2021年9月23日(木・祝)神奈川・ぴあアリーナMM『Cygames presents RISE WORLD SERIES 2021 YOKOHAMA』の対戦カード発表記者会見が、8月2日(月)都内にて行われた。
参戦が発表されていたRISE世界フェザー級王者・那須川天心(TARGET/Cygames)の対戦相手は、RISEバンタム級王者・鈴木真彦(山口道場)に決定した。
このカード決定について伊藤隆RISE代表は「いまだに外国人の入国規制が緩和されずに非常に厳しい中で、那須川天心の相手は限られています。そのような状況の中、今回、鈴木真彦を提案させていただきました。理由としては志朗の次に那須川天心と戦う選手として適任なのは鈴木真彦ではないかと思っております。ただ、これはコロナ禍の中で実現したカードだと思います」と説明。
試合体重はバンタム級(-55kg)で、両者のベスト体重。3分3R延長1Rで行われる。両者はこの会見から6年前の2015年8月1日に『BLADE FC JAPAN CUP -55kgトーナメント』の1回戦で対戦。1Rに連打でダウンを奪った那須川が、飛びヒザ蹴りに来た鈴木を左フックで撃墜し、1R1分46秒でKO勝ちしている。
RISEバンタム級王座のベルトを持って登壇した鈴木は「今回このカード組んでいただいて感謝しています。僕は2015年の8月1日に那須川選手に敗れてから、ずっとリベンジしたいとの想いでここまでやってきました。去年の11月に那須川天心挑戦者決定トーナメント(決勝戦で志朗に判定負け)で敗れた時はほんまにもうあかんのかなと思ったんですが、再戦の機会をいただいて感謝しています。やるからには那須川選手も(キックボクシング)残り3試合ということで思い切り盛り上がるような、6年前は僕が何もできずに負けましたが、ここで成長した姿を見せられたらと思います」と挨拶。
那須川は「キックボクシングの試合も残すところあと3試合となってこの試合が決まりました。コロナウイルスの影響で海外の選手が来れないということでこのカードになったと思うんですけれども、やるからには思い切り、前回と一緒の結末になると思うので皆さん期待してもらえれば嬉しいし、しっかり仕上げるので皆さん期待していてください」と、6年前と同じ結末になると言い放った。
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スポーツはオリンピックだけじゃない(那須川)
続いての質疑応答では鈴木に、6・13RIZIN東京ドーム大会でワンマッチでのオファーはなかったのかとの質問が飛び、「オファーをいただきました。その件に関しては僕のプライべートな諸事情もあって…コメントを控えさせていただきたい」とした。改めて今回決まったことには「まさか…でもコロナで外国人選手が入って来れないので、ほんまにこれも運命なのかなと思いますね」と、運命が2人を引き寄せたとする。
6年前に戦った印象を聞かれると鈴木は「1Rで何もさせてもらえずに負けたので覚えてないですね。6年経っているし。世界で一番強い選手じゃないかなと思っています」、那須川は「攻撃をもらっていないのであまり覚えてないです。1回戦というのもあったので作戦通りに遂行した感じでした。そこからずっと志朗君に負けるまでは勝っていたので、そういうところで評価があるのかなと思います」とそれぞれ答えた。
かつてインタビューで「那須川選手にBLADEで負けた時のことを思い出さない日はない」と話していた鈴木。それは「僕がRISEに参戦した理由も那須川天心という存在を追いかけてのものですし、あの敗戦はずっと忘れたことはないです」と今も続いているという。
勝負を懸けた「那須川天心挑戦者決定トーナメント」で敗れていることで、オファーを受けた時にためらいはなかったかと聞かれると「それはありました」と言うが、「僕も負けているので、ほんまにあと3試合しかやらないとのことなので順番は前後してしまいますが、やられた選手にはきっちりやり返そうと思って」と、最後のチャンスだと思って受けたとした(順番は前後するというのは、志朗にリベンジしてから那須川と戦いたいとの想いがあったから)。
初対決から今まで、鈴木の試合を見ていて成長した部分はと聞かれた那須川は「そういった目では試合を見ていなかったので何とも言えないですけれども、志朗君以外には勝っているし、20連勝しているので、それに関しては勢いがあるなと思います。だからといって、僕も油断してないので。いつも以上に。前回の6月13日の東京ドーム大会が終わって3日後くらいからずっと仕上げているので、本当に試合がしたくして仕方がないというか、そういう状況にあります」と、成長しているかは分からないが油断はしていないとした。
鈴木ともう一度拳を交えるとは「思っていなかった」とも。「トーナメントで勝てばやるのかなと思っていましたが、志朗君に負けてしまったのでないのかなと思っていました。それでRIZINの時にあるってなって、そこでもないとなったのでもうやることはないと思っていました」
鈴木の持ち味である強打についてはどう思うかと聞かれると、「当たれば爆発力はあると思います。それを武器として試合に挑んでいるので。でもその武器は当たらないと意味がない。当てさせない技術を持っていますし、今回僕もいろいろ実験というか、試したいことがたくさんあるので、それもみんなに見せたいなというのがあります」と、爆発力は認めながらも当てさせないという。
さらにKOは意識するかとの質問に那須川は「そうですね、めちゃめちゃしますね。そこはマストというか、自分の中での想いですね。試合とはまた違う部分もあるので、そこを存分に出していきたいと思います」と言い、試合とは違う部分とは何かと問われると「僕は格闘家なので試合が一番大事。プライベートな事情があったというのは分かるんですけれども、試合より大事なことがあるのかなと。僕の中では考えられないなと思っています」と、鈴木が6・13東京ドームでのオファーを断ったことに対しての怒りを感じさせるコメント。
「55kgでしっかり調整してやるので、仕上がった自分を見てもらいたいというのもありますし、ボクシングテクニックも上がっているし、キックボクシングの練習もしていますし、今まで見えていなかった部分もさらに見えているので、また上の段階へいきたいのでここはしっかりと倒させていただこうかなと思います」と、改めてKOを宣言した。
試したいことについては「両方あります。キックボクシングの技もそうだし、パンチの技もそうです。6月の試合は置いておいて、公式の試合は2月末からしていないので、その中でいろいろやってきたことある。それを3分3Rしかない中でどうやって試すのかが大事なんですけれど、常に格闘技のことを考えているので試合が本当に楽しみでしょうがないですね」と、身に着けてきたものを試すのを楽しみにしているとする。
(写真)2015年8月1日の初対決。飛びヒザ蹴りに来た鈴木を那須川が左フックで撃墜した それに対して鈴木も「どの選手もそうですが、試合をやる前から負けるつもりなんか全然ない。僕も一緒で倒しに行こうと思っていますね」と、こちらもKOを狙う。「チャンスがあれば1Rから行きたいですが、それは試合になってみないと分からないのでお楽しみにしていてください」と話す。
最近の那須川の試合については「最近とは言わずずっと強いな、と。完成されている。ほんまに強いなと思いますね」と評するが、「みんなどうせ負けるやろと思っているでしょうけれど、一発当ててそこを引っ繰り返したいですね。それはけっこう練習はしているので、試合で出せるかどうかはまた別になってきますが練習はしています」と、一発を当てて予想を覆したいとした。
そして那須川のキックボクシングは残り3試合、今回はその1試合目となるが、どのような位置づけなのか。
「今回の試合は相手どうこうではなく、いろいろな方に見てもらいたいというのがあります。今オリンピックで盛り上がっていますが、スポーツはオリンピックだけかと言ったらそうではない。また違った形で格闘技というものを見せられると思いますし、そういうことをしていきたい。また、RISEに恩返しという気持ちで試合をしていきたいですね。あとは自分の中の試合の感覚も、試合をしないと感覚が途切れてしまうので、メディアやテレビに出させてもらってはいますが、なぜ僕のことを応援してくれるかと言ったらやっぱり戦っているから。格闘家だからこそファンが応援してついてきてくれるので、そこはブレてはいけないというのが僕の中で格闘家においてのものがあるので、そこは昔からブラさずにコンスタントに試合をしていこうと思っています」と語った。
全体を通して鈴木真彦が相手であることには納得がいかない、鈴木が東京ドームのオファーを断ったことなどに対して不服そうなコメントをしていた那須川。表情も常に厳しく、フェイスオフの撮影では下を向いて身体を揺すり、すぐに踵を返してバックステージへ消えていった。