MMA
インタビュー

【RIZIN】矢地祐介、新体制で「すべてにおいて別人になった」。朝倉未来、クレベル、サトシの試合を見て「悔しかった」、SNSでの煽りは「カッコいいと思っていない」

2021/06/17 20:06

「矢地ッ! なんだ、なんだ!?」って、みんなに期待を持ってもらえるような試合になると思います

──コンディションはいかがですか。

「絶好調です。心身ともに」

──SNSで「勝つイメージの地図を見つけた」と仰っていました。これまではどのように戦ってきたのでしょうか。

「今まではまあ、ノリと勢いで戦ってきてましたね。大まかな相手の戦い方、ステップとかぐらいで、自分がどう勝つか、いま考えればイメージできてなかったですね。漠然と『KO、一本で勝ちたい』というようなイメージで、フワッとした戦い方でした」

──今回、一番変わったところは?

「そもそも格闘技への取り組み、考え方が大きく変わりましたね。あと、頭を使うようになりました。実練習もそう取り組んでして、それが試合でどう戦えるかが楽しみです」

──それは戦略みたいなことでしょうか。

「戦略は大前提なんですけど、やりたいことを試合でやれるのか。いままで練習してきたことを試合で出せるのか。前戦うんぬんよりも、そもそも格闘技への関わり方とか。(今まで)練習してなかったみたいな、それほど練習の仕方とか内容、試合に対する取り組み方、何から何まで変わりましたね」

──「取り組み」というのは?

「漠然としたものから細かいところまで頭で考えるようになりましたね。“こういうときにどうするのか?”とか。そういうパートごとの技術とか、戦い方を学びました」

──そうなったきっかけは何があったのでしょうか。

「KRAZY BEEを離れて1カ月くらいで、練習環境ががらりと変わって、今年に入ってからヘッドコーチがつくようになって、打撃トレーナーにも新しくついてもらって、自分の動きや技術を第三者の目線から見てもらうようになったのがすごく大きいです」

──ヘッドコーチと打撃トレーナーはどなたでしょうか。

「全体を見てもらっているのは、ヘッドコーチはロータス世田谷の八隅孝平さん、ミットを持ってもらっているのは宮川峻選手です。自分が各練習の報告を噛み砕いて伝えて、チームで共通の認識があります」

──金原正徳選手も矢地選手とのスパーリングで「テイクダウン出来なかった」と、組み技の進化を評価されていましたけど、その手応えはご自身でもありますか。

「いやもう手応えしかなくて。年明けからそういう体制になっていろんなことを教えてもらえるようになって、ほんとう……自分自身がっかりしたというか、驚いたというか、“自分ってこんなに何も出来なかったんだ?”と思い知らされて、そこを見つめ直して、いろんな技術を教えてもらって吸収する、という作業を切り返してきて。ほんとう、別人だと思います」

──これまでもロータス世田谷では練習してきたかと思います。それはその技術を追求するような形ではなかったのでしょうか。

「そうですね。いま考えるとそうだと思います。やっぱり自分は体格にも恵まれてフィジカルもある、そこに甘えていた部分がすごくあったし、そこまで細かく見てもらっていたわけではなく、ただ、スパーリングをやって、その中で練習後に技術交流をしてきたにすぎなかったのを、練習をしっかり見てもらうことによって、新たな技術を1日ひとつ教えてもらう、という感じになってから、ほんとうに技術の量が増えて、武器がどんどん増えていくようなイメージですね。いま格闘技がすごく楽しいです」

──「別人」ということはこれまでの試合は、相手にとって参考にならないと?

