻原将平(パウンドフォーパウンド)・左右田泰臣(LIBERTAD)・中村優作(フリー)


 長島は今年2月のラウェイ出場を最後に現役を引退し、これが最後のリング。ゆかりの選手たちとの3人掛けに先立ち、2008年11月に初のタイトルを獲得した時と同じ“正装”初音ミクのコスプレで、「みくみくにしてあげる♪【してやんよ】」(ika_mo feat. 初音ミク)に乗って登場。


 1Rは同い年で練習も共にした麻原が相手。麻原のセコンドには大和哲也も駆けつけた。麻原は序盤からローやハイを出していき、長島はミドルやフック、ボディといったパンチで応戦。麻原はラウンディングキックなども見せるが、長島はすでに息が上がっている。そんな長島に麻原はボディ連打やフックを浴びせる。ラウンドが終わりコーナーに戻った長島は、思わずセコンドに「しんどい! ヤバい!」を連発。


 2Rは長島が上京してシルバーウルフで練習していた時代の盟友・左右田が登場。左右田は現役時代の後半は試合以外ではマスクを着用していたが、引退した今は素顔で入場。その代わりセコンド陣は全員マスクを着用していたが、脱ぐと皇治や平山迅といった面々。左右田は爽やかな笑顔を浮かべつつジャブからのコンビネーション、右フックなどで長島をボコボコに。いよいよスタミナが底をついた長島も必死に食らいつく。


 3Rは同じ日本拳法出身で、MMAで活躍する中村が登場。中村は日本拳法の道着にオープンフィンガーグローブで現れ、「これでやれ」とばかりに長島を挑発。試合の中でもテイクダウンからパウンドの仕草を見せるなどすると、場内からは長島コールに代わる手拍子が湧き起こった。すでにスタミナ限界の長島はこれ以上ないぐらい口を開けて必死に耐え、最後は中村と激しい打ち合いを展開。どうにか最後のゴングまで立ち続けることができた。


 試合後、まずはエキシビションで対戦した3選手がコメント。麻原は「僕の世代やったら長島☆自演乙☆雄一郎と言ったら誰もが知ってる格闘技界のスーパースター。そんな長島君と最後に拳を交えることができてすごくうれしく思う」、左右田は「K-1 MAXで3連敗していた時にも『K-1を盛り上げるんだ』と言ってて翌年にはトーナメントで優勝して、Dynamite!!ではKO勝ちというすごい確変を起こして、尊敬できる先輩」、中村は「日本拳法界から先輩として引っ張っていっていただいて、背中をずっと追わせていただきました」。


 ここでリングアナが「選手退場」を告げると、皇治がマイクを持ち「リングに上がって俺にしゃべらせへんなんて」と挨拶を始める。「自分はこのDEEP☆KICKに出させてもらってまして、今の自分があるのはDEEP☆KICKのおかげ。その時にずっと憧れていて、こんな人になりたいと思っていたのが長島選手。自分は関西から成り上がるってカッコつけてますけど、実際にそれをやったのが長島選手やと思ってます」と話すと、最後は大和哲也にマイクをムチャ振り。大和は「自演乙さんは僕と同じ2010年にK-1で優勝しているし、同じNJKFのチャンピオンからK-1のチャンピオンになったので、すごく親近感が湧いていました。一時代を築いた自演乙さん、お疲れ様でした」と締め。


 そして10カウントゴングを前にマイクを持った長島は「柔道と空手が格闘技人生の始まりでした。いざプロレスに申し込もうと思ったら身長が足りず、プロ格闘技に方向転換しました。大学は日本拳法をやりました。日本拳法の直突きという技術は絶対格闘技に通用するやろうと思って、真剣にやりました。そこから紆余曲折ありましたけど、魁塾にプロ第1号として所属することができました。正直、プロ第1号ということもあって、スパーリングパートナーも中高生で、西宮から1時間かけて通ってました。林会長やきゃしぃや三好トレーナー、最高のチームのおかげでプロでやっていくことができました。


 そこから連戦連勝で、NJKFでチャンピオンになれました。キックボクシングのチャンピオンは僕が絶対獲りたい目標でした。その時の夢はK-1 MAXでした。当時、大阪と東京は今と環境が全然違って、関西からK-1に出るのは夢のまた夢でした。日本チャンピオンのタイトルマッチができるだけで夢が叶ったと思いました。そのタイトルを獲った時のコスプレが初音ミクなんですよ。その時、たぶん後楽園史上初やと思います。後楽園に、ネギが舞いました。この後、ネギを投げていただけたらなと思います。あと回収もご協力いただければと思います。あとで自演乙がおいしくいただきますんで。


 で、そんな感じで念願のベルトも獲りまして、夢のまた夢のK-1 MAXに出られて、ホンマに世界が変わりました。K-1はホンマに夢でした。それでK-1 MAXの日本チャンピオンも獲りました。これ以上は無理やろうなと思ってたんですけど、その後、さいたまスーパーアリーナ、大晦日、Dynamite!!でも勝てました。今でも『あの試合見たよ』と言われる試合をできたことは選手冥利に尽きます。


 関係者の皆さん、日本中至るところに応援に来ていただいたファンの方々、本当にありがとうございます。僕は14年間のプロ生活、一片の悔いもありません。今日、長島☆自演乙☆雄一郎は、コスプレとグローブを置きます。14年間、夢のような時間でした。本当にありがとうございました!」と挨拶。


 10カウントゴングが鳴らされると、会場中からネギがリングに投げられ、2008年の後楽園ホールが再現された。引退セレモニーの後は、長男と長女をリングに上げ、満面の笑みで写真に収まってフィナーレ。最後の最後まで長島☆自演乙☆雄一郎らしい終わり方だった。

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