MMA
インタビュー

【修斗】川名TENCHO雄生の王座に挑戦する18歳・西川大和「試合で誰かが助けてくれるわけじゃない。自分自身のメンタルや体調、テクニック、心を信用して戦う」

2021/09/20 15:09

僕がスタンドとグラウンドの「ミックス」がうまく出来ていない? じゃああなたは寝技とキックボクシングが欠けてるんじゃないですか

――今回、最年少の18歳でのチャンピオンシップとなりますが、ご自身でそこを意識することはありませんか。

「そうですね。年齢的な意識は特になくて、試合ってやってみないと結果のついてくる方向だったりとかっていうのは分からないものです。まずやってみるという考えですね」

――対戦相手の川名選手の試合はどれくらい見ましたか。

「1、2試合見たくらいですね。PFLの時代の試合とかもちょこちょこと飛ばしながら見たくらいで、人間なので、やっぱりそのときのコンディショニングや気持ちや身体で、動きも変わる部分もあります。いろいろ作戦を練っても、いざ試合で向かい合わないと、何が来るのか分からないものです。だからこそ、いろいろな他種目の選手にご協力いただいて、メンタルやフィジカルの向上に繋げています」

──川名選手は「経験の差を見せて、全局面で押さえ込み、徹底的に心を折る」とコメントしていました。

「相変わらず口が達者な方ですね。これまで国内外でいろんな経験をされて来られた先輩です。もちろん尊敬しています。ですが、お子さんをお持ちの父親としての面もある方です。その方が相手を貶めたり、挑発するようなコメントはそろそろ止められた方がいいのではと個人的に感じています。ご自分のお子さんが将来そのコメントを見てどう思うか」

──……。

「プロとして試合を盛り上げようとしていただいてる事には感謝します。お気持ちは分かるのですが、相手への尊敬を持たないコメントは、恥ずかしいのでそろそろお止めになられた方がいいと思います。試合でお客様に伝えるのがプロフェッショナルです」

──正論すぎて何も言えなくなってしましました。

「とにかく僕はいつも通り冷静に戦いたいと思います。この階級で世界と戦えるレベルである事を証明します。プロとして恥ずかしくない試合をお見せします」

――川名選手は、西川選手について「スタンドとグラウンドの間に欠けていて、“ミックス”がうまくできていない」と評していました。MMAとしては特異なスタイルだと。その見立てに関しては、どう感じますか。

「ただ僕が、中間の戦いを自分からしないときだけの話です。それをしようと思ったら、全然やる。Fighting NexusやGRACHANの試合も見ていれば理解いただけると思います。その言葉に返すのであれば、じゃああなたは寝技とキックボクシングが欠けてるんじゃないですか、という話になるので。

 結局、総合格闘技は相手と自分の穴の潰し合いなので、どっちが強いんだとという口出しもしたくもないですし、戦ってみないと分からない。そういった舌戦を僕はあんまりしたくなくて、静かにやるのが好きかなと」

――言い合いをするつもりはなく、スタンダードとされるMMAが出来ないわけじゃない。対戦相手との相対的なものでもあり、あの試合はそう選択したのだと。

「そうですね。どんどん変えていこうかなというのもあります。川名選手がどのようにスタイルを組み立てて今回の試合に臨むのかは知りませんが、そこには5分5Rがある。その中で、相手から作ってくるのに合わせることも可能ですし、作ってこないんだったら、自分から積極的に試合を組み立てることも可能です」

――この試合を越えればチャンピオンという形で、西川選手が目指す海外への道も見えてくる可能性が高まります。

「絶対取りたいというのもありますし、これを取ることにより、今の自分の練習環境で、最大限選手に集まっていただき、ご協力いただいている中で、そのスキルアップした実力を、どれだけ人前で出せるのかの証明になる。試合というよりは、自分の持っている技──例えば100パーセント練習していたことが、どれくらい試合で通用して、どれくらい出せるのか、どれくらいメンタル面で落ち着きを出せるのか、ということを試す試合にはなるのかなという感じです。その“試し合い”で、1試合1試合こなしています」

――UFCの試合などもチェックしているようですね。

「UFCやONE Championshipの試合とかは、よくYouTubeにも動画があるので見ていますね。UFCでは、TOP FCのフェザー級のチャンピオンのチェ(スンウ)選手のキックボクシングテクニック、それに、ジョゼ・アルド選手ですね。今は昔に比べてパンチメインになってきていますが、もともとパンチがすごい真っ直ぐを綺麗に打って、蹴りに繋げて、あのローも綺麗です。彼こそ本当にMMAでキックボクシングをしている選手だと思います。今は落ちてきているとはいえ、ONEのムエタイ部門に行っても試合を見てみたいと思うくらい、すごく参考にさせていただいています。それに、MMAよりも他の格闘スポーツを見ながら、どうすればMMAに活かせるだろうか、という視点で試合映像を見ることが多いです」

――他の格闘スポーツだと、どのような選手の試合を見ていますか。

「ボクシングだったらパッキャオ選手、キックではジョルジオ・ペトロシアン選手や海人選手の試合動画を見たりしています。那須川天心選手の試合も見ないというわけではないんですけど、彼の場合、トリッキーな動きをするので、この技は自分にとって使えないんじゃないかなというのも多かったりするので、僕は志朗選手の動画を見ることの方が多いです」

――西川選手は、いつかまたキックの試合もやってみたいと思うこともあるのでしょうか。

「ありますね。もともとストライカーとしてデビューして、打撃から入ったというのも大きかったので、連勝、KOもしていました。キックの機会をいただければ、また出場させていただけたらと思っています」

――それが西川選手のなかでは、MMAで活きています。常に何でもありを想定していたということなんでしょうか。

「そうですね。よくMMAの選手に対して、キックの選手とかが“あれはキックだったら通用しないよ”とか、“ボクシングだったらこうだよ”という言葉を聞きますが、組みや寝技があるからこその打撃の火の吹き方もあります。そこを見てもらえたらと思います」

――最後に、試合を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

「そうですね……打撃でKOしたり、倒しているイメージが多いからか、最近よく“組みがあんなにできると思ってなかったって”言われることが多いのですが、実はファイトスタイルを、また少しPFCの頃に戻していこうかなという思いもあります。場合によっては、組まずに打撃戦に持っていってもいいかなと。MMAで組んできたりするんだったら、そっちに対応しながら打撃を使ったり、自分にプラスになるような試合をしたいと思っています」

――得るものが多い試合にしたいと。

「そうですね。父親からの教えなんですけど、試合で誰かが助けてくれるわけじゃないので、助けるのはやっぱり自分自身のメンタルや体調、テクニック、心なので、それを信用して戦う。そのために、もっといろいろな技だったり、いろいろなものに投資して、向上心を持って、目標を達成していけたらなと思っています」

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