「いやーまあ、参考にならないというとアレですけど、あまり参考にならないのかな、とは思います」

──新しい矢地選手の姿が見られるということですね。

「見れると思います」

──対戦相手の川名雄生選手の印象を教えてください。

「『ザ・修斗チャンピオン』という感じですよね。何が強い、という突出したものは正直、無いと思うんですけど、全体的な技術やレベルが高い、というのと、何より気持ちが強い。前にどんどん出て、好戦的な戦い方、その2つが彼の強みだと思います」

──川名選手と武田光司選手の試合をどう見ましたか。

「いい試合でしたよね。好戦的で、打撃ほぼ一辺倒の試合でしたけど、要所要所で互いのいい部分・悪い部分が出ていたと思うので、ほんとうにどっちが勝ってもおかしくなかったと思います」

──川名選手のいきなりの右ストレートや強いテイクダウンデフェンスに対して、矢地選手が何をすべきか明確になっていると。

「そうですね。相手のやりたいことははっきりしていると思うので、それに対策を練って臨みます」

──その強みや弱みを今までより研究してきたということでしょうか。

「もちろん自分でもしっかり見てますけど、ただ、自分自身が事細かに相手を研究すると、あまり良くない傾向にあるので、あえて大雑把にとらえています。そのあたりはコーチたちにある程度、任せながら、その対策を練習で教えてもらう形ですね。相手より自分自身が足りないところだらけと気づいたので、そこを主に改善・修正してきました」

──ファンからは今回「髪の毛の対策も出来ていますか」との質問が来ています。

「もうそんなの、にわかだな(笑)。もうずいぶん前から対策は出来ていますよ!」

──ところで、川名選手からの煽りについてはどう思っていますか。

「あー、そうですねぇ……まあ、特に何も思わないというか。もちろん、それに俺が反応して、少しでも盛り上がればいいと思うんですけど、僕自身、そういったSNSでのやりとりがあまり好きじゃなくて、カッコいいと思っていないので。だからまあ、試合で魅せましょうという感じです」

──6月13日には東京ドーム大会がありましたが、ご自身に採り入れられるものなどもありましたか。

「楽しく拝見しました。『採り入れられるもの』はちょっと分からないですけど、普通に……まあ、複雑な思いで悔しさを胸に抱えつつ、かつ楽しんで見ていましたね」

──「悔しさ」というのは?

「やっぱり自分がそこにいないということ、シンプルにそれだけです。ドームだからだとか、そういうのではなく、やっぱり盛り上がっている輪のなかに自分がいない。もちろん出られる大会には順番があるから、全部出ることは不可能なんですけど。ただ、RIZINに出ている選手の活躍は悔しくもあり、いい刺激になり、モチベーションが一段階高く、練習に取り組めましたね」

──東京ドーム大会で印象に残った試合は?

「メインの朝倉(未来)選手とクレベル選手の試合、あとライト級のチャンピオン、サトシ選手とムサエフ選手の試合、この2試合は特に印象に残っていますね。皆さんもそうだと思いますけど」

──ご自身と対戦したとき(朝倉、クレベル、サトシの3人と対戦経験あり)と比べて変わっているとか強くなっているなとか感じましたか。

「それに関しては、肌を合わせてみないと分からないところもあるので、“相変わらず強いな”というイメージですね」

──矢地選手は現状では2連敗中ですが、環境も整え、今回ライト級でどんな試合を見せたいでしょうか。

「いやまあ……“矢地ッ! なんだ、なんだ!?”っていう、みんなに期待を持ってもらえるような試合になると思います」

──ところで、「カッコ良さの基準は山本“KID”徳郁選手だったらどうするか、で考える」とのことですが、その魅力とは?

「やっぱり自分を貫くことじゃないですかね。世間や周りとか時代に合わせずに、我が道を行く。それを周りを巻き込んでムーブメントにしちゃうのがすごいなと思いますし、それがカッコイイかなと思います」

──YouTubeの活動は、格闘技にも活きていますか。

「参考になることだらけで、武術家の方とか、一つひとつ全部採り込むわけじゃないけど、ああ、なるほどなと参考になることは多いし、現役のキックボクサーや総合格闘家とのコラボは、いろんな技術や意見交換が出来るし、もちろんYouTubeに乗せてない部分とかでもたくさん教わったり、ほんとうに使えるやつとかを裏で教えてもらっているので、すごくタメになっていますね」

──最後にファンにメッセージを。

「久々になるのかな。もう半年以上ぶりの試合で、大阪で初の大会なので、しっかり大阪を盛り上げられるように頑張るのと、ちょっと新しい、ブランニューヤッチ君をお披露目したいと思っているので、ぜひ期待していてください。応援、よろしくお願いします!

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント