ムエタイ
レポート

【BOM】梅野源治とロンペットは最後まで激しくせめぎ合う熱闘で痛み分け、名高は圧巻の初回KO勝ち

2021/09/26 20:09
BOM ~ The Battle Of MuayThai~-ouroboros 2021-第2部2021年9月26日(日)大田区総合体育館 ▼メインイベント BOMライト級(61.23kg)3分5R△梅野源治(PHOENIX/元ラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者)ドロー 判定0-1 ※48-48、48-49、48-48△ロンペット・Y'ZD ジム(タイ/Y'ZD豊見城)  梅野は2014年11月に日本人初のWBCムエタイ世界(スーパーフェザー級)王者となり、2016年10月にはヨードレックペット・オー・ピティサックを破り外国人として史上6人目のラジャダムナンスタジアム(ライト級)王者となった“日本ムエタイ界の至宝”。2019年は得意の首相撲とヒジ打ちを封印して『RISE』の世界トーナメントに出場し、決勝へ進出するも白鳥大珠にKO負け。その後はムエタイに復帰して2勝1敗。6月には『RIZIN』のKICKワンナイトトーナメントに出場し、1回戦で皇治と対戦したが、1Rわずか43秒、偶発的なバッティングでノーコンテストとなった。 そのバッティングで眼窩底骨折と鼻骨骨折の疑いがあり、軽度の脳震盪も起こしていたため救急車で病院に搬送されたが、眼窩底は折れていなかったが鼻骨が2カ所骨折していた。今回は本来のムエタイルールでの再起戦となる。  ロンペットは2020年2月の新日本キックに参戦し、WKBA世界スーパーライト級王者・勝次と対戦。サウスポーから繰り出す重い左ミドル&左ストレートでブロックした勝次のバランスを崩し、5Rには左フックでダウンを奪い大差の判定勝ち(50-45×3)。大きなインパクトを残した。勝次と対戦した時は35勝(10KO)19敗という戦績しか分からなかったが、あのロッタンともタイで対戦していたという。  本場タイの選手が招聘できない現状、国内にいるタイ人選手では最強の相手が梅野に用意されたと言える。  1R、梅野は右ミドル、ロンペットは左ミドルを蹴り、梅野はジャブでプレッシャーをかけていく。ジャブ、右ストレートでロンペットをコーナーへ追い込んでいく梅野だが、ロンペットも左ロー、左ストレートで反撃。ロープを背負うロンペットに梅野が右ストレートを直撃させ仰け反らせる。  2R、体格で上回る梅野はジャブ、右ミドル、右ローで圧力を懸けていく。ロープを背負う場面の多いロンペットにパンチを浴びせる梅野だが、ロンペットは効いた素振りも見せず左ミドルと左ストレートで反撃。  3R、激しさを増す両者の攻防。梅野は上から振り下ろすヒジ、そしてヒザ蹴り。ロンペットは前へ出て左ミドルと左ストレート。梅野は右のパンチとヒザ蹴りでロンペットのボディを集中的に攻める。それでもロンペットは顔面のガードが堅く、梅野のヒジとフックは防がれる。  4R、パンチで前へ出てくるロンペットに梅野もパンチとヒジで応戦。ここが勝負と見たかロンペットの攻めが厳しくなる。ヒジの相打ちが激しく続き、ロンペットの右フック連打に梅野は右ミドルで対抗する。梅野が右ヒザから左ヒジ、そして首相撲からのヒザ蹴りを連打。前に出てくるロンペットに左ヒジから右ヒザ、右ミドルの連打でコーナーへ釘付けにする。しかし、終盤ロンペットが左右フックを振り回して逆に梅野を後退させた。  5R、バックハンドブローを空振りした梅野にロンペットが左右フックを浴びせて梅野はバランスを崩す。すると今度はロンペットがバックハンドブロー。ジャブと右ローの梅野にロンペットはボディブロー、そして組み付くとヒザ蹴りから梅野を投げ捨てる。前に出るロンペットが右フック、ボディから左フック。梅野はミドルを蹴るがロープを背負う。首相撲でロンペットが梅野を組み倒す。残り時間30秒、右ストレートを打ち込む梅野にロンペットは左ボディと左右フック、これが梅野を捉える。  最終Rを流すことなく、最後まで激しいせめぎ合いを見せた両者。判定が告げられる前に健闘を称え合い、抱き合う。