MMA
インタビュー

【修斗】女子スーパーアトム級挑戦者決定戦へ、SARAMI「私と中村さんが試合をすることで、黒部さんのベルトに挑むストーリーを作ってきたことは一切無い。それでも……」=7月25日(日)後楽園

2021/07/23 12:07

中村選手? 富山にいたときの私に似ているなって

 2020年11月の前戦、修斗初参戦となった杉本恵との試合では、打撃・組み技ともに圧倒。1R 2分46秒、腕十字で一本勝ちした。

「思ってた以上に簡単に勝ってしまって、ビックリしました。自分が強くなったのも実感できた試合でした」

 細かいステップとフェイントから、鋭い踏み込みでの右ストレートで杉本を崩したSARAMI。

「足の使い方、ムーブメントトレーニングとフィジカルトレーニングを(大宮司)岳さんみてもらっていて、男子のトップ選手と同じことをやらせてもらっています。そこはほかの女子選手とは違うと自信を持って言えます」

 レスリング出身の杉本に対し、ケージレスリングでは得意の柔道の組みだけではなく、ムエタイクリンチからのヒジ打ちも見せた。

「打撃は全体的にレベルアップしています。ムエタイの動きを特別に取り組んでいるわけではないですけど、パンクラスイズムの選手練習でマモルさんに教わったり、ロータス世田谷で八隅(孝平)さんに習ったり、そのなかで覚えた動きのひとつだと思います。いろんな刺激が自分のなかに入っていて、自分にいいものを採り入れて充実した練習ができていて、試合のなかでも出ているのだと思います」

 動画では、9月にPANCRASEでの復帰戦が発表された川村亮にパウンドを打ち込む姿をアップ。「打撃は、川村さんともいっぱい話して変えた部分ではあります。先日も『自由に打っていいよ、合わせられるから』と言われて、川村さんのミットが無いところに……ヒジを打ってしまって」と苦笑するほど、MMAのなかでバリエーションが増えている。

 25日の対戦相手は、ストライカーの中村未来だ。

「6月に話を聞いて、いつかやると思っていたので『やります』と答えました」

 その印象は「富山にいたときの私に似ているなって。負けん気が強くて運動神経が良くて、対戦相手を選ばず試合をしていれば……それなりのところには行けますよ」という。

 我武者羅に試合をこなせば“それなり”のところまでいくが、「トップ選手に勝っていない。なので、それだけという感じです」と、まだ厳しい相手との試合経験はないとした。

 2021年2月の「Road to ONE」で中村は、ONE本戦で活躍中の平田樹と対戦した。平田のアトム級GP前のチューンナップ・ファイト的な位置づけの試合を、中村が健闘し爪痕を残す形となった。

 しかし、SARAMIの評価は冷静だ。

「あれは中村選手がどうというよりは、平田さんがちょっと思っていたのと違って上手くいかなかった、というだけの試合だと思います。1R目は中村選手が打撃を当てたり、組みを凌いだりということは出来ていたかと思いますが、2R目以降に結局、疲れちゃったから出来なくなって負けたので、それは実力だったと思います」

 平田が勝ち方にこだわった試合のなかで、右利きサウスポー構えの中村は打撃で圧力をかけた。続く北野きゅう戦では左ストレートをクリーンヒットさせ、2R TKO勝ちを収めている。

「思い切りのいい打撃はするな、とは思いますよ。でも打撃が強い、というよりは消去法で、寝技をやらないから打撃を思い切り振っているだけの強さ」と、打撃のための打撃の穴があるとした。

 平田の組みを凌いで立ち上がった中村だが、SARAMIは、「立ち上がってもまた組んで倒せばいいし、立って勝負してもいい。私も倒せる打撃を持っているので、そこでも負けるつもりはありません」と全局面で勝負できるという。

 差がある? と聞かれ「はい、もちろん。トータル点数は私の方が遥かに高い」と気負うことなく語った。

 杉本を圧倒したSARAMIに対し、1年前は杉本に一本負けしている中村には「抜擢」感がある。しかし、そのチャンスに存在感を示してきたのも確かだ。

 SARAMIは自身にとって、「このマッチアップに特に意味はないです」と、淡々と語る。

「私と中村さんが試合をすることで、黒部さんのベルトに挑むストーリーを作ってきたことは一切無いと思うんです。それは仕方ないよな、とは思いますけど、私がその先に進むのに対戦相手として組まれたら、負けられない試合であり、勝つだけです」

「試合をする場があって、最高の試合をするだけ」というSARAMIは、2012年のJEWELSから10年目のプロファイターとしての試合を、仕事を持つ社会人として戦う。

「もちろん、専業格闘家になれればなりたいです。でもそんなに甘くない。デビューして10年。富山のときにやりこんでいたこととかも、今になって気持ちも安定して、身体も調子が良くてフィジカルやムーブメントが全部繋がって、いまそれが試合で出せる状況なのかなと実感しています」

 プロ27戦目、中村の3倍のキャリアを誇るSARAMIは語る。

「簡単に勝てるとは考えていません。でも、私とはレベルが違います。すべてで圧倒します。女子ですけど、完成されたMMAの試合を見てほしい」。

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