判定はジャッジ1名がロンペットを支持したが2名はドローで両者痛み分けとなった。 [nextpage] ▼セミファイナル BOMスーパーフライ級(52.16kg)3分3R○名高・エイワスポーツ(エイワスポーツジム/元ルンピニー&ラジャダムナンスタジアム認定ミニフライ級王者)KO 1R 1分23秒 ※左ヒザ×佐藤仁志(新宿スポーツジム) “ハマの神童”名高は2018年12月、ラジャダムナンスタジアム認定ミニフライ級王座を奪取し、日本人として7人目の同スタジアム王者になり、2019年4月15日にはルンピニースタジアム認定同級王座も獲得。日本人初のルンピニー王者になると同時に、ムエタイの2大殿堂であるルンピニーとラジャダムナンの王座を同時に保持した史上2人目の外国人(タイ人以外)選手となった。 また、2017年4月にWMC世界ピン級王座、2018年4月には日本人4人目の快挙となるWBCムエタイ世界タイトル(ミニフライ級)を獲得。さらに同年9月にはIBFムエタイ世界ミニフライ級王座もKOで獲得し、日本人初のIBFムエタイ世界王者となっている。2019年12月のBOMではBOMフライ級初代王座決定トーナメントを圧倒的な強さで制した。これまで獲得したタイトルは実に7冠。RIZINのリングでも3連続KO勝ち中。  佐藤は2017年3月の『REBELS』で松崎公則に3RでTKO勝ち、2019年9月に白幡裕星に判定負け、同年11月には『KNOCK OUT』に参戦して花岡竜に判定負けと、現在のトップ選手たちとしのぎを削ってきた。  1R、佐藤は序盤からワンツーで積極的に仕掛けていく。サウスポーの名高は左ロー、左ミドル。佐藤が組み付くと投げ捨てる。名高はジャブから左ヒザを突き上げ、佐藤がパンチで向かってくると右フックを引っ掛け、すかさず左ヒザを顔面に突き上げて圧巻のKO勝利を飾った。 [nextpage] ▼第10試合 BOM 71.00kg契約 3分3R(延長あり)×柿沼 慶(ポゴナクラブ/BOMスーパーウェルター級王者/WMCインターコンチネンタルスーパーウェルター級王者/第2代WMC日本スーパーウェルター級王者)KO 2R 2分05秒 ※右ストレート○緑川 創(RIKIX/元第8代新日本キックウェルター級王者/元WKBA世界スーパーウェルター級王者)  柿沼はスーパーウェルター級らしい強打を武器とする選手で、2018年12月にWMC日本同級王座を獲得すると、翌2019年4月には同インターコンチネンタル王座も獲得。同年12月には初回KO勝ちでBOMスーパーウェルター級初代王座に就き、2020年2月に念願のIBFムエタイ世界スーパーウェルター級王者決定戦に臨んだが、古豪レック・エイワスポーツジムにTKOで敗れ世界王座奪取ならず。10月のBOMではムエサイアムミドル級王座決定戦をプーパンレックと争ったがドロー、12月のIMCインターコンチネンタル・ミドル級王座決定戦ではCRISTIAN JOSEPHにTKO負けを喫した。  緑川は2005年デビューのベテランで、新日本キックボクシング協会でミドル級王座とWKBA世界スーパーウェルター級王座を獲得。K-1 MAX世界王者アンディ・サワーにも勝利した実績を持ち、国内ミドル級最強の一角として長く君臨している。昨年7月よりRISEに参戦し、ウェルター級王者の“ブラックパンサー”ベイノアから2度ダウンを奪い強さを見せつけるも、その後は海人、憂也に連敗。今年2月に『NO KICK NO LIFE』で高木覚清に判定勝ちすると、6月の『RISE』で宮城寛克に判定勝ち、7月の『NO KICK NO LIFE』では憂也と引き分け、8月はモトヤスックに判定勝ちと34歳にして4カ月連続試合に臨む。  1R、左ボディを狙ってくる柿沼、緑川はジャブを突いて左ロー。左フックを打ちながら左回り込む緑川はワンツー、右ボディストレート、さらにワンツーと右ボディストレートで柿沼にロープを背負わせる。  2R、ボディへのヒザ、前蹴り、ボディブローで一方的に攻める緑川。柿沼は緑川の攻撃を受けて下がっていく。緑川は飛びヒザ蹴り、ヒジも繰り出し、左前蹴りでダウンを奪う。  立ち上がった柿沼はヒジと右フックでの逆転を狙うが、緑川の左ヒジからの右ストレートでしゃがみこむようにダウン。レフェリーがここでストップし、緑川のKO勝ちとなった。 [nextpage] ▼第9試合 ONEムエタイ ストロー級 3分3R△KOUMA(WSR荒川/第6代&第9代WPMF日本スーパーバンタム級王者)ドロー 判定0-1 ※28-29、29-29、29-29△鳩(TSK japan/WMCインターコンチネンタルバンタム級王者)  元REBELS-MUAYTHAIスーパーバンタム級王者&第6代・第9代WPMF日本同級王者のKOUMAが、WMCインターコンチネンタル・バンタム級王者の鳩(=あつむ)とオープンフィンガーグローブ着用のONEムエタイルール・ストロー級3分3Rで対戦する。  KOUMAは元暴走族で、青春時代のほとんどを塀の中で暮らすと26歳でムエタイを始めた。2013年1月に28歳でプロデビューすると6連勝。2015年11月にWPMF王座を獲得すると2017年6月にREBELS王座も獲得して二冠王に。2017年11月にWPMF王座、2018年6月にはREBELS王座をそれぞれ初防衛戦で失ったが、同年10月にWPMF王座に返り咲いた。戦績は14勝(9KO)5敗。また、2017年2月にはミャンマーの超過激格闘技ラウェイにも参戦、本場ミャンマーの選手を相手に引き分けている。  12月で37歳になるKOUMA。2019年10月のKrushを最後にリングから離れていたが、「最後にケジメだけはつけておかないと。格闘家としてより人としての強さをみせたい。対戦相手は現役のチャンピオンでガンガンくる良いファイターです。面白い試合になります」と、この試合がラストマッチになると告げた。  鳩はムエタイで合計5本ものベルトを獲得するなど試合経験を積んでいるが、4月のRISE参戦では金子梓に判定2-0、7月のNO KICK NO LIFEではHIROYUKIに2RでKO負けと連敗中。  1R、両者とも慎重な出足。飛び込んでのフックを見せるKOUMAに鳩はジャブで対抗。  2Rも飛び込むKOUMA、鳩は左ミドルで対抗する。KOUMAの右に右のカウンターを合わせる鳩。OFG私用のためか両者とも慎重。KOUMAは前には出るが攻めあぐねている印象だ。  3R、右フックをヒットさせるKOUMAだが鳩は首相撲に持ち込む。ジャブを2連続ヒットさせて鳩を仰け反らせるKOUMA。さらに左右フックで前に出ると鳩が組み付く。ブレイクになると左右フックで前に出るKOUMA、それに組み付く鳩という展開で試合は終わった。 [nextpage] ▼第8試合 BOMミドル級(72.50kg)3分3R (延長あり)×MIKE JOE(BATTLE FIELD・TEAM J.S.A/第4代Bigbangスーパー・ウェルター級王者)延長R 判定0-3 ※9-10×3○松島勲也(MSJキックボクシングジム/J-NETWORKミドル級王者/KOSスーパーウェルター級王者)※本戦の判定は29-29、29-30、29-29  JOEはアマチュアボクシングからキックボクシングに転向し、MMAにも挑戦した184cmの長身選手。2020年8月のKrushに初参戦すると、藤村大輔を相手に独特な柔らかい動きでパンチをかわし、右のストレート&フックをヒットさせての判定勝ち。12月の『スーパービッグバン』では神保克哉に判定で敗れたが、今年3月のK-1では木村“フィリップ”ミノルの代替選手として出場したEITOを2Rに右フックでKOしている。戦績は8勝(3KO)4敗4分。  松島は少林寺拳法、空手を経て、20歳の時の失恋がきっかけでキックボクシングを始めて22歳でプロデビュー。福岡の『KING OF STRIKERS』でスーパーウェルター級王座に就くと、2018年10月にはJ-NETWORKミドル級王座を奪取。左右フックの強打を持ち2019年は2月、3月、7月と連続KO勝利を飾っている。今年4月のBOMでは「BOMミドル級(72.50kg)王座決定トーナメント」に出場したが、1回戦でJに延長戦の末に判定負け。7月のBOMではオープンフィンガーグローブ戦でプライチューンポーンをTKOに破った。また、実家が教会でクリスチャンのため“闘うクリスチャン”や“リアル神の子”の異名を持つ。  1R、ヒジを振り下ろす松島にJOEも同じ技を返す。松島は右フック、バックハンドブローを繰り出し、隙あらばヒジ。JOEは良く伸びるワンツー。松島のパンチに縦ヒジも合わせに行った。  2R、右ボディを狙っていく松島。お互いに右を当て合い、首相撲になるとJOEはガッチリとロックして首相撲もしっかり出来るところを見せつける。JOEは左フック。前に出る松島が左右フックでJOEにロープを背負わせる。  3R、前に出るJOEに松島は右ストレートをボディと顔面に。JOEは足払いでコカす上手さを見せる。右ひじを打ち合う両者、互いにパンチを繰り出すがなかなかクリーンヒットが奪えず、松島が左ミドルをその中でしっかり当てていく。終盤、前に出て勝負に出たJOEに松島が左フック。  本戦の判定はジャッジ1名が松島を支持したがドロー。延長戦へ入る。前に出るJOEが組み付くと松島は右ヒジ。両者ワンツー・左フックを繰り出すが目立ったヒットはなく、JOEが左フック、右ストレートでヒットを奪うと松島はパンチを出しながら前へ出て右ヒジ。JOEのジャブ、右フックを松島は被弾するが、残り30秒の右フックでJOEが大きく後方へバランスを崩した。一気に畳み込む松島。  一進一退の攻防の均衡を崩した、最後の最後での右フックで松島が判定3-0の勝利を収めた。 ▼第7試合 BOM 73.00kg契約 3分3R-喜多村誠(ホライズン・キックボクシングジム/初代BOMミドル級王者/第4代新日本キックボクシング協会ミドル級王者)中止-クアン・サックランシット(サックランシット) [nextpage] ▼第6試合 ONEムエタイ フライ級 3分3R○優吾・FLYSKYGYM(FLYSKYGYM)判定3-0 ※29-27、30-26、30-27×河野直次郎(CLIMB GYM/大和57.5kg級王者)  オープンフィンガーグローブを着用したONEムエタイルールでの試合。  1R、サウスポーの優吾は左ロー、河野も右ローを蹴ると優吾はワンツーを合わせる。前に出る優吾は左ミドル、河野はロープ伝いに回り込んでいく。  2R、優吾の左ミドルに右フックを合わせる河野。終盤、優吾が左インローから左ハイで河野の体勢を崩し、パンチをまとめた。  3R、パンチで前に出る河野に優吾は左ミドルで迎え撃つ。ジャブを打つ優吾に打ち合いに行く河野に回り込む右前蹴りからの左フックで優吾がダウンを奪う。逆転を狙う河野に優吾は組んでのヒジ、ヒザ。  ダウンを奪った優吾が判定で勝利を収めた。 [nextpage] ▼第5試合 BOM 54.00kg契約 3分3R○HIROYUKI(RIKIX/新日本キックボクシング協会第6代フライ級王者/新日本キックボクシング協会第12代バンタム級王者)判定3-0 ※29-28×2、30-28×稔之晟(TSK japan/第5代WMC日本バンタム級王者/MuayThaiOpenスーパーバンタム級王者)  HIROYUKIは目の良さと身体能力の高さを活かし、打たせずに打つ試合が持ち味。時折、派手な蹴り技も見せる。新日本キックボクシング協会の第6代日本フライ級王者&第12代日本バンタム級王者。様々な団体に参戦しており、7月には『NO KICK NO LIFE』でムエタイ五冠王の鳩を鮮やかなハイキックでマットに沈めた。  稔之晟はMuayThaiOpenスーパーバンタム級王座、第5代WMC日本バンタム級王座、WMCインターコンチネンタル ・バンタム級王座の三冠王。長身で左ミドルを得意とし、手足の長さを利したストレートや首相撲からのヒザ蹴りで戦うタイプ。神奈川大学の経済学部に在学中で、2020年にはムエタイでの活躍が認められて2020年度学生表彰(課外活動部門)で大学から表彰も受けている。  1R、ローを蹴り合う両者、HIROYUKIは右ストレートをヒットするも、なかなかパンチが当たらない距離。稔之晟左ロー、左ミドルと蹴っていく。HIROYUKIは右足を痛めたか、不自然な転倒をした。  2R、右ローと右インローを蹴ってパンチにつなげたいHIROYUKIだがなかなか届かない展開。稔之晟は左ミドル、左ローを淡々と蹴る。両者ペースが上がらず、同じ展開が続く。  3R、HIROYUKIは戦法をがらりと変えて、ワンツーから両脇を差すと稔之晟を持ち上げてコカす。稔之晟のミドルをキャッチして右ストレートを入れ、組み付いて投げるHIROYUKI。  噛み合わなかった一戦はHIROYUKIの判定3-0勝利となった。 [nextpage] ▼第4試合 ONEムエタイ フライ級 3分3R×真吾(レンジャージム)KO 2R 1分30秒 ※左フック○ライヤマン(ナックルズジム/KOSスーパーフェザー級王者/DREAMGATEスーパーフェザー級王者/DREAMGATEライト級王者)  1R、サウスポー同士。ライヤマンが右フックでダウンを奪い返す。その後もライヤマンが前に出て左ストレート、右フックと優勢に進める。  2R、ライヤマンが右アッパー、右フックを連続ヒットさせ、左前蹴りでグラぐいた真吾に左フック。真吾は前のめりにバッタリと倒れ、ライヤマンのKO勝ちとなった。 [nextpage] ▼第3試合 BOMミドル級(72.50kg)3分3R (延長あり)○J(TSK japan/WMCインターコンチネンタル ミドル級王者/第3代WMC日本ミドル級王者/ムエタイオープン スーパーウェルター級王者/初代WMC日本スーパーウェルター級王者)KO 3R 1分06秒 ※ヒザ蹴り×大輝・FLYSKYGYM(FLYSKYGYM)  JはBOMの常連ファイターで、WMC日本スーパーウェルター級王座、ルンピニージャパン同級王座、WMCインターコンチネンタル・ミドル級王座を獲得。パンチ、ヒジを得意とし、「BOMミドル級王座決定戦」では今年4月の1回戦では松島勲也を延長戦の末に判定で振り切ったが、決勝戦では喜多村誠に判定2-1で惜敗。王座を逃した。大輝も同トーナメントに出場し、1回戦で喜多村にKO負けを喫している。  1R、両者蹴りの間合いで蹴りを出し合う。Jはパンチも繰り出すが距離が遠く、大輝が左ミドルと右ローを当てていった。  2Rになると蹴りで崩したJが一気に距離を詰めてパンチのラッシュと首相撲からのヒザ蹴り。この左ヒザがグサリと突き刺さり、ダウンを奪う。以後もJが距離を詰めての左右フックと首相撲からのヒザ蹴り連打で圧倒。  3R、左右フックとヒザで圧倒するJがヒザ蹴りの連打でダウンを奪う。さらにヒザ&ヒジでダウンを追加し、最後も首相撲からボディへのヒザ蹴り。大輝はなかなか立てないほどのダメージを負い、JのKO勝ちとなった。 [nextpage] ▼第2試合 WMC日本スーパーライト級王座決定戦(63.50kg) 3分3R(延長あり)○高橋幸光(TSK japan/第18代元MA日本ライト級王者/元J-NETWORKライト級王者)判定2-0 ※29-29、29-28、29-28×KJヒロシ(Y’ZD GYM沖縄/RKAライト級王者/西日本統一ライト級王者)※高橋が新王座に就く。  高橋はテコンドー出身で、2009年4月デビューのベテラン選手。当初はヒジありルールで戦績を重ねていたが、2011年10月からKrushに参戦。卜部功也、山崎秀晃、塚越仁志らと拳を交えていたが、2013年5月からヒジありルールにカムバック。2013年11月に小川翔を破ってMA日本ライト級王座を獲得し、2014年8月には前口太尊を破ってJ-NETWORKライト級王座にも就いた。戦績は35勝(11KO)19敗5分。前戦は7月の『BOM』で偶発的なバッティングにより無効試合となっている。  ヒロシは“オキナワの暴れん坊”の異名を持ち、2020年11月の『戦場』ではDBS&RKAスーパーライト級ダブルタイトルマッチでTKO勝ちして二冠王に。今年4月のBOMスーパーライト級(63.00kg)王座決定トーナメントではNOBU BRAVELYにTKO負けを喫したが、5月のBOMではKO勝ち。再び巡ってきたタイトル獲得のチャンスに懸ける。  1R、サウスポーから左ミドルを蹴る高橋に、ヒロシは右ストレートを伸ばしていく。積極的に仕掛けるヒロシに蹴りで対抗する高橋。ヒロシはロープに詰めての右ヒジで高橋の右目上をカットして流血させる。  2R、高橋は前蹴りでボディを攻め、左の連打、さらにヒジで逆襲。ヒロシは組んでのヒザ蹴り。離れると高橋が蹴りで優位に立つが、ラウンド終了間際にヒロシが強烈な右ボディを入れた。  3R、ガムシャラに前へ出るヒロシに高橋は前蹴り、右ミドル。ヒジの打ち合いでは高橋がヒロシの左目下を切り裂いて流血させた。ヒロシはパンチで前へ出て、高橋は蹴りでボディを狙う。ヒロシの右ストレートに仰け反る場面もあった高橋だが、判定2-0でヒロシを振り切った。 [nextpage] ▼第1試合 WMC日本スーパーバンタム級 (55.34kg)3分3R○加藤有吾(RIKIX/WMC日本スーパーバンタム級王者)KO 2R 1分32秒 ※右フック×ダイナマイト柿崎(DRAGON湯沢/DBS&RKAスーパーバンタム級王者)  加藤はジュニア時代から石井の指導を受け、プロデビューすると持ち前の強打で頭角を現し、2019年12月にWMC日本スーパーバンタム級王座を奪取。2021年1月のINNOVATION岡山ジム主催興行で行われた「岡山ZAIMAX MUAYTHAI 55kg賞金トーナメント」で、元山祐希と壱・センチャイジムを破って優勝している。9連勝で一躍注目を集める存在となったが、セミファイナルに抜擢された今年2月のNKNLでは宮元啓介に判定2-0で惜敗。7月のNKNLではジャパンキック認定バンタム級王者・翼から2度のダウンを奪って勝利した。戦績は17勝(7KO)4敗。  柿崎はアマチュアで10戦10勝(10KO)という戦績を引っ提げて2010年3月にプロデビュー。東北を拠点として東京、名古屋など各地のリングで試合を行ってきた。前戦は8月の『戦場』で小澤翔に判定2-0で勝利している。  1R、両者きびきびとした動きで攻撃を繰り出していき、前に出る加藤はパンチ、柿崎は蹴り。ジャブでロープを背負わせる加藤が柿崎をコーナーまで追い詰めると左フックでダウンを奪った。  2Rも同じ展開となり、追う加藤とローブ伝いに回り込んで蹴る柿崎。加藤は左ボディブロー、右ストレートで追い込み、柿崎がパンチで反撃してくると右フックでダウンを奪う。  この一発が効き、立ち上がるも足元がおぼつかない柿崎に加藤が一気に襲い掛かり、右フック2連打でマットに沈めた。 [nextpage] ▼オープニングファイト WMC日本女子バンタム級 (53.50kg)2分3R○ルイ(クラミツムエタイジム)判定3-0 ※29-28、29-28、30-29×JASMIN(ポゴナクラブ)  ルイはこれまで『MuayThaiOpen』や『スックワンキントーン』などムエタイルールの試合を行ってきた選手で、3月にKAEDEに敗れるまでは5戦5勝(3KO)と無敗だった。6月のNJKFでは「S-1レディーススーパーフライ級トーナメント」1回戦でKAEDEの姉IMARIに勝利し、11月の決勝戦へコマを進めている。ヒジ&ヒザを得意とするアグレッシブ女子ファイター。  対するJASMINEは2020年10月の『Krush-EX 2020 vol.2』でプロデビュー。ボート競技で高校生の時は埼玉県代表で全国大会に出場し、日本代表候補にも選ばれたことがある。フィジカルトレーニングに力を入れ、褐色の肌とその肉体から“女子マッスルモンスター”と呼ばれる。「ジムには最大140kgしかなくて、それなら普通にスクワットで持ち上げられます」と言い、「パワーなら女子の誰にも負けない自信がありますね。アマチュアの試合でも16オンスのグローブでワンパンチKOしました」とパワーには自信を持つ。さらに「男性とスパーリングして今まで12人くらいあばら骨を折ってきた」とのエピソードも。デビュー戦ではケイト・ウィラサクレックに判定3-0で敗れたが、ヒジありルールでルイを相手にそのパワーを活かせるか。  1R、ローとミドルの蹴り合いからジャスミンはバックハンドブローを放つ。組んでのヒザではルイが優位に立つ。  2R、手数を増やして前に出るのはルイ。接近戦になると両者ヒジも打つ。組んでのヒザではやはりルイが主導権を握る。  3R、ルイの蹴りに右ストレートを合わせに行くジャスミンは、組むとルイのヒザにヒジで対抗。ルイは左ミドルをヒットさせて組み伏せ、判定3-0で勝利した。